第二十話 新しい友達
怖かった。ただ、怖かったんだ。
「違うって!あれは常坂が食べないって言ったから!」
「言ってないよ~!後で食べるって言ったの!」
人と関われば、仲良くなれば、また同じ目に合うんじゃないかって。正直に弱音を吐く。本当に辛かった。何もしたくなかった。あんなに傷つくことはもう二度とないんじゃないかと思うほどに。
「あ~、あの問題ってそういう考え方すればいいんだな」
「そうそう」
「聞いたからなおさら水崎が先生に見えるな」
「なんだよそれ」
でもいつの間にか、あの時の記憶がよみがえる間もないほど楽しいことが続いて。あの時の泣き声が聞こえなくなるほど笑い声が聞こえて。震えが止まって歩き出していた。
「行くまでにどのアイスにするか決めとかないと!」
「別に着いてからでいいだろ」
「私ユッキーみたいにすぐ決められないもん」
「私はいつものかな」
「そんなのあるの惺玖ちゃん」
「うん。コンビニアイスはこれって決めてるやつがあるんだ」
それは紛れもなく、ここにいる人たちのおかげだ。出会えてよかったと心の底から思う。ありがとうって何回言ったらいいのか、考えると途方もない。
「お、コンビニ見えてきたぞ~!」
「あーいすっ、あーいすっ」
「波夏も駿君も、夜なんだから騒ぎすぎないでよ」
「惺玖ちゃんって面倒見いいよな」
「そうなんだよ。実は私も惺玖にだいぶ甘えてる」
「まさかの事実」
「誰にも言うなよ」
「じゃあなんで俺に言ったの……」
「う、うるさい……!早くいくぞ……!」
だから、一言にすべて任せよう。
「あのさみんな……!」
今なら言える。
「誠一?」
「アッキー?」
「誠一君?」
「淳月?」
自分の言葉で。
「淳月君……?」
自分の声で。
「いや、改まって言うことでもないんだけどさ、これからもこうやってみんなで一緒にいたいなって。だって僕らはほら……」
僕が伝えたいから伝えるんだ。
「――友達だから」
……言えた。
「違うよ誠一君」
え……?
「私たちは……超仲良し友達!だよ!」
「なんだよそれ。ダサすぎるだろ」
「え~。じゃあ、ウルトラ仲良し友達?」
「普通に友達でいいだろ」
「なんか味気ないじゃ~ん」
「味気なんていらないだろ」
「ほらアッキー、当たり前のこと真剣に言ってないでアイス買おうぜ」
「おい駿……、まあ、そうか……。そうだぞ誠一。早く来い」
「淳月君、早くっ」
「うん……!」
よし、アイス何にしよっかな~。
――第一章 [完]
これまで「できれば好きと、言ってみたい」をご愛読くださった皆様。本当にありがとうございます。皆様のおかげで無事、第一章を書き終えることが出来ました。
もう少し「できれば好きと、言ってみたい」は続きますので、最後まで読んでいただけると嬉しいです。
誠一から五人への思いが伝えられました。自分の口から相手を友達と呼ぶ。誠一からすればとても大きな一歩でした。
この作品の「できれば好きと、言ってみたい」というタイトルの意味が少しでも伝わっていれば幸いです。
『第一章 声。今君に』は友情がメインでしたが、次回の『第二章 時。今君と』からは、恋模様を書いていきます!
ぜひご覧ください!




