表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Attri-tY  作者: ゆきながれ
見つめるべきは、共通よりも個性であった
73/90

氷点火山 4

「片山隼人って名前、多分知らない人はいないと思うんだけど」

「巡、さん……」

宮前も察したのか。以前浩仁から話は聞いているものの、巡の口から聞くのはこれが初めてだ。

「俺も実は、小さいころ家族を失って、隼人さんに養子として引き取ってもらってたんだ」

「――メグル、ごめんね、確認なんだけど……その片山隼人さんって、あの手に入れる者スチール大量虐殺の……?」

有名な名前――もちろん悪い意味でだ、それを聞いた水瀬は信じがたくなりすかさず割って入った。が、それに対し巡は黙って頷く。

手に入れる者スチール差別が廃止になっても、世界は隼人さんを許したりはしなかった。それだけの命を奪ったんだから、俺もそれは仕方ないことだとは思うよ。だから隼人さんはこの街でほそぼそと、誰にも見つからないように暮らしてた。でもちゃんと俺を学校にも行かせてくれたし、なにも不便なく育ててくれた。……そりゃ、他の家庭とはいろいろ状況が異なるし、本来あるべき親子関係とか、家庭生活とかは無かったかもしれない。それでも隼人さんは出来る限り子どもの俺に負担がないよう育ててくれた。きっとそれも楽じゃなかったと思うんだけど……」

「片山隼人について一点補足させてもらうが、手に入れる者スチール大量虐殺者について、不特定多数の食す者イーターだと想像するだろうがそうじゃねェ。片山隼人が一人で受け持ってやがったんだ。おかしくねェか? あれだけの命を、片山隼人が一人でだ。……差別が廃止になった時、もし多数の差別派が手に入れる者スチールを虐殺したことになっていたら、ハンパねえ反動を生んでただろうさ……きっとコイツはそこまで考えて、一人で全部やりきったんだよ、常人の心じゃねえ」

もちろんそれは、浩仁にとって称賛の言葉であった。

「浩仁さんが片山隼人さんに対してこういった理解を持ってくれるなんて俺も嬉しいです。殺されかけたかいもあったってもんです」

「ちょ!? メグルどゆことそれ!?」

「俺が大量虐殺者の息子だって事がバレて、その上で綾に近づいてるって浩仁さんが知ったから……弁解する余裕もなくて、もう問答無用だったよね」

「その話はやめてくれ、悪いとは思ってんだ……つーかオレだって殺されかけたんだからおあいこで良いじゃねえか」

「うっそ、メグルが先生を? なんていうか、ちょっとかなりマジで以外かも、けっこー過激派なんだねー……」

「そういうなって薗、今は見ての通り和解してるんだから。――それで今、ここが共存区域に設定されたことから隼人さんはさらに東部へと身を移してしまったんだけど。俺はここに留まった。いつか隼人さんがいろんな人と触れ合えるように、ここで共存を推進させるようって決めたんだ。それが綾に話しかけた一番の理由でもあるんだけどね。綾にはちょっと、申し訳ない話なんだけど……」

「そんなことないです、どんな理由があれど、あのとき声を掛けてくれたのが巡さんで本当によかったって思ってるんですよ。無茶な共存区域拡大計画で参っていた私を助けてくださったんですから」

「アヤも大変だったんだね……今度呑みに行こうね……新緑喫茶にはノンアルコールカクテルも取り揃えております」

「いきなり販促すんな」

「販促じゃないし、レビューだし」

「完全に店員口調だったろ」

「バレた?」

空気が和む。また水瀬に気を遣わせてしまったようだ。巡はできるだけ声のトーンを落とさないよう続ける。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ