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Attri-tY  作者: ゆきながれ
見つめるべきは、共通よりも個性であった
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氷点火山 3

首をかしげる薗に、浩仁は頷いた。

巡もまた、ちゃんと彼の異能アトリについて聞くのは初めてだったと耳を傾ける。

「あァ。発動条件は『何かを殴る、触れること』。その時の強さを斬撃スラッシュに変換したり、打撃クラッシュのままにしたり……使いようによっちゃ両方を混ぜることもできる。まさに斬り潰すといったところだな、どちらかに依存しなくても問題はねェんだ。この間のチビと巡クンの戦いでオレが最後に飛び出して氷塊を何個も砕いたのを覚えてるか? あれがまさにソレだよ」

(そういうことだったのか……てっきり飛ばせるのは斬撃だけだと思ってた)

「はえ~、父娘揃ってすごい異能アトリだねぇ……メグルもそう思わない?」

「そうだな……改めて聞いて、やっぱり凄いって思う。俺ら食す者イーターからしたら、到底想像もできないモノだし……」

「うんうん~」

2人の異能アトリについて聞き終わった頃には、焼きそばの入っていた食器はすっかりからになっていた。巡がそれらを片付け四人分のお茶を用意すると、水瀬が大げさに背伸びをする。

「ん~~! 本当に美味しかった! センセーごちそうさまっ、あと異能アトリについても、聞かせてくれてありがとね、アヤもだよっ」

「そんなもん、大したことじゃねェだろう」

「そうですよ。こんなに仲良くしていただいて……隠したりなんかしません」

その言葉に、巡は一瞬息が詰まった。

(隠したりなんか……か)

考えてみれば、いい機会なのかもしれない。外で話せることでもないし、ここなら部の3人だけに話すことができる。もしかしたら浩仁はそこまで気を遣って巡の家でこのようなことをしてくれたのかもしれない。そこまで考えてから巡は切り出そうとした、が。

「じゃあ、次はあたしの番かな」

水瀬が、重たげな口調で言った。そしてふと巡を見つめて、微笑んだ。

(メグルの話はきっともっと重いことだろうから、あたしの後でいいよ)

そんな想いの込めて。

伝わったかどうかは、水瀬にはわからない。

「えっと……メグルはもう知ってるんだけど、あたしって小さいころに家族を亡くして、それから能力ティの開発部の人に育てられたんだよね」

初耳である浩仁と宮前の瞳が揺れ動く。それに気づいた水瀬がばつが悪そうに目をそらした。

「あはは、ごめんねいきなり。暗いよね、こんな話……でも、やっぱり皆に、アヤにも聞いてもらいたいなって……思ったから……」

「水瀬さん……」

きっと、ただの友達に自分の過去を話す事はそんなに必要なことでもないし、重要でもないのだろう。でも、それでも水瀬は知ってもらいたかった。逸らした視線を、ゆっくりとだが宮前に戻す。

そして目のあった宮前は、優しく微笑んでいた。

「私も、聞きたいです。もっと水瀬さんのことを、知りたい」

「アヤ……あはは、ありがとっ」

水瀬の過去はどうやっても暗く辛い出来事で、それは変えようがない。

(でも、今あたしは幸せだから、それがみんなのおかげだってことが伝わるように、明るく話そう)

「それでね――」

水瀬は笑顔を絶やさなかった。その過去は一度聞いていた巡ですら聞くのが辛い内容だ。でも水瀬が幸せそうに語るから、3人も笑顔で彼女の話を最後まで聞いた。

「結局、メグルとも話したんだけどね……その阿木李護甲って人、悪い人じゃないのかなって……」

「そう、だったんですね」

宮前がお茶を一口飲むと、一息ついて立ち上がった。そのままゆっくりと水瀬の方に近づいていき、

「ひゃっ!?」

ぎゅっと、水瀬を抱きしめた。

「ちょ、ちょちょちょアヤさん……?」

「頑張った偉い子には、なでなでをしてあげるんです……」

「こ、これハグなんだけど、なでなでじゃないんだけど」

「今日は手袋を忘れてしまったので、なでなでの代わりです」

「そ、そうなんだ……やば、なんかときめいちゃったんだけど」

「よしよし」

「は、恥ずかしいよ……」

「キマシ」

「そういう台無しにすること言うのやめましょうね筋肉さんマジで」

「すまん我慢できなかった」

「我慢できなかったなら仕方ないですね。帰れ」

「いやでもよォ。やっぱ嬉しいもんだろ、こうやって娘が誰かに優しくしてるのを見れるってのはよォ……」

「まぁ……そうですね」

(そういえば偉いって言われるの、綾自身すごい喜んでたっけ)

宮前が落ち込んでいた時の事を思い出し、巡もおかしくなって笑みをこぼす。

「メグル」

不意に、とても柔らかな、水瀬の声が届いた。

ニコッと笑った彼女を、宮前はきょとんと見ていたが――やがて彼女も巡へと視線を移した。

(やっぱり、気を遣ってくれてたんだな、薗は)

2人の視線を受け止めて、巡も明るい口調で話そうと心がけた。


「――すいません。ついでにもう一つ、つまんない話でもしていいですかね」


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