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昨日、カメラを向けられて「妊娠中ですか」とインタビューされた男の話
部屋にはだんだんと煙が充満し、そろそろ意識が危なくなってきた。覚悟を決めねばならないだろう。
扉の向こうは視界ゼロの死の世界。窓から見下ろした眼下には遥か彼方に野次馬達が群れている。
俺が飛び降りてくるのを待っているのか。この炎に包まれたホテルから。
駄目だ。俺には飛ぶ勇気はない。だがこのカーテンをベランダに結んで降りれば、恐らく助かるだろう。
「う、腕が。持たない、落ちる!」
俺の体重は百五十キロだった。