共存部 5
「明後日だと土曜日か、授業はなくて食す者だけが特別登校って感じなんだろうけど、いいんじゃないかな見学に来ても。見れるかどうかはわからないけど学校から追い出されるってことはないと思うし」
「そうですか、じゃあちょっと覗きに行ってみます」
「あたしもそれまでには少しでも属素増やそ……」
「能力を使う限り増えるって言われてるな」
「うん、だからいっぱい使うーって言いたいところだけど、少し使っただけで直ぐ疲弊っちゃうからそうもいかないんだよね」
がくりと肩を落とす彼女はもはや自分が倒した箒すら忘れている様子だ。
「薗」
「なぁに?」
「この後俺の家に来ないか」
「えっ?」
「ちょ、巡さん!?」
「なんで綾がそんな反応をするんだ」
「だ、だだだだだだだって巡さんの家ですよ?おうちですよ???」
「お前も何回か来てるだろ」
「そそそ、そうですけど!でもそうじゃなくてですね!」
「n?」
「メグル~? その心は?」
同じ能力を使う人として、というよりも同じ部活動の一人として…いや違うと巡は心のなかで否定した。同じ共存意識を持ってくれる人として、水瀬に協力できれば…それが理由だ。宮前の謎の狼狽により話が脱線してしまったが巡は再び、手を後ろで組んで首を傾げている水瀬のほうに振り返った。
「俺の家で能力の練習でもって思ったんだけど。家なら疲弊っても問題ないだろ?」
「そうだけど、いいの?」
「ダメです」
「なぜ綾が答える」
「だってぇ……」
雑巾をほっぽり出して両手の人差し指をつんつんとし始める宮前、珍しい光景かもしれないがその意図はさっぱりわからない。
「あたし、本当にすぐ疲弊っちゃうよ? 迷惑かけると思うよ?」
「別に寝かせりゃいいだけだろ、それに知ってると思うが直ぐに疲弊になるってことは属素の量が少ないからだ。つまり属素の上限量が低いってことは復活も早い」
「言われてみれば、そうかも……」
「だろ、だから疲弊になったらベッドで横になればいい、それで復活したらまた直ぐに能力を使う。使えば使うほど属素の上限は上がっていく、やり方は荒っぽいがちゃんとした属素増加の方法だ。土曜までどれくらい増やせるかはわからないけどな」
「うぅ~、最後の一言やるきなくす~」
「やらなきゃわからないだろ。……しょうがない特別情報だ。能力を使えば使うほど属素が増えるのは本当だが、一つの話として疲弊の回数が属素の増強に強く関わっているとも聞いたことがある。だとすると水瀬にはこの荒っぽいやり方ほど合っているものはないし、もしかすると飛躍的な属素の向上を狙えるかもしれない」
なんて単純な奴なんだろう。今の言葉で目を光らせた水瀬を見て巡は心の底からそう思った。この話は嘘ではないがまだ仮説段階のものだ、下手に期待させて結果がでないなんてことにならなければいいが、まずやる気が無ければ元も子もない。
「なんかめっちゃモチベ上がって来たかもだよ……!?」
「そりゃよかった」
「じゃあさっそくメグルんちいこうよ! さっさと氷でこの部屋掃除して!!」
「お前は掃除しないのな」
その無邪気さとマイペースさが何故か憎めずにいる巡は、再び能力を発動させ1分ほどで部屋のホコリを全て集めるとちりとりも使わずにゴミ箱に直接捨て、直後水瀬に手をひったくられ部室から姿を消す。
「だってぇ……だってぇ……」
綺麗になった部室には自分の人差し指と遊ぶ部長が一人取り残されていた。




