第29話 リズと
視察から帰ると久しぶりにリズと一緒に陛下に会いに行ったが、年のせいか少し弱っている様子だ。
陛下の傍には第3皇妃の俺の母上のアーニャが付き添っていて俺を見ると。
「リオン久しぶりに会うと逞しくなって見違える程だわ。婚約者のリズさんと会うのも成人の儀以来ね。ますます綺麗になって羨ましいわ」
「そんな、アーニャ様こそいつまでも若々しくて綺麗ですわ」
陛下が。
「オイオイ、女は話すことはそんな事しかないのか」
母上は。
「女は若さと綺麗を保つのは好きな旦那様のためなのに陛下は私がおばさんになるのは嫌でしょう」
「リオン聞いたか? 余のためだと言うが男を操るためだとの間違いだろう。ハッハッハー」
陛下が冗談を言うくらい元気なので安心して2人と別れて久しぶりにリズと歩いて街を見ながら帰る事にした。
街は依然と違いゴミ1つ落ちていなく綺麗でどうやら住民が交代で掃除をしているらしい。
リズがそんな街を見て。
「清潔で綺麗になったのも殿下のお陰ね」
俺はリズが殿下と言うのが嫌で。
「リズ他人行儀に殿下と呼ぶのは止めて名前で呼んでくれないか。前世では夫婦だったし、今は婚約者だろう」
「でも、今は次の皇帝で皇太子だからそれに前世で夫婦だったけれど体の関係はなかったから本当の夫婦になっていなかったわ」
歩いていると綺麗なカフェがあったので入って、コーヒーを飲みながら前世の結婚する前、付き合っている頃の話をしてリズが。
「アメリカから月に何回も私に会いに来てデートをしたわね」
「ああ、そうだな。それだけ瞳が好きで愛していた」
「ウッフフフ、瞳と呼ばれると昔を思い出すわ。異世界に生まれ変わって又、夫婦になれるとは思わなかった。今度は一緒に長生きして共に白髪が生えるまで楽しみましょう」
「俺もまさかこの世界で又、瞳と一緒になれるとは思わなかったよ。女神様に感謝しないといけないな」
「そうね。卓也は生まれ変わっても変わらないわね。昔と同じで優しく思いやりがあって皇帝になったなら良い皇帝になると思うわ」
「そうなれるように努力するよ」
それからカフェを出て街を見下ろせる丘の上にいき、のんびりと過ごしリズの肩を抱き寄せ。
「リズが大好きで愛している」
リズも抱かれながら。
「私もリオンが大好きで愛しているわ」
俺たちはこの世界で初めてのキスをしたのだった。
それからは2人だけの時はリズとリオンと名前で呼び合い今まで以上に親密になった。
久しぶりにリズと過ごした数日後に諜報部のアヤノが来て。
「殿下、如何やらバスタ王国とログラン皇国の連合軍が攻めて来そうです」
「本当か! いつだ」
「10日後くらいに宣戦布告をしてくると思います」
「総大将のクルトに知らせたのか」
「はい、クルト様は準備万端で心配はするなと言っておりました」
緊急にショーン軍務大臣とラオス宰相を呼び対策を話あった。
ショーン軍務大臣が。
「心配はないでしょう。クルトは思ったより軍略に優れ連合軍を追い返すでしょう」
ラオスも勝つのは当たり前だと思って。
「戦争の後のバスタ王国とログラン皇国の王族と皇族はどういたしますか」
ショーンが。
「決まっているだろう。王族と皇族は処刑してバスタ王国とログラン皇国は我が国に併合してしまえば良いだろう」
ラオスが心配そうに。
「それならバスタ王国とログラン皇国の領内まで攻めないといけないので降伏させる手はないのですか」
俺が発言して。
「敵の領内に進攻するのは犠牲者が増えるので戦いで勝ったなら外交で無条件降伏させれば良い」
現実に戦って勝っていないので今後の事は、戦争が終わってから決める事にしたのである。
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