数十億もいたのに絶滅した鳥「リョコウバト」について
リョコウバト(Passenger pigeon)
別名:空飛ぶ食料
概要
リョコウバトとは、かつて北米大陸を「鳥で覆い尽くす」という、現代の環境保護団体が聞いたら即日卒倒するレベルの生態系チートを行っていた鳩である。
その数は数十億羽とも言われ、当時のアメリカ人は「空が暗くなった?日食かな?」と思ったら全部リョコウバトでしたという、もはや自然現象と区別できない存在感を誇った。
しかも19世紀当時の世界人口が10億人と呼ばれているのに対し、リョコウバトの一群は20億羽にも達したというのだからその規模感は半端では無かった。
しかし、そんな圧倒的物量を誇った彼らにも、
たった一つだけ致命的な弱点があった。
それは――
”美味すぎた”
この一点である。
味の暴力。旨味の暴走。
19世紀アメリカ人は、彼らを見てこう思った。
「こんなにいて、しかもこんなに美味いなら、狩らない理由がない」
こうして、リョコウバトは“食欲”という名の大量破壊兵器の前に散った。
【特徴】
・群れの規模は常軌を逸していた
群れの長さは数百km。通過に数時間。
つまり「空が暗い=天気ではなく鳥」
もしも気象庁が存在していたら「リョコウバト群接近警報」を出していたであろう。
・繁殖力が高いようで低いという詐欺仕様
「数十億もいるんだからさぞ繫殖力も性欲も強いんでしょ?」と言いたくなるでしょう。
しかし、数十億も繁殖しているからこそ、
彼らには”種の保存”という生物の基本的な感覚がマヒしていた。
この「数十億羽いるから余裕でしょ」という慢心が、後に“絶滅RTA”を引き起こす。
・飛行速度が速すぎる
時速100km以上。
つまり「高速で移動する高級食材」。
しかし当時のアメリカ人にとっては、
走ってる牛を追うより捕まえやすかった。
【人類との関係】
狩猟:胃袋が文明を破壊した瞬間
リョコウバトは大量にいて、しかも美味かった。
この2つが揃った結果、アメリカ人は完全に理性を失った。
・撃てば落ちる
・網を振れば入る
・棒を振れば落ちる
そして何より、”焼けば旨い”
この“完全無欠の食材”を前に、
当時のアメリカ人は文明人の皮をかぶった捕食獣と化した。
さらに鉄道と電信が「リョコウバト位置情報共有ネットワーク」としてフル稼働し、
「群れが来たぞ!」→「全員集合!」→「全滅」
というムーブが繰り返された。
つまり、もし絶滅していなかったら
イッテQが宮川大輔を派遣しそうなほど、お祭り騒ぎだったのである。
【絶滅】
1914年、最後のリョコウバト「マーサ」が死亡。
こうして、かつて空を覆った数十億羽の鳥は、“美味すぎた”という罪によって完全に姿を消した。
人類は後になって「やりすぎたかもしれない」と反省したが、
胃袋が満足した後の反省ほど無意味なものはない。
【まとめ】
リョコウバトとは、
「無限にいると思ったら有限だった」
という、資源管理の教訓を体現した鳥である。
そして彼らの物語は、現代人にこう語りかけている。
「調子に乗ると絶滅するぞ」




