氷点火山 5
「……色々あったけど、浩仁さんの協力もあってね、一体誰が隼人さんに虐殺をさせたのかを突き止めることができたんだ。それが阿木李護甲でさ……偶然にも薗が関わってて、正直俺も驚いた」
「オレもだ、そもそも阿木李護甲はだいぶ前に能力開発部を脱退している。その手の活動はもう辞めたんじゃないかって思ってたけどな、どうやら脱退っつーより独立だったらしい。調べたら『最強の食す者を作り出す』動きが阿木李護甲に確認されてな、その被験体の一人にチビがいたってわけだ。まーその話はさっきチビから話されたのが最も有力な情報源だな」
「ですね。まとめると、片山隼人、阿木李護甲を介してここの4人は繋がっていたわけです、運命的って言うんですか? こういうのって」
「さァな、運命の悪戯ってことかもしんねーぞ」
「で、でも私は、何があって、どう結びつきがあったとしても、今のみなさんと出会えた事はとても良かったって思っていますよ……?」
「あたしもアヤの言うとおりだと思う~、だって結局メグルの犯人探しだって終わってないわけだし? 間接的に関わっていた私達が一緒になれたのはいいことなんじゃない? あたし的には、これからも何か力になれることがあったら遠慮なく言ってもらいたいし?」
「ったく……巡クンはいい友達を持ったなァ?」
「お前の娘もいるからな、間違いなく親バカ発言だからそれ」
「いい仲間を持った人間はどんどん生意気になるな?」
「いえその、返す言葉がないですね。すいません。……みんな、本当にありがとう」
「いいんですよ、これも共存への大事な活動ですから」
「お、部長いいこといね~~」
「そ、そうですか? えぇっと……共存部には人と手に入れる者の未来がかかっていると言っても過言ではありません、我々の活動は、まだ始まったばかりです! とか…如何かでしょう?」
「最終回のアレだね」
「え」
「最終回だわ」
「そんな」
「我が娘よ……オレはまだ登場していたいぞ……うっ」
「泣くほどひどいセリフでしたか!?」
「あはは……とても皆の過去を話してたとは思えないね」
「まったくだよ。…ほんとうに」
いい人たちに恵まれたなと、何度でも心で繰り返してしまいそうだ。
巡は立ち上がり、おもむろにベランダのカーテンをバッと全開にした。大量の洗濯物が室内から丸見えになる。
「なんていうか、お礼にもならないけど……好きなだけ見ていってくれよな」
「ヴぉーーーい!?我が娘になんてモノ見せてくれてんだテメェ!!?」
「め、巡さんのぱん……ぱん……」
「ボクサーパンツ派なんだね~」
「お前ら! 見るな! コレは教育者として見せられねェ!! 巡ちょっとこっちこいや!説教してやる……!」
浩仁に襟首を掴まれてベランダへと連れだされる巡。カーテンも綺麗に閉められベランダには浩仁と巡の2人だけになった。風になびく大量の洗濯物が、長身の浩仁の頭に何度もヒットする。
「……身体については、話さなくていいんだな」
「はい、とりあえず今はいいかなって。……あの、浩仁さん」
「ンだよ」
「近いうち、皆で隼人さんに会ってくれませんか」
「片山隼人にか……?」
「はい。隼人さんと別れるときに約束しだんです。そのうち友達を連れて行くって。共存部で楽しくやっていける人たちと隼人さんを会わせたら、少しは元気になるかなーって」
「……なるほどな」
「信じてくれてるのはわかってますが、やっぱり直接会うっていうのは難しいですかね。綾のこともあるんで……」
ボクサーパンツを額で何度も弾く浩仁は数秒考えるように唸った後、ニカっとわらって見せた。
「いいんじゃねェか。万が一になにか起こるとも思えねェが、俺も手に入れる者代表として同伴するってことで」
「本当ですか、ありがとうございます……」
「共存部顧問だからな、当然よ」
「仮教員ですけどね」
「台無しだな!?」
「冗談ですって。――俺の身体のことを話すのは、みんなが隼人さんに会ってくれてからがいいんです。隼人さんだけには絶対にバレるわけにはいかない、そのためのリスクはどんなものであろうと避けたいんです。我儘言って、すいません」




