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「そうか、No.11も使い物にならなくなったか。ふむ、No.12の準備は。……なに、いないだと、アレが最後の候補生だったというのか、もっといるはずではないか。……ふむ、なるほど条件を……仕方がない、ひとまずコレまでのデータをイチから見直したまえ。あぁそうだな、No.8からで構わん、そのかわりしっかりとデータを洗え。いずれNo.12は必ず現れる、必ずその時に成功させるんだ、その為に過去のNo.と接触しても構わない、そうだ、どれだけ時間がかかろうとも我々はこの計画を投げ捨てるわけにはいかないんだ」
いや、時間の余裕などありはしない。
男は耳から端末を離し白衣のポケットにしまう。重い溜息をつくと横に流した髪の毛が落ちてきて彼は右手でかきあげた。しっかりとくしで梳かれた短い銀髪をした男は目の前のデスクに腰をかけ灰色の瞳でディスプレイを睨みつけた。画面にはまだ育ちきっていない印象を受ける少女の顔写真とデータが並んでいる、彼女ならもしかしたらと思ったのだが……男は再び先程よりも重い溜息をついた。これで我々の実験はひとまず停滞を余儀なくされる、いつ事が起きるかもわからないのに呑気に次が現れるのを待つしか無い歯がゆさを彼を襲った。それから数年間彼は待ち続けた、待ち続けてついに一つの情報を耳にしたのだ。
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「No.11が……そうか、まだ彼女には利用価値があったのだな。――いいだろう、No.11を再び我が実験施設に招待しようではないか。数年ぶりの始動だ、ぬかるなよ」
通話が終了したことをシステム音が知らせる。彼は端末を耳から離すことも忘れ待ち望んだ状況に身を震わせては笑みを浮かべた。そしてあの時と変わらないディスプレイから目を逸らして部屋の隅へと歩いて行く。
「――ユリ」
「はい、なんでしょう」
銀髪の男よりも更に明るい、白髪の小さな少女が同じ色の瞳を男に向けた。
「お前の出番があるかもしれない」
「はい、心の準備はできております」
「そうか、では体の準備もしておけ」
「はい、……といいましても体の準備とはなんでしょうか」
「まず服を着ろ、下着姿の少女を人前に出せるとでも思っているのか」
「いいえ、護甲さんが捕まってしまいますので」
「わかっているなら服を着る癖をつけておきたまえ」
「はい、善処します。……ところで」
「何だ」
「ユリの服はどこにありますでしょうか」
裸の少女は首を傾げてわざとらしく言う。男はため息が癖になりそうだった。
「お前……また"変換"したのか」
「いいえ、そのようなことは」
「背中から糸が見えているぞ」
「いいえ、見えていません」
ユリと呼ばれた少女は手で糸とやらをささっと隠すと堂々といってみせた。
「……ひとまずはおれるものにでも"変えておけ"、服は買ってきておく」
「はい、お手数をお掛けして申し訳ございません」
よく言う、コレで何度目だと思っている。男は部屋を後にすると階段を上がり広い部屋を挟んで光の差し込む部屋から外に出ると、太陽の光に大げさに目を細めながら町中へと溶けこんでいった。
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