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できれば好きと、言ってみたい  作者: 漣眞
第一章 声。今君に
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第二十話 新しい友達

 

 怖かった。ただ、怖かったんだ。


「違うって!あれは常坂が食べないって言ったから!」

「言ってないよ~!後で食べるって言ったの!」


 人と関われば、仲良くなれば、また同じ目に合うんじゃないかって。正直に弱音を吐く。本当に辛かった。何もしたくなかった。あんなに傷つくことはもう二度とないんじゃないかと思うほどに。


「あ~、あの問題ってそういう考え方すればいいんだな」

「そうそう」

「聞いたからなおさら水崎が先生に見えるな」

「なんだよそれ」


 でもいつの間にか、あの時の記憶がよみがえる間もないほど楽しいことが続いて。あの時の泣き声が聞こえなくなるほど笑い声が聞こえて。震えが止まって歩き出していた。


「行くまでにどのアイスにするか決めとかないと!」

「別に着いてからでいいだろ」

「私ユッキーみたいにすぐ決められないもん」

「私はいつものかな」

「そんなのあるの惺玖ちゃん」

「うん。コンビニアイスはこれって決めてるやつがあるんだ」


 それは紛れもなく、ここにいる人たちのおかげだ。出会えてよかったと心の底から思う。ありがとうって何回言ったらいいのか、考えると途方もない。


「お、コンビニ見えてきたぞ~!」

「あーいすっ、あーいすっ」

「波夏も駿君も、夜なんだから騒ぎすぎないでよ」


「惺玖ちゃんって面倒見いいよな」

「そうなんだよ。実は私も惺玖にだいぶ甘えてる」

「まさかの事実」

「誰にも言うなよ」

「じゃあなんで俺に言ったの……」

「う、うるさい……!早くいくぞ……!」


 だから、一言にすべて任せよう。


「あのさみんな……!」


 今なら言える。


「誠一?」

「アッキー?」

「誠一君?」

「淳月?」


 自分の言葉で。


「淳月君……?」


 自分の声で。


「いや、改まって言うことでもないんだけどさ、これからもこうやってみんなで一緒にいたいなって。だって僕らはほら……」


 僕が伝えたいから伝えるんだ。


「――友達だから」


 ……言えた。


「違うよ誠一君」


 え……?


「私たちは……超仲良し友達!だよ!」

「なんだよそれ。ダサすぎるだろ」

「え~。じゃあ、ウルトラ仲良し友達?」

「普通に友達でいいだろ」

「なんか味気ないじゃ~ん」

「味気なんていらないだろ」

「ほらアッキー、当たり前のこと真剣に言ってないでアイス買おうぜ」

「おい駿……、まあ、そうか……。そうだぞ誠一。早く来い」

「淳月君、早くっ」

「うん……!」


 よし、アイス何にしよっかな~。


――第一章 [完]

 これまで「できれば好きと、言ってみたい」をご愛読くださった皆様。本当にありがとうございます。皆様のおかげで無事、第一章を書き終えることが出来ました。

 もう少し「できれば好きと、言ってみたい」は続きますので、最後まで読んでいただけると嬉しいです。


 誠一から五人への思いが伝えられました。自分の口から相手を友達と呼ぶ。誠一からすればとても大きな一歩でした。

 この作品の「できれば好きと、言ってみたい」というタイトルの意味が少しでも伝わっていれば幸いです。


 『第一章 声。今君に』は友情がメインでしたが、次回の『第二章 時。今君と』からは、恋模様を書いていきます!


 ぜひご覧ください!

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