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第5話 あの男

6人は戦乙女の宴ヴァルキリー・バンケットから帰ってきた。もう日をまわっていた。


「ねぇみんな、明日…っていうか今日、久しぶりに|案件受けに行こうよ。」

「え?でも私、結局あの時冒険者登録行けてないし…。」

雌夢魔(サキュバス)って冒険者登録できるの?」

「私は幽霊だから無理じゃないかな…?」

「でも昨日は遠征で大して活躍したわけでもないし、たまには普通のモンスター討伐でもいいのかな、って。それに、もしこれからもこの国を拠点にしていくなら他の冒険者との関わりも大切だからさ。」

「わかった。なら、お昼くらいには冒険者登録行こうよ。」

「もしサキュバスだからって登録させてもらえなくても頑張るよ。」

「幽霊の本気、見せてあげる。」

「よし、じゃあ昼に備えて早く寝よう。」



「ここが王国の冒連(ギルド)…、世界冒険者連盟の本部か。」


そこは物凄く広く、数階建ての博物館ともとれるような建築構造で造られていた。


「これじゃあどこで登録申請出せばいいのかわかんないよ。」

「あの町の冒険者登録の為の窓口は確か換金所とは別の職員さんがたくさんいる場所で…あ、あそこだ。」

「じゃあ、さっそく出しにいこうか。」


アオイが選んだ窓口には、とてもイカツイ見た目をした大男の職員がいた。

「お客さん、冒険者登録かい?」

「はい。この紙をお願いします。」

「私の分もお願いします。」

「私も。」

「冒険者登録申請書類、確かに受け取った。冒険者証明書が発行されるまで少し待っててくれ。そうそう、嬢ちゃんたち、まだ冒険者になるには早くないか?」

「お世辞言っても何も出てきませんが、どういうことですか?」

「嬢ちゃんたちの年齢で冒険者が出ると、欲にまみれた男たちに貪られるぜ?まぁ護身術に定評があるってんなら話は別だが…」

「私たちにはお兄ちゃんがいるので大丈夫です!」

「きっと他の男たちには私たちはご主人様の女だと勘違いされるので!」

「ちょっ、2人とも何言って…」

「そうか。少年、ハーレムってのは簡単じゃないぞ。全員を守る覚悟はあるか?」

「はい。あります。」

「さすがお兄ちゃん。」

「私たちのご主人様はやっぱり一味違うね。」

「ほら、冒険者カードできたから持ってけ。」

「ありがとうございます。」


「みんなの初案件(クエスト)、どうする?」

「何かいいの無いかな?」

「あっ、お前は…。」

「あっ、あなたは初案件(クエスト)で付き添いだったS1の…」

「今はもうS3だよ。お前、世界樹に行ったとか行かなかったとか噂だったがまさか生きてるとはな。さすが俺の見込んだ男だ。」

「この人は誰?」

「ああ、僕の初案件の付き添いをやってくれた人だよ。僕がE1で推奨A2の案件受けようとしたから。」

「へぇ。そうだったんだ。」

「お前ら、これから案件か?」

「そうですけど。」

「なら、俺の仲間に一緒についてこないか?ちょうど遺跡の調査に行くところだ。宝が出てこれば分けてもらえるよう頼んどくからさ。」

「わかった。みんなもそれでいい?」

「うん。」

「自己紹介がまだだったな。俺はウィドラ。経験はそこそこの冒険者だ。よろしく。」



「ここがその遺跡か。」

「お前らか、ウィドラに誘われた冒険者か?アイツから聞いた通り、宝は分けてやるよ。」

「よし、とりあえず奥まで行ってみるか。」


そして一行はモンスターと戦いながらも遺跡の奥にたどり着いた。


「よし、扉開けるから手伝え、お前ら。」

「ちょっと待って。私が開けるから。」

「嬢ちゃんには難しくないか?」

「大丈夫、見てて。『星拳一閃(ツージャン・ネーブ)』!!」


アオイが魔力を込めた拳を扉に叩きつけると、扉は粉々に砕け散った。


「ま、マジか…。」

「ほら、行きましょう。」


そして全員が中に入ると…。

扉が修復し、何故か破壊しようにも破壊できなかった。


「これって、何かに前兆なんじゃ…」


その時、壁のレンガの隙間から少しずつ透明な液体が流れ始め、さらに天井からは大量の超魔力人形兵が投下された。


「おい、どうなってんだ⁉さっさと壁破壊しろ!!もう宝云々言ってる暇は…ぐぁっ⁉」

「コイツら、襲ってきやがる!?お前らも戦え!!」


そしてあっという間に1人、2人と殺されてしまった。


「俺がお前らを誘ったのが悪かった!!どうか仲間だけでも守ってやってくれ!!」

「いいですよ。」


しかし、天井が崩壊したかと思えば、そこには異常な魔力量のゴーレムが現れた。


「このゴーレムは僕が相手します。下手に手を出さないでください。」

「生意気なのは変わってねぇみたいだな。まぁさっさと()っちまいな。」

「はい。『心裂剣リディルよ、目前の敵の核を破壊し、我らを救いたまえ。[心臓切り刻む王の技フジャスト・コルビング・コンゲ]』!!」


そしてシドラの一撃はゴーレムを貫通、核を直撃したが…。

ゴーレムは暴発し、受け身をとったシドラは地を転がっただけで済んだ。


「ああ…。くそ…。結局、アイツらを助けてやれなかったな。俺が誘った所為で…。」

「僕たちは無事です。せめて、遺跡の外に埋葬だけでもして弔いましょう。」

「…間に合わないってわかっててもな、やっぱ諦めきれねぇんだよ…。」

「だったら、急いで治療のできる場所に行きましょう。」

「え?ステラ、何か案があるの?」

「まだ間に合うから急いで!」

「もう間に合わねぇよ。」

「諦めないで!まだ助かるの!」

「…なら、お前に賭けるしかねぇな。」



5人は急いで近くの村までウィドラの仲間を担ぎ込んだ。(今回もパティーナは待機)


「この村にあるだけの回復薬(ポーション)をください!まだ助かるんです!」

「は、はい。」


そして集まった回復薬をステラは手早くその死体にかけていった。


「何も…、何も起こらないじゃないか!!」

「ここからだよ。『我を召喚せし偉大なる魔術師、ガミギュンよ。今、我が願いに応じ、眼中に在りし死体の主たちの魂をその肉体に宿したまえ![英雄の生還ヘルテンス・リトゥール]』!!」


すると、死体が青白く発光し始め、宙に浮いたかと思えば、最後にはその死体は自分の足で立っていた。


「あれ、ここは?俺は遺跡で死んだはずじゃ…?」

「まさか、ここが冥府とやらか。」

「いいえ、違います。あなたたいは私が復活させました。」

「は⁉冗談だろ?」

「ここにウィドラさんがいるのがわかりますか?」

「は?おい、ウィドラ!これはどういうことだ⁉」

「俺も知らねぇよ。ただ、お前らが生き返ったってことは確かだ。」

「マジか…。嬢ちゃん、ありがとな。」

「いえ、私はただ絶望していたウィドラさんが可哀そうだったので。」

「何か今少し煽られたような気もするが、まあいい。本当にありがとう。俺からも礼を言う。」

「今度からはしっかり仲間を守ってくださいね。」

「ああ。シドラ、虫のいい話かもしれないが、俺をお前らの仲間にしてくれ!!」

「え⁉ウィドラ、俺たちとはどうするんだよ⁉」

「今回のことで迷惑かけちまったし、少し茨の道を歩いてくる。」

「そうか。お前が決めたことなら大丈夫だな、保証はねぇけど。」

「ああ。必ず強くなってお前らとまた旅してぇからな。」


「そういえば、ステラってウィドラ相手にだけ敬語じゃなかった?」

「そ、そんなことないし。」

「いや、絶対敬語だった。」

「この負け惜しみ~(圧&怒)♡まさか、私のこと好きなワケ~♡?」

「出た、生意気状態。」

「シドラ、これからよろしくな。俺も足ひっぱんねぇよう頑張るからな。」


こうして、また新しい(?)仲間ができたのであった。

また、これは人間の男が幽霊の少女に恋をした日でもあった。


続く 次回、国王のドタバタな1日⁉

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