第五話 三人組と三人組
学校に着いた誠一は駿と解散し、席に着いた。
「淳月君おはよう」
「おはよう」
「あの人、青凪君だっけ」
「うん。この前の課題、竜翔とペアだったみたいで」
「そうなんだ。新しい友達じゃん」
「ま、まあ……」
誠一はスッキリしない返事をした。そこに、二人の女子生徒が登校してきた。
「ひめちゃんおはよ~う。朝練ないんだからもっとゆっくり来ればいいのに」
「全員が全員、お前みたいに腑抜けてると思うな」
「八宵だって私と一緒に来てるじゃん」
「私はお前を一人で学校に行かせたくないだけだ」
「八宵さん、ツンデレですか~?」
「ふざけるな。お前が一人で学校に行った時、寝ぼけて人の車へこませたの忘れたのか」
「あ~、そんなこともあったね~……」
「私と惺玖がどれだけ謝ったと思ったことか」
「すんません……」
「まあまあ八宵、もう昔のことだからさ」
「いや、私は絶対に忘れない」
その光景を呆然と眺める誠一に、今までしょんぼりしていた女の子が表情をころっと変えて声をかけた。
「あ、淳月君おはよう!」
「おはようございます……」
「私は常坂波夏。惺玖からいろいろ話は聞いてるよ~」
「どうも……」
「ちょっと波夏。淳月君困ってるじゃん」
「全然大丈夫だよ」
誠一はデジャブのように先程の光景を思い出していた。
「私は雪枝八宵。同じく二人の友達」
「淳月誠一です」
「淳月君、これからよろしくね」
「よろしくな」
「よろしくお願いします」
二人がそこを離れた後、惺玖は誠一に謝った。
「ごめんね淳月君、あの子悪い子ではないから」
「わかってるよ。僕の方こそごめん。人と話すの慣れてないせいで気使わせちゃって」
「ううん。それは全然気にすることないよ。淳月君言ってたじゃん。その人その人に距離感があるって。淳月君はそれが遠めなだけだよ」
「うん、ありがとう」
昼休み。誠一がいつものベンチに向かうと、そこには二人座っていた。
「お、淳月。お邪魔するぜ」
「青凪君」
「ごめんな誠一。どうしても来るって言うから」
「僕は別に構わないけど」
「いや~中等部の頃の友達がみんなクラスが違くてな。一人ぼっちなんだわ」
「そうだったんだ」
「無理矢理割り込もうとは思ってないけど、二人さえよければ仲良くしてくれよ」
「俺は別にいいけど……」
竜翔は誠一の顔をうかがった。
「うん、いいよ」
「お、まじか。改めてよろしくな」
「うん」
というわけで、昼食の時間が三人になった。
「それにしても青凪君はすごいな」
「なにがだ?」
駿は不思議そうな表情で誠一の方を向いた。
「人に仲よくしようとかはっきり言えるのがさ」
「誠一……」
誠一は少し寂しげにそういった。
「まあ思ってるだけじゃ伝わんないからな。黙ったままモヤモヤするぐらいなら言って嫌がられる方がましだと俺は思ってる」
「すごいな本当に……」
「そうか?」
『僕も、できれば言ってみたいな……』
そうして誠一は、新しい三人組で昼食をとった。
同じ頃、惺玖はいつもの三人組で、今朝のことを話しながら昼食をとっていた。
「波夏ぐいぐい行き過ぎるんだもん」
「ごめんなさい、つい……」
波夏は申し訳なさそうにうつむいた。
「余計なことするなよって言っただろ」
「だって、自己紹介したかったんだもん」
呆れている八宵に波夏はいじけるようにそう答えた。
「あのな、やり方ってのがあるだろ?フレンドリーなのは良い事だけど初めましてであの感じはやめた方がいいと思うぞ」
――「ハックションっ!!」
「青凪君、かぜ?」
「八宵ってなんだかんだ私のこと大好きだよね」
「別に嫌いなんて言ったことないだろ」
「ふ〜ん」
「ぶん殴るぞ」
惺玖はいつも通り仲のいい二人を見ながら昼食をとった。
LHRの時間は週に一度設けられている。何をするかは、基本的にクラス担任に任されている。とは言っても、係決めなどのクラスの時間に当てられることがほとんどだ。E組の担任は、特にそのクラスの時間を大切にしていた。先週の取り組みもそれが関係している。そして、また新たな取り組みを計画していた。
「みなさん、先週はお疲れ様でした。素晴らしいものばかりで、やってよかったなととても満足しています。というわけで、今週も新たな取り組みをしようと思います」
誠一は今度は何かと身構えた。
「今回は星鏡町について調べてもらいます。星鏡町はとても歴史深い町で、いろいろな興味深い歴史や言い伝えがあります。その中から一つテーマを選び、男女六人程の班でレポートを書いてもらいます。それを、来週の時間を使ってクラスで発表してもらいます。メンバーは自由です。人との協力、星鏡町の歴史に触れる、レポートを作るなど、とてもみなさんのためになる取り組みだと思っています。今日の時間は班のメンバーを決めて顔合わせをしてもらいます。それではみなさん期待していますよ」
そうして全員が一斉にメンバー決めを始めた。
「男三人は淳月と三人でいいよな?」
「まあ、それしかないだろうな。問題は女子だな」
『誠一のことを考えるとすでに顔見知りの人がいいよな……。となると……』
「男女か。波夏どうする?」
「ふふふっ……。決まってるじゃないですか……」
「お前まさか……」
『男女六人くらいか……。なんでだろう、あっさり決まる気がする……』
この後、誠一の勘は当たることになる。
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誠一の知り合いがまた増えましたね。次回はグループ決めです!




