王太子に対して浮気なんて大罪だから追放する!とか言ってますけど、王太子殿下と婚約者だった覚えはありませんよ?
「王太子に対して浮気なんて大罪だからファリアを
この国から追放する!!!」
……え?
「ファリアは、ジェラルド・アントワープと婚約した
んだろう!それは表にも出ている。動かぬ証拠だ」
……えー……
「申し訳ないのですが、殿下。私、貴方と婚約して
いた記憶なんて微塵もないのですが……」
「何を言っているファリア!俺たち、6歳の時に
将来結婚をする約束をしたじゃないか!」
「えー……」
私は1つ咳払いをする。
「殿下、確かにそんなことを言ったことは覚えてい
ます。確か殿下に『好きだ。将来俺と結婚してくれ
!』と言われました。しかしあの時はあくまで子供
の頃の話ですよ」
大声で王太子殿下が追放を言い渡したせいで周り
に変なギャラリーが集まってきたが気にしない。
「私はただの遊び……そんな時期もあるかな、と
いう考えと、殿下は情緒不安定なので、ここで結婚
しませんと言ったら不敬罪に値すると言われる可能
性があると考えた結果 了承しました」
「なっ……お前も俺のことが好きだったろ!」
「何故そう思ったのですか?」
言葉に詰まる王太子殿下。そこに私は追い打ちを
かける。
「そもそも殿下……。王太子と結婚できるのは、
侯爵家までと決まっているでしょう」
「ぐっ……でも!他の国は!」
「でもこの国はそう決まりがある。伯爵令嬢の私が
貴方の正妻になれるわけがないでしょう」
一部のギャラリーが私に向けて拍手を送る。
「っ……後日裁判を行う!今日俺に反抗したのを
追放された国でじっくり味わうんだな!」
そう殿下は言い残し、この場の空気に耐えられ
なくなったのか去っていった。
……後日裁判を行う、ねぇ。果たして負けるのは、
どちらかしら?
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
殿下の言っていた、裁判の日が来た。
人々の視線一つ一つが私の肌を刺す。
『王太子殿下と伯爵令嬢の、浮気かどうかを判定
する裁判』。人が来ない訳はなく、傍聴席にはあふ
れんばかりの人、人、人。
それにしても、ここまで大規模だとは……。
王太子パワーはすごいということを改めて分から
された気がする。
「すぅ……はぁ……」
「殿下、おやめください!!!」
「!?」
殿下が原告席からこちらに向かってくる。
「殿下。原告席にお戻りになられたら?」
「これはお前のせいだからな!!」
「先日も申しましたように、正式な書類があるわけ
でもないので……」
「はぁ!?お前 王太子に向かって逆らうのか!?」
……話が通じないようですね。
でもここで痺れを切らせ手を上げたら本当に
こっちが加害者になってしまう。
「殿下。そもそも貴方はどうやってこの裁判に勝つ
つもりですか?」
「真実の愛を証明するのだ!!!」
自信満々に答えるその姿に、傍聴席がざわつく。
「どうやって真実の愛を証明するのですか?」
「この、『真実の愛判定器』を使うん
だ!!いやー、これを作るの大変だったよ」
「……そうですか」
それを使ってくれるなら、こっちにも都合が良い。
「『真実の愛判定器』の結果は……は?『真実の
愛、無し』……?」
「やはり私の言ったことが正しかったでしょう?
こんな無駄な時間……」
「無駄な時間だと!?」
「!」
王太子と伯爵令嬢の話に裁判官が割り込めなく
ておろおろしてるのが視界の端に見えて鬱陶しい。
「俺がお前のためにどんなに努力してきたのかわかるのか!?その時間すべてを、無駄だと!?」
「いえ、そのようなことはー……」
「お前に俺の気持ちがわかるのか!?」
わからない。わかるわけがない。
「私に殿下の気持ちはわかりません。ですが、私の
ために努力してくれた心は、認めますよ」
「……」
「殿下のお気持ちは、ありがたく受け取っておきま
す。でも、私にはもうジェラルド様がいますから、
ごめんなさい」
「……ありがとう、努力を認めてくれて」
殿下も、悪い人じゃなかったな。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
私は手紙を書いている。誰にかって?殿下にだ。
あの日から私達はたまに手紙を送り合う仲になって
いる。
「まあ……友達ってことだよね」
なんだかんだ、丸く収まった感じだ。
私は今書いた手紙を封筒に入れる。
「ま、全員ハッピーエンドってことで、いいかな」




