第47話 カンボナ王国の最期
カンボナ王国との戦いから1週間後、干潮時に敵の砦にクルトの指揮する軍は総攻撃をかけた。
魔法部隊が火の玉、氷の槍で攻撃をすると敵の兵士は逃げ出し残った兵士は白旗を上げて降伏した。
クルトの軍は陸地から進軍し、ショーンの艦隊は海からカンボナ王国の王都に向かっている。
俺は皇都に戻り、通信機で報告を聞いて指示を出している。
クルトの軍から連絡があり、途中の敵も破り王都に向かって進撃をしている。
皇宮に戻るとリズとタクミが笑顔で迎え。
「お帰りなさい。戦争に勝って安心しました」
「うん。敵は思ったより弱くて簡単に勝てたよ」
「私の言った通り大人と子供のケンカだったみたいね。でも戦争は何が起こるかわからないから心配したわ」
タクミが抱きついて。
「お父様お帰りなさい。僕も心配したよ。勝てて良かったね」
「心配をかけたな。此の通り元気だから心配するな。暫く見ないうちに大きくなったな」
「うん。僕、父上が勝つように毎日祈っていたよ」
「そうか、ありがとう」
タクミを高い、高い、してあげるとタクミはキャキャ声を上げて喜んでいる。
俺が小さい時にアルドお兄さんが同じように高い、高い、をしてくれた事を思い出して何故か涙が零れた。
亡くなった、いつも国民を第一に考えていた陛下、俺が遊びに行くといつもお菓子を用意して待っていてくれた今は亡きイリア第1皇妃とアンヌ第2皇妃を思い出し懐かしくなった。
リズとタクミを連れて皇族の眠る墓地に行き先祖に戦勝の報告をし、この大陸で二度と戦争を起こさない事を誓ったのだ。
それから1カ月後、クルトとショーンから王都を包囲したとの報告があった。
空間移転でデルタ街に行きそれから馬を飛ばして、カンボナ王国の王都を包囲している軍に合流した。
王都は5mくらいの高さの城壁に囲まれて中が見えないのだ。
合流して直ぐに影の者が報告に来て。
「カンボナ王国の実権は皇太子が握っていて、国王を排除する為にデルタ街にクルード帝国は財宝を隠しているのでそれを国王が奪うために総大将として行くように言った所、欲に駆られた国王が戦地に行ったらしいのです。大勢の住民は逃げ出してショーン様が保護しましたが、残った住民を人質に取って皇太子は王都の王宮に立てこもっています」
影の者の報告を聞いて親が親なら子も子だ。自国の住民を盾にするなど聞いたこともない。
ショーンに王都の中の様子を聞くと吐き捨てるように。
「敵の王太子は気が狂っているとしか思えない。自分たちと貴族たちは王宮の中に閉じこもり、王宮の周りの堀の外に住民と奴隷の子供と女性を何万人と集めて兵士が剣を抜いて逃げる者は殺しています」
クルトが続きを話して。
「城壁にはしごをかけて様子を見ましたが、城壁の内側にも住民を集めて兵士が監視しています。アヤノたちが潜入して調べて来たのはショーン様が話した通りです。どうしますか」
俺は暫く考えて、住民を犠牲にすれば皇太子を倒せるが、やはり何万といる住民を犠牲に出来ない。
考えた末、住民は王宮の堀の外にいるので被害が少ないと思い、流星魔法で王宮ごと王宮にいる皇太子と貴族たちを殺す決断をした。
俺が流星魔法を放った後に、ラオスとリンダに城壁を火魔法で焼いて壊し兵士を突入させて、住民を救う事を命じてこの戦争で初めて流星魔法を放った。
何百という流星群が王宮めがけて落ちて一瞬で王宮が崩れて燃え上り、中にいた人間諸共、瓦礫の山と化したのだ。
それと同時にラオスとリンダが城壁を火魔法で焼いて壊し、我が軍の兵士が突入した。
敵の兵士は流星群が王宮を襲ったのを見
て驚愕してしまい、戦意をなくして呆然としていたので住民を助けだす事に成功した。
助け出した住民から喜びの歓声が上がり俺は此れで戦争が終わったのを実感したが、それと同時に此の荒れたカンボナ王国の再建が大変だと思った。
カンボナ王国の最期を見届けて俺は一旦リズの待つ皇都に戻ったのであった。
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