第46話 開戦
デルタ街に来て影の者と会い報告を聞いている。
以前からアヤノの諜報部と別に影の者に戦後の内政をどうするか、考える為にカンボナ王国の実情を探らせている。
影の者の報告によると、カンボナ王国は属国にした国の国民を奴隷にして、自国の農業や奴隷兵士に従事させている。
国民の半分は奴隷で、自国の国民を優遇して貴族たちは奴隷を使って豊かな暮らしを満喫しているのだ。
俺はそれを聞いた時、同じ人間を奴隷として扱うカンボナ王国の王族や貴族に怒りを覚え、この戦争に勝ち、王族と貴族を処罰して奴隷を解放しカンボナ王国を作り替える為に先頭に立ち戦い勝つ事を誓ったのだ。
又、カンボナ王国は火薬を使った爆弾を使い他の国を侵略して属国にした事も分かった。
爆弾がどのくらいの威力か分からないが、俺の流星魔法を使えば爆弾より威力があるので勝てるだろう。
俺はレオン、リンダ、バース、アヤノを連れて海上の島陰に隠れている艦隊に空間移転で合流した。
ショーンは合流した俺に。
「未だカンボナ王国の帆船は見えませんが昼過ぎには姿を現すと思います。見えたら直ぐに攻撃しますか」
「直ぐに攻撃をしなくて良い。クルトと話をして挟み撃ちにするので待ってくれ」
敵が上陸する地点に行くとクルトは既に兵士を配置して戦いの準備をしていた。
クルトは俺を見ると。
「陛下も戦う気なのですか! もしもの事があったなら大変なので戦いは俺たちに任せて状況を見ているだけにしてください」
「見ているが状況によっては戦いに参加するつもりだ」
「陛下が戦いに加わるような状況にしないつもりです」
「クルト、敵は爆弾で攻撃して来るつもりだ。どれだけの威力があるのか分からん。用心しなさい。敵が上陸を始めたなら艦隊から魔法で攻撃をして挟み撃ちにするのはどうだ」
「それなら、カンボナ王国軍は予想していないので我が軍が有利に戦えるでしょう」
ショーンの予想通りカンボナ王国の帆船が、昼過ぎに中央に1番大きな帆船を囲むように10隻が姿を現した。
多分1番大きな帆船が司令船なのだろう。
カンボナ王国の帆船は暫くの間、様子を見ていたが、司令船を残して陸地に近づき始めた。
その時ショーンの指揮する我が軍の艦隊は島陰から出て敵の帆船に向って全速力で走り始めた。
敵の帆船は陸地の兵士、目掛けて大砲から爆弾を撃ち始め砲弾が砂浜に落ちて爆発した。
思ったほど爆発の威力は無く、10mくらいの浅いクレータを作っただけで俺が前もって爆弾を撃つ事を言っていたので、直ぐに避難した味方の兵士には損害が無く安心した。
敵は俺たちの艦隊に気が付かないのか、兵士を上陸させ始めた。
敵の司令船が俺たちの艦隊に気が付いて驚いているが、構わずラオスが上陸する兵士に火魔法で大きな火の玉5個を撃ち込んだ。
上陸していた敵の兵士は思いがけない火の玉に焼かれて逃げ惑っている。
リンダも敵の帆船に火の玉を次々と放って、火の玉で数隻の船は燃え上って、乗っていた兵士は海に飛び込んで逃げていた。
バースも氷の槍を敵の帆船に撃ち込むと上陸を止めて逃げ出したのだ。
ショーンは司令船に味方の船をぶつけて兵士を乗り移らせ戦い始めた。
俺も敵の司令船に乗り込んでみると味方の兵士は段違いに強く敵の兵士を倒している。
俺は敵の総大将らしき数名を探して見つけて拘束してラオスに預けた。
司令船の兵士は白旗を上げて降伏したのだ。
陸地ではクルトが指揮する兵士が敵の兵士を倒してやはり敵は白旗を上げて降伏していた。
10隻いた敵の帆船の5隻は焼けて沈んだが、残りの4隻は一目散に逃げていった。
ショーンが。
「追いかけて沈めましょうか」
俺はカンボナ王国に攻め込むつもりなので。
「逃がしてやれ。どうせカンボナ王国に攻め込み無条件降伏させるつもりだ」
「それなら追いかけるのは止めます」
こうして我が軍はカンボナ王国の帆船に完勝して捕縛した、敵の総大将と思われる5人を連れてクルトのいる陣地に引き上げた。
陣地に行くとクルトが出迎えて開口一番。
「敵が思ったより弱すぎて退屈でしたよ」
「敵が弱かったのか我が軍が強すぎたのか分からないが簡単に早く戦いが済んで良かった。死者は出なかったのか」
「爆弾の爆発に巻き込まれて怪我人は出ましたが亡くなった者はいません」
「戦争で亡くなった者がいないのは珍しいな。怪我人は大丈夫なのか」
「はい、軽傷で済みました」
亡くなった者がいないと聞いてホッとした。
リズが言った通り大人と子供のケンカみたいで実力に差があり過ぎたみたいだ。
ラオスが総大将と思われる5人を連れて来たが、何故か1人の豚みたいに太って豪華な服を着た男が猿轡をされているのでラオスに聞くと。
「喚いてうるさいので猿轡をしました」
猿轡を外すと喚きだし。
「わしはカンボナ王国の国王だ。無礼は許さん。早く縄を解き優遇しろ」
自分からカンボナ王国の国王と名乗った男に呆れていると尚も喚くのでラオスが、外した猿轡を又、すると縛られている手足をバタバタさせている姿が可笑しくて側にいた皆は笑ってしまったのだ。
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