ドSな彼女と幸福論
「たまにさぁ、自分が本当に幸せどうかわからなくなるんだよな」
「私がいるのにいまは幸せじゃないんだ?」
「そうじゃなくて。これから5年10年先の自分が想像できないっていうか、そういう時に自分が幸せだって言える自信がなくてさ」
「なら逆に不幸になる想像してみなさいよ」
「不幸?」
「そう不幸。あなたにとって不幸じゃないことが幸福だって思いなさい……馬鹿なんだから。結局、幸福なんて曖昧で、同じように『ここから先が不幸です』みたいな定義なんてないのよ。私に言わせればどちらも互いを汚くののしり合ってるだけね。だから自分がイメージできる範囲の幸福を追いかけなさい」
「ならいまは不満はないかな。仕事は面倒くさいけど嫌いじゃないし、それにお前もいるし」
「単細胞。5年10年先はどうなの?」
「うーん、いまのまま年齢に似合って物事が進んでればいいや」
「でも私が10先も一緒にいる保証はないわよ」
「えっ!? あ、まあ……」
「私に一緒にいてほしいの?」
「居て欲しいです」
「なら私を大切にするって誓いなさい。そしたら結婚して側にいてあげるわ」