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鼎さんとの日常

登場人物

あゆむ 23歳。フリーター。主人公である。

かなえ 250歳。年齢の割に行動・言動が幼稚だ。見た目は完全に幼女である。

「スイカ味はいやじゃ!

 絶対嫌なのじゃ!

 ハーゲンダッチが食べたいのじゃ!」


「そんな贅沢している余裕はありませんよ、鼎さん。」


 連日の残暑続き、アイスを買ってきたのにこの態度!


「むむむぅ・・・・・・

 なんでよりによって、スイカ味のアイスバーを買ってくるのじゃ。

 わしがスイカ嫌いなのは知っておるじゃろ」


「安かったんですよ。5本入りで128円、安いでしょ? ハーゲンダッチが食べたいなら、自分のお小遣いで買ってくださいね。毎月あげてるでしょ?」


「あんなびた一文じゃハーゲンダッチのアイスなんぞ、一個しか買えんわ!」


 さっきから言わせておけば・・・・・・

 怒気を帯びた顔付きになりかけるが、ここは抑える。


「スイカのアイスバーとはいっても、果汁0%だぞ。

 着色料とスイカのフレーバーで、それっぽく見立てているだけですよ」


「つまり、カレー味のう**と同じ理屈ということかや?」


「全然違うわ!

 どんだけスイカ嫌いなんだ!

 まったく・・・・・・ 冷蔵庫のバラ氷でかき氷でもしますか?」


「おー、ええのうかき氷。ほれ、用意せい」


 ホームセンターの、季節物処分セールで買った980円の手動かき氷器。冷蔵庫で製氷されるバラ氷も使える、優秀な奴だ。

 この手のかき氷器というのは、一般家庭では二・三回使ったら飽きて、シンク下の収納スペースにお蔵入してしまうものだったりする。当機は既に10回は使っているので大活躍だ。


 980円のかき氷器は氷を削るというより、砕くようにして容器に氷を積もらせていく。


「やっぱりバラ氷だと粗いな。

 鼎さん、シロップはどうします?」


 屋台のかき氷のように、味を選ぶほどのレパートリーは無い。徳用350mlのメロンシロップ、チューブ入りの練乳ミルクかの2択だ。


「うむ、メロン味じゃ」


「はいはい、メロンですね。そういえば、メロンとスイカって同じ瓜科なんですよ。知ってましたか?」


「おいこら、そういうのはやめい」


「ちなみに、キュウリも瓜科ですよ」


「瓜科の話はやめい、キュウリ味のコーラを思いだしたではないか・・・・・・」


 ふと、期間限定のキューカンバーコーラを思い出す。興味本位で買ってみたもののあれは酷かった。レモン味以外のコーラには、手を出すべきではないと自らの舌で学んだのだ。


 シャクシャクシャク・・・・・・


「うーん、粗いかき氷も悪くないのう」


「こんな氷で300円もとるなんて、良い商売してるな、かき氷屋は」


「かき氷屋でも起業してみたらどうじゃ?」


 起業とは大げさな。


「鼎さんが看板婆になったら客引きになるかもしれませんねー」


「カンバンバァってなんぞや。あぁ?」


 ギロッ、と怖い顔をして見せる鼎さん。

 幼い様相ながら、大きな瞳から放たれる狂気は、中身の年齢相応だ。


「あはは、その身形じゃ、こないだの様に変な奴が、寄ってきそうですけどね。」


「あれじゃな・・・・・・ ロリコン?というやつかや?」


「そうそう。」


『こないだの様』にとは、先週プールへ行ったときの事だ。元凶は鼎さんが、あざといスクール水着を着ていたことだった。

 明らかにそういう目的でカメラを持った大男に追いかけ舞わされた、という事案である。最後は鼎さんご本人が、大男の局部に蹴りを差し上げた。


「わしが若くてナイスバデーということに間違いあるまい。アヒャヒャ」


 ナイスバデー、いやナイスバディーってその体型は違うだろ!

 そりゃ、ある一定の層からは、ナイスバディーなのかもしれんが。


「まぁ、この程度で300円はないの。アイスなんて一昔前まで30円か10円だせば買えたのじゃぞ。」


 父親から聞いたことがある、40年程前は10円アイスどころか、5円アイスもあったのだと。

 もちろん5円アイスより、10円アイスの方が美味しかったそうだ。


「鼎さんにとって、40年前が一昔前ですか!?」


「そうじゃ、ついこないだのことじゃ。これだけ長く生きておると、時間の感じ方も・・・・・・

 なぁに、人生長いんじゃ。急がんで、気ままにやっておれ。

 頑張って働いて、死に急ぐこともなかろう」


 フリーター生活をしている自分が、肯定されている気がしないでもない。

 いや内心うれしいけど、甘やかされてる気がするぞ。


「はは、そうですね。鼎さんほど長くないにしろ、まだ先は長いだろうし・・・・・・」

「今夜は久しぶりに、外で食べますか?」


「本当か!? やったのじゃあ!」


 ひょいと立ち上がり、満面の笑みを浮かべる。


「それにしても、どうしたのじゃ急に?

 ハーゲンダッチのお詫びかや?」


「いや、バイトの時給が上がったんで、たまにはちょっとした贅沢もいいかなって。」


 決して金銭的に生活が楽なわけではない。しかし何か鼎さんの言葉に、励まされた気がしたのだ。


「もちろんお詫びもありますよ。どこ行きたいですか?

 駅前にできたラーメン屋? バーミワン? それともザイゼリアにしますか?」


 って、いない!

 もう玄関かっ!


「ステーキハウスに行くのじゃあ!」


「そんな高級店やめてください! ってか、まだ夕方ですよ鼎さん!」


 PM3:12


「にひひっ、歩と久しぶりの外食。楽しみでのう」


 妹でもない。娘でもない。でも愛おしい。

 鼎さん、可愛いな。(断じてロリコンでは無い!)


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

所謂「ロリババァ」なのですが、鼎さんはロリ寄りのロリババァですね。

次の更新では、歩と鼎さんの巡り合いを書いていきたいと思います。

※誤字・脱字、言葉の誤用などありましたらご報告ください。改稿は話の流れに影響が無いように行います。

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