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Attri-tY  作者: ゆきながれ
Episode-1 彩られた日常と悲しみを繋げ
30/90

共存部 3

放課後、授業が終わってすぐに宮前がガタッと激しく席を立った。まだ荷物もまとめていないので帰るわけでもなさそうなのだが、見れば教室のドアにいる少女を睨みつけているようだった。

「メグル~」

小さな少女がてけてけと窓際までやってくる。

「おつかれ言いに来たんだよ~」

「わざわざ言いに来るとか暇だな」

「ううん嘘~、メグルの部活聞きに来た~」

バシッ、と水瀬が一枚の紙を巡のほうに差し出す。それは入部届で、紙には自分の名前だけが書いてあった。つまりあとは部活欄に部活名だけ書けば申請できるという状態だ。

「決めたの、メグルと同じ部活に入るっ」

「何かも知らないでか」

「いいの~」

「変なやつだな、まぁ部長に渡しておくから」

「ありがと~っ」

「ちょっと待って下さい!」

「ほわっ!」

突如背後から声がかかり驚く水瀬。並んでみるとやはり宮前のほうが水瀬より5センチ以上背が高い。

「い、いきなり出てきてなんですか貴女は!」

「……n?」

「n? ってなんですか! 質問に答えてくださいっ」

「いや質問も質問だろ綾、あと薗も日本語で返してやれ」

「綾……って、あ~! もしかしてキミがあたしを助けてくれたって人っ?」

「たすけ……何のことですか……」

やっぱり覚えてないよなあ。と巡は宮前に彼女が新緑喫茶でバイトをしていた、疲弊ロスで倒れた女の子であることを説明した。

「こ、こんなヘラヘラした子でしたっけ……」

「それは俺も思った」

「ひどっ」

「いやだって、ねぇ……」

「えぇ……まぁ……」

「二人してひどいよお~! だってバイト中は真面目さんになるに決まってるじゃん! 当たり前じゃん!」

本当にぷんすかと怒る人っているんだ……。水瀬の前に立つ二人は同じ感想を心の中で述べていた。

「ぶぅ、じゃあアヤにお礼申し上げもうすっ、あの時はありがとうございましたなのだよ~っ」

「あ、いぇ……」

「ん!」

手を差し出す水瀬、握手という意だろう。しかし宮前は手袋をつけていない。

「えと、その」

きっとカバンに入っているのだろう。いったんこの握手を無視して取りに行こうか迷っているのか、そんな様子の宮前に水瀬が悟ったらしく、握手の手を引っ込めた。そして今度は両手で宮前の胸に――手を伸ばした。

「ひゃあ!?」

「これぞ女の握手……でしょ~?」

「ちょ……や、なにす……」

「あれ~、なんか見た目よりも全然揉みごたえある~」

「や……ちからいれな……んっ」

女子とは思えない手つきで宮前の胸を触る水瀬、恥ずかしさか、あるいは別のもので顔を赤らめる宮前。

「何やってんだか……お前らいい見せモンになってるぞ」

その横をカバンを持った巡が通り過ぎていった。確かに教室にいる主に男子がその二人のやりとりに釘付けになっている。

「あ、メグル待って~、アヤもついて来てよ~」

「ひゃああああ!! なんでココを掴んで連れて行こうとするんですか!!」

「だってしかたないじゃん~~」

「もっと他にやりようが……っ」

ちょっと哀れにも思いたくなるような声を後ろで聞きながら巡は四階の部室へと向かっていった。鍵は開いていて、中では浩仁が似合わないワイシャツをまくりあげて拭き掃除をしていた。

「どもです、浩仁さん」

「おォ来たか」

「来たよ~」

「ひゃぁぁっ……ん、ぁ…っ」

瞬間、巡は聞いた。これが血管の切れる音というやつか。

「おぅ今朝のチビじゃねぇか……テメェ我が娘に何してくれてんだあァ? まさかとは思うがその状態で階段2つも上がってきたんじゃァねェよなァ……?」

「上がってきたヨ~」

ブチブチブチブチ

「オーケー。退学にしてやるぜ……」

(それは無理だろ)

「あはははは浩仁センセーおもしろーい」

「オイ巡クン、コレを連れてきたのは、お前か?」

「違うって言いたいところですが、一応ちゃんとした入部希望者です」

「……やっぱお前ロリ巨乳が好きだったのか」

「だからなんだよそのろりきなんとかって」

「もういいクソ……おいチビ、いい加減そのオヤジみてェな手離してこっちこい」

「オヤジじゃないけどわかったよ~」

ようやく開放された宮前はささっと両手で自分の胸をかばう格好をして水瀬から距離をとった。浩仁の元に行く水瀬に続いて巡も彼女の入部届を取り出し机に置いた。

「ほら、これで浩仁さんが受理すれば正式な部活になる」

「あれっ、まだ正式じゃなかったの~」

「3人必要だからな、届けは受け取ったぞ」

「やった~初期メンバーとかムネアツぅ」

水瀬がその熱くなった胸を揺らして喜んでいる。一方宮前は水瀬と一定の距離を保つようにして部室の奥、窓際まで移動していた。……まだ腕を解いていない。

「……この部では胸を揉むことを禁止します」

「記念すべき最初の決まりがそれかよ」

どんな部活か不明すぎる。

「部の決まりはともかくとして、正式にこの部活の活動を申請してくっからよ、とりあえずお前らはココの掃除頼んだわ。明日からちゃんと使うことになるわけだしな」

「うん、どこまで終わってる?」

「窓は拭いた、あと窓付近もだいたい綺麗にした」

「なんで窓の方ばっかり……」

「落ちたらやべェだろ」

「落ちないよ……」

(せめて学校では親バカすんなよ……)

「じゃあそこから手前をやるよ~」

「任せたぞ」

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