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一日目※

 いつもと同じように私は目覚めた。いつもと同じように朝食を取り、いつもと同じように学校に向かった。

 何事もなかったかのように日常が続いている。違っているのは、二名のクラスメイトが入れ替わっていることだった。上原くんの他に、野村さんの姿が見えなかった。ゲームマスターの言葉を信じるならば、人狼に襲撃されたということだろうか。

 おそらく野村さんの代わりであろう、その女生徒は、入試で不合格になったはずの中学の同級生だった。上原くんと野村さんの存在がリセットされたため、彼らの代わりの人物が現れた。そういうことだろうか。

 私たちプレイヤー以外は、クラスメイトが入れ替わっていることに気付いていないようだった。生き残った他の七人は、皆一様に暗い顔をして、誰もゲームついて語ろうとはしなかった。私もゲームについては黙っていた。

 それにしても、なぜ野村さんが人狼に襲撃されたのだろう。野村さんは、最多票を集めた上原くんに投票していた。そのせいで人狼に狙われたとは考えにくい。だとしたら、彼女は人狼にとって不都合となる発言をしていたのだろうか。あるいは、成績優秀な彼女を、早い段階で排除しておきたかったのだろうか。現時点では、誰が人狼なのか全くわからなかった。


「若月、ちょっといいか?」

 放課後、山本くんが私を呼び止めた。屋上へと続く階段の踊り場に、二人で並んで立つ。そういえば、山本くんと秘密の話をする時は、いつも踊り場だ。

 私たちは、お互いの役職を告白した。幸運にも、私たちは同じチームだった。

「良かった。若月と同じチームで、本当に良かった」

 山本くんはヤンキー座りをして、心底ほっとしたように言った。

 私はしゃがんで、山本くんと目の高さをそろえる。

「お願いがあるの。上原くんの家、私と同じマンションなの」


 私たちは非常階段の手前から、上原くんが住んでいたはずの501号室のドアを眺めていた。

「そういえば、純平から聞いたことがある」

 山本くんが落ち着いた声音で話し始めた。

「おじさんとおばさんの仲が悪くなったのは、純平がサッカーの強豪校に進学したいって、言い出したからなんだって」

 私たちが見ている前で、501号室のドアが開いた。大学生くらいの女性が出かけていく。上原くんのお姉さんだ。私は、彼女が駅前の書店でバイトしているのを見たことがある。

「去年、お姉さんは私立の大学に入ったばっかりだったし、弟はまだ小学生だから、純平にだけ、高校のうちから金かけられないって、おじさんに反対されたんだそうだ。部活やってるだけで金かかるし、うちもそうだけど、弟もサッカーやりたがってて、どうしようもなかったんだ。純平は、俺らの中では一番うまかったけど、所詮中学の部活レベルだし。強豪校の特待生になれるほどの実力も実績もなかったからなあ。結局公立高校に入るしかなかった」

 山本くんが、誰にともなく言った。

「きっついなあ」

 私たちは否応なく、命を懸けたデスゲームに臨まなければならなくなった。


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