ちょっと待て!その発言は・・
「俺が誰かを救うのは、もし、俺が、その人と同じようなピンチになった時に、俺も誰かに救ってもらえるかもしれないからさ」
あいつは、そう言ったが僕の考えからして、それは不自然だった。
あいつ・・・田森には、まず、誰かを救うという能力が高くないと僕は、思った。
そして、「救いがない」世の中だと僕は、思っているからだ。
だって、そうだろ?
この広い世界に飢餓や貧困、病気に苦しむ人は、どれだけいる?
その人達が、最終的に必ず救われるのか?
答えは、ノーだ。
つまり田森の言うことには初めから無理があるのだ。
僕・・北田 寛治 と、田森は中学からの友達だ。
僕は、中学一年の時に、田森と同じクラスになり交流がスタートした。
僕から見て、間違いなく田森は努力家だった。
そして、大人になった今だから分かることだが、田森は至って人並みの人間だと言うことだ。
かって、僕は、田森を「能力の高い」人間だと思っていた。
その実、能力が高いのは、僕の方だった。成人した今、身体も僕の方が大きかった。
鮮明に覚えているのは、田森が出会った当初、身体が大きくて、僕が小さかったこと。
その事実さえ、「今」となっては逆転したのだ。
田森は、そこそこの高校から、それなりの大学に入学した。
田森が人一倍、努力したのを僕は、誰よりも分かっていた。
そういうことを、僕は、分かった上で友達である、田森の発言に、真っ向から否定するのだ。




