第23話 皇太子になって
皇太子になって俺の離宮には陛下が住み俺は陛下が住んでいた皇宮の3階に住むようになった。
俺の左右の部屋には側近の部屋があり、いつでも駆けつけてくる。
その他、近衛騎士団が24時間体制で警護をしている。
表向きは陛下はまだ皇帝だが、実権を俺に譲り悠々自適の隠居生活を楽しんでいる。
住まいを陛下と変わるときに陛下が。
「置き土産だ。影の者出よ」
そう言うと、どこからともなく黒装束の男が姿を現し陛下が。
「此の者は代々皇帝に仕える陰の者だ。余も何人いるか分からん。常に皇帝の傍にいて影の者と呼べばいつでも姿を現し、皇帝の命令を聞き行動を起こすのだ。皇帝の命令には絶対忠実で皇帝以外の命令は聞かん。名前はない。ただの影の者と呼んでくれ。影の者、今日からは余は引退し、此のリオンが皇帝の実権を持った皇太子だ。わかったな」
影の者が。
「はい。承知いたしました」
影の者はそう言うと姿を消して、まるで前世の忍者みたいだ。
ヨハン宰相も引退をして今はリズの兄ラオスを今年で20歳になる若いが、宰相に任命した。
俺の身の回り面倒を見る専属侍女も3人に増えている。
新しい皇太子の執務室で我が帝国の地図を見ているが、リマ皇都と自分の領地以外に行ったことがなく皇帝になるならば全部知っておかねばと思った。
ラオスを呼ぶと。
「お呼びでしょうか」
「余は、わが国の実情を知るために各地を視察しようと思っている。最初はどこが良い」
「視察ですか? 最初は北側のバスタ王国とログラン皇国が最近同盟を結び不穏な動きを見せているので国境の街シブチはどうでしょう」
「バスタ王国とログラン皇国が最近同盟を結んだのか? 初耳だ」
「私も噂でしりました。本当はどうか知りません」
「そうか。それなら最初は国境の街シブチを視察に行こう。共は側近のリンダとバースを連れて行こう」
「2人だけではいざという時に危険です。もっと共を増やしては如何ですか」
「リンダとバースの実力は知っておろう。2人で千人は相手に戦え、それに余も魔法を使えば5千人は1度に倒せる。安心するが良い。皇太子の身分を隠して冒険者として見て回るつもりだ」
「全く! 皇太子なのに無茶な事をする。私も共をしてはダメですか」
「ダメだ! ラオスは俺の留守の間を頼む」
「あれ? 今、俺と言いませんでしたか」
「ラオスの前だから。気を抜いただけだ」
「はい、はい、私の前では気楽に話してください」
ラオスは5歳年上だが、前世の記憶を持っている実年齢45歳の俺にとっては数少ない何でも話せる相手だ。
リズに視察に出る事を話すと。
「私も視察に同行します」
俺が危険だからと反対すると。
「あら! 私1人を守れない危険な旅なら余計一緒に行かなければ、怪我や病気なった時に治せる私がいないと、それにやっと巡り合えたのにもう離れる嫌ですからね。絶対に付いて行きますから」
強引に押し切られてリズも視察に同行することになったのだ。
リズは馬に乗れないと思っていたが10歳の時から乗馬の訓練を受けていて軽々と馬を乗りまわすので、やっぱりお転婆娘だったと再認識したのだ。
荷物は空間カバンに入れて身軽な冒険者の姿で馬車ではなく、馬で皇都から国境の街シブチまでは4日間の旅だ。
アヤノたち諜報部には噂が本当かどうか調べさせるために先発させていた。
もしも、噂が本当でバスタ王国とログラン皇国が本気でわが国に戦争を仕掛けてくるつもりなら、国民を守る為に防衛の準備をしなければならない。
バスタ王国とログラン皇国は奴隷を維持し、奴隷を兵士や農作業に沢山使い、貴族や裕福な平民は贅沢な暮らしをしていると聞いている。
我が国が奴隷制度を禁止した。そのために自国の奴隷たちが反乱を起こすのではないかと恐れて我が国を敵対して同盟を結んだらしい。
俺は他国に干渉する気はないのに何とも馬鹿げた話だ。
今はそんな事は忘れて旅を楽しんでいる。
リマ皇都を出ると農村地帯で以前は芋畑だったが主食が米に変わり田園風景が続いている。
その他に小麦畑や野菜畑が並んでいてその間の街道を馬でゆっくり走っている。
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