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Attri-tY  作者: ゆきながれ
Episode-1 彩られた日常と悲しみを繋げ
53/90

フレイム&トランス 綾


私は誰かに教えられたことしか出来ない。それも全てではなく不可能なものは不可能とはっきりしている。この異能アトリを使えばほぼ完全な記憶ができ、そっくりその動きを真似できるのは特殊ではあるけれど、結局それは誰かができる事を私ができる様になっただけで、私だけのユニークなものではない。そうだ……私自身の力では一体何ができるというのだろう。水瀬さんとの戦い、お父さんならどうしたかな。きっと異能アトリを使って遠距離から水球を捌いて、隙を見つけて近づいたのかな。私は遠距離からの攻撃手段を持たない、だから最初から近づくしかなくて、近接の中で隙を作って勝利まで繋げなければいけなかった。いけなかった、といっても水瀬さんにあんな運動神経が備わっているだなんて思ってなかったから、正直なところ速攻を決めれば直ぐに勝てるかと思ってた。例えば水瀬さんがお父さんの動きをできたらって考えると恐ろしくなる、きっと私のような異能アトリがなくたって習得してしまうはずだ。それに加えて桁違いの能力ティが使える。そう思うと私はいったいどれだけ未熟なのだろうと考えてしまう。

「よォ我が娘よ。落ち込んでんのか?」

「どうして、ここに……」

「おいおい、ここは共存部の部室だ、顧問がいつ来たって構いやしねェだろ」

部室の窓際にいた私を外から見つけたのだろうか。お父さんはいつも私の居場所がわかっているような気がして、たまに怖かったりもする。でも今は、ちょうど会いたいと思っていたところだ。

「落ち込んでなんかないよ」

ウソじゃない。私は悲観的になっていたわけじゃない、ただ結果を整理して、どうしたらいいかを考えていただけ。そうして導き出された答えこそ、

「お父さん、そろそろ次のステップに進みたいな」

「ま、そーくるとは思ってたぜ」

ニカっと笑ってくれるお父さんが、私は大好きだ。

【もう一つの記憶】ドラウァー。誰かに教えられたことしか出来ない。それも全てではなく不可能なものは不可能とはっきりしている。そういう力。つまり可能な限り、教えられれば何でもできるということだ。私はこの力を、弱いと思ったことなんて一度もない。

私はその日、遅くまでお父さんと特訓に付き合ってもらった。無理のないようにというのが前提で、また近いうち稽古づけてもらえる。お父さんも仮教師として共存委員会の仕事以外にもやることが増えたし大変そうだからあまりわがままは言っちゃいけないけど……。

ヘトヘトの状態で家につき、シャワーを浴びて直ぐにベッドに入った。マンションの下から巡さんの家の電気がついていなかったのが見えたから、もう寝てしまっているのだろう。時計は24時を回っていたし仕方がない。できれば少し、お話したかったけど……それは明日になれば直ぐに叶うから、今はこの疲労に素直になろうと、ゆっくり目を閉じた。


でも、明朝になっても巡さんに会えることはなかった。

学校に行っても巡さんはいなかった。

そして、水瀬さんまでもが。

嫌な予感がする。私は職員室に駆け込むと既にノートパソコンを開いて二人の追跡を試みるお父さんがいた。わかったのは水瀬さんを家まで送ろうとした巡さんたちが、二人揃って水瀬さんの家にたどり着けていないということだった。ただごとではないのは明らかで、お父さんと私は直ぐに学校を飛び出した。

飛び出して、耳をつんざく電子音が私達の足を止めた。

振り返ると、校庭に禍々しい黒点が――羽化を今か今かと待ち望んでいた。



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