氷点火山 12
「おー巡の機嫌がなおった」
「なおってねぇよ……アイツもずっと見てくるし最悪だ。んなことよりそろそろ始まるぞ、ポイントの獲得方法教えてあげなくていいのか」
「あっ、そうだったよ~。肝心のポイント説明がまだだったねー。えっと、攻守交代っていうのは言ったから、まずは攻撃側の獲得条件だね。まずは単純にターン開始後1分以内に攻撃を当てることができたら命中判定で1ポイント。でも相手も当然守るための能力を発動してくるよね、その盾となった能力を破壊できたらこれも破壊判定で1ポイント。あとは命中の上位判定で大打撃ってのがあって、これは2ポイントもらえるんだけど、そう滅多に出ることはないかな~。ここまでだいじょーぶ?」
「命中、大打撃、破壊、攻撃側には3つの手段があるわけだな?」
「うんうん~。で、守備側だけど、さっき言った盾として使う能力、これの破壊判定の反対で、防ぎきると防御判定で1ポイント入るんだ。だからガチガチに守りを固める人が多いけど、無効っていう2ポイント判定があってね、相手の攻撃を無効化させると貰えるんだ。でもこれは守備とは言いづらい戦術で、かつ守備側は攻撃してはいけないっていうルールがあるから、間違って相手を攻めたりすると反則になっちゃう。守る側にもちゃんと獲得条件があるのが面白いんだけど、けっこーリスキーなんだよね~。――そうそう、あとは攻守どっちにも当てはまるんだけど離脱っていうのがあってね、フィールドの対属素シールドから外に出ると、1ポイント相手に獲得させちゃうんだ。しかもそこから5秒毎に1ポイントずつ判定が取られるから外に出てしまった選手はすぐにでもフィールドに戻らないといけないの」
「……それって、相手をぶっ飛ばして外でぐったりさせれば勝ちなんじゃねーのか?」
「怖いこと言わないでよお父さん。しかもそんなに相手を飛ばす能力なんて使ったら、失格レベルの怪我をさせちゃうんじゃ……」
「その通りっ、だからこの試合は面白いんだよ~、同じルールなのに、弱くても強くても別方向から縛られる。だからこそ相手を出し抜く戦術が必要って、HPに書いてあったことなんだけどね」
さも自分の言葉のように言ってしまった水瀬が恥ずかしそうに舌を出していると、上から声が聞こえてきた。試合開始前のアナウンスだ。
「ちゃんと頭に入ったかな……?」
「はい、多分……大丈夫です水瀬さん、ありがとうございます」
「オレからも礼言うぜ、あとでアイスでも奢らせてくれ」
「一番高いやつでいいよ~」
冗談なのか本気なのかがハッキリしない一言を境に、共存部一同を含めた会場の観戦者が気持ちを切り替える。フィールドでは20メートルの間隔をおいた2人が向かい合い、沈黙が流れる。ノックの黒髪も、氷室の長い黒髪もルールによってまだ変色をもたらすことはない。
〈それでは、能力部大会決勝、氷室秦対榎田陸の試合を開始します。勝利条件ポイントは『7』、先攻は氷室選手です。それでは――Turn1-1、開始〉




