第八話 始まりの場所①
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部活を終えた後、惺玖たち三人は一度家に戻った。その後また集まりなおし、三人で駅に向かって歩いた。
「めっちゃ楽しみだね!」
「全く」
「え〜、駿くん達もきっと楽しみにてるよ〜」
「だといいな」
波夏は葵山に行くことをかなり楽しみにしていた。そんな波夏に惺玖はそっと尋ねた。
「ねえ、波夏」
「なに?」
「波夏ってさ、淳月君のことも下の名前で呼んでるの?」
「うん。君付けだけど」
「そっか……」
「友達は基本そう呼んでる。ていうか、何でそんなこと聞くの?」
波夏は少し笑いながら惺玖の顔を覗き込んだ。
「いやいやいや、別になんでもない」
惺玖は顔を見られないように両手で覆い隠した。
「あ〜、またごまかした。ひめちゃん最近それ多いよ〜」
「そ、そんなことないよ」
「まあまあ、波夏。惺玖さんもお年頃なんだ。そっとしといてやれ」
「そんなんじゃない!」
怒る惺玖を見て二人は楽しそうに笑った。それを見た惺玖はさらに怒った。
その頃、男子三人はすでに集合していた。
「すげえ楽しみだな!」
「いや、別にそんな」
「なんだよ、ノリ悪いな。淳月、楽しみだよな?」
「う、うん」
「だよな!水崎だけだぞ」
「お前にはこの反応が本音に見えるのか……」
「なにがだよ」
「いや、なんでもない」
そこに女子三人が到着した。
「みんな~!」
「恥ずかしいからやめろ」
「これで全員集合だな。じゃあ行こ~う!」
「お~う!」
「何がそんなに楽しみなの?」
誠一は唐突に二人に尋ねた。
「昔からの言い伝えの真相を暴くんだぞ。これ以上にワクワクすることがあるか?」
「そうだよ誠一君!私たちはこの町の神秘の扉を開けに行くんだよ。楽しみに決まってるじゃん!」
「な……なるほど」
そうして二人は元気に歩いて行った。その様子を見ていた八宵が竜翔に声をかけた。
「水崎。もう一度言うが、青凪はお前たちが管理しろよ」
「言い方……」
そう言いながら二人も歩いて行った。
「淳月君、私たちも行こ」
「うん」
誠一と惺玖も四人の後を追った。
葵山までの道中、六人の話題は惺玖たち三人の部活についての話だった。
「三人はどの楽器を担当してるんだ?」
「私と八宵はフルートだよ」
「橋姫は?」
「私はトランペットだよ」
「そうなんだ。いいね、トランペット」
「誠一好きだもんな」
「え~じゃあ私もトランペットに変更しよっかな~」
「お前じゃ無理だ」
「ひどっ」
笑い合う五人の中、惺玖は少し照れくさそうにしていた。
「変更って言えば、ひめちゃん変更だったよね」
「あーそういえばそうだったな」
「そうなのか?」
「うん」
「最初は三人でフルートやってたんだ。でもある時、トランペット担当してた人がコンクールに出られなくなってね。急遽、ひめちゃんが代役に抜擢されたんだ」
「惺玖は器用だったし上手かったからな」
「そんなことないよ」
「でもひめちゃんすごいんだよ。一人で残って練習してコンクールもすっごく上手だったんだ!」
「橋姫もやるじゃねえか」
「あ、ありがとう……」
「それからずっとトランペットなんだよね」
「なんか変に馴染んじゃってね」
話している間に六人は葵山に着いた。
「いよいよだね……駿君……」
「おう……」
「波夏。一人でどっか行くなよ。はぐれたら置いて行くからな」
「了解です」
「駿もあんまはしゃぎすぎるなよ」
「俺がそんなガキに見えるか?」
「ガキにしか見えんから言ってるんだよ……」
そんな四人を見ながら惺玖は笑っていた。
「あの四人、家族みたいだね」
「なんか分かるかも」
誠一もつられて笑っていた。
どんどん進んでいく四人の少し後ろを誠一と惺玖は歩いていた。
「それにしても橋姫さんすごいね」
「なにが?」
「さっきの話のことだよ」
「あー、別んそんなだよ。担当してた人ほど上手くできなかったし」
「僕はやろうとしたことが本当にすごいと思うよ」
「そ……そうかな……」
惺玖は再び頬を赤めていた。
「今日はなんか照れてばっかりだな……」
「なんか言った?」
「ううん。なんでもないよ」
「そっか」
「そうだ。淳月君、吹部の発表会見に来てよ!」
「発表会?」
「そうそう。今度の夏にあるんだ」
「そうなんだ。じゃあ、楽しみにしてるね」
「うん!」
惺玖は嬉しそうににっこり笑った。
二人は歩くペースを少し上げて四人に追いついた。
「もう少しで例の道が見えてくるから、慎重に行こうね」
波夏の一言で六人に緊張が走った。そして六人は少しずつ歩みを進めた。
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学校以外では初となる六人集合でした。葵山の化け猫とはいったい……。次回ついにあの分かれ道へ。六人は大丈夫でしょうか……。




