表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
できれば好きと、言ってみたい  作者: 漣眞
第一章 声。今君に
21/25

第十九話 この先もずっと

 タコパをすることが決まった翌日、六人は昼休みにそれぞれの役割を決めた。波夏が調理担当を希望したことから、女子チームがパーティーの準備担当、男子チームが買い出し担当に決まった。


 女子チームは常坂家に集合し、パーティーの準備をする。男子チームは近所のスーパーに集合し、買い出しを終えてから常坂家に向かうこととなった。


「買うものは僕がまとめてきたから、これの通りに買おう」


 誠一は昨日、タコパに必要なものを調べてメモ用紙にまとめていた。


「わざわざありがとう誠一」

「ううん。じゃあ、早速行こう」

「おーーう!」


 誠一のメモにはたこ焼きを作るのに必要な具材と、プラスでいくつか具材が書いてあった。


「なあアッキー、チーズとかウィンナーも書いてあるけど買うのか?」

「うん。入れるとおいしいんだって」

「へえ~、そうなのか。サイコロベーコンはうまそうだけどな」

「サイコロベーコンは先に焼いておくのがポイントなんだって」

「タコパはいろいろアレンジするんだよ。普通に作ったらそりゃ店のやつがうまいけど、タコパの醍醐味はアレンジできるところだからな」

「なるほどな」

「駿もなんかアレンジの案とかないか?」

「う~ん……。あ、餅なんてどうだ?」

「餅?」


 竜翔は思わず声が裏返った。


「なんかよさそうじゃん」

「そういえば僕が調べてた時もあったよ。餅」

「まじかよ」

「よし!売ってたら買おう!」


 竜翔はしぶしぶ賛成した。


 男子チームが集合した少しあと、惺玖と八宵は常坂家に着いた。


「ひめちゃん、ユッキ~!」

「惺玖ちゃんに八宵ちゃん、いらっしゃい」


 波夏と波夏の母親が、玄関で二人を出迎えた。


 二人は「お邪魔します」と頭を下げてから家に上がり、リビングに荷物を置いた。


「今日は私たちのためにありがとうございます。パーティーの費用まで出していただいて」


 惺玖は丁寧にお礼を言った。


「もう惺玖ちゃん、そんなの気にしなくていいのよ。波夏が言い出したんだし、子どもの楽しみは親が作ってあげないとね」


 惺玖と八宵は揃って頭を下げた。


「そろそろ私は出かけないとだから。波夏、みんなに迷惑かけたらだめよ」

「わかってるよ~」


 波夏は頬を膨らませ、母親を睨んだ。


「二人ともよろしくね」

「はい。いつものことですので」

「ふふっ、そうね。二人がいてくれると心強いわ」

「いくつだと思ってるの!お母さん、早く行きなよ!」

「はいはい。楽しんでね」


 そう言って波夏の母親は出かけて行った。


「もう、お母さんったら」

「いいお母さんじゃないか」

「どこが!」

「まあまあ波夏。波夏もできるようになったことが増えて、ちゃんと大人になってるよ」

「ひめちゃ~~ん」


 波夏は惺玖に泣きついた。


「よしよし。波夏だってちゃんとできるもんね」

「うん……」


 惺玖にあやされて波夏は泣き止んだ。


「私ひめちゃんと結婚する」

「そうだね。結婚しよっか」

「うん!式はどこで上げる!?」

「う~ん、やっぱりハワイ?」

「おお!ハワイ~!」


「はあ~……、勝手にやってろ」


 イチャイチャする二人は無視して、八宵はパーティーの準備を始めた。


 パーティーの準備を終えようかとしている頃、男子チームが常坂家に到着した。


「やけにくっついてるね……」


 ベタベタ引っ付く惺玖と波夏を見て、竜翔が小さく言った。


「だってね~ひめちゃん」

「ね~波夏」

「え、ほんとになに……」


 状況がまったく読み取れない竜翔の問いに対し二人は「内緒~」と声をそろえた。


「こいつらは無視していいぞ。しばらくしたら大人しくなるから」

「そ、そうか……」

「まあ、仲良しなのはいいことだろ。お邪魔しま~す」


 竜翔は駿のそういう割り切れるところだけは尊敬している。


 その時、誠一に姿が惺玖の目に入った。その瞬間、顔の温度が急激に上がるのを感じた惺玖は、慌てて波夏を引きはがした。


「ひめちゃん?」

「ちょ、ちょっとトイレ……!」


 そう言って惺玖はトイレに駆け込んだ。


「買い出しありがとう。ほら、二人も早くあがれよ」

「八宵たちこそ準備ありがとう」


 誠一と竜翔も家に上がった。


「パーティーなんて久しぶりでテンション上がってた……。落ち着け惺玖……落ち着け……。大丈夫、実は変な人なんじゃないか、なんて印象はついてない……。たぶん……」


 惺玖は深呼吸をしてからリビングに戻った。


 タコパの準備が終わり六人はテーブルを囲んだ。


「みんなグラスは持った~?」という波夏の問いかけに「持ちました!」と駿が元気に返事をした。


「レポートお疲れさまでした!かんぱ~~い!!」


 波夏の声に続いて「かんぱ~~い!!」と五人が言った後、六つのグラスがテーブルの中央でぶつかり打ち上げ開始の音を響かせた。


 六人の会話はとめどなく続いた。一つの話題が終わりそうになると、いつの間にか別の話題に変わっていた。クラスのゴシップ、部活の愚痴、先生の好き嫌い。打ち上げの最中、時間が進んでいるという事実は、誰の頭にもなかった。


 たこ焼きも残り少なくなってきたところで、話題は将来の夢についてだった。


「俺は学校の先生を目指してる」

「うわ~似合うよ竜翔君!絶対向いてる!」

「そうかな」

「よっ!水崎先生!」

「いつの時代の煽りだよ」

「水崎は先生になるのか」

「まあ、なれたらね。八宵は?」

「夢っていう夢はないな。あんまり考えたこともないな」

「私も~」

「俺も~」


 誠一と惺玖は八宵に同調しなかった。


「誠一君は夢とかあるの?」

「いや、夢っていうか……」

「なんだよアッキー、もったいぶるなよ」


 誠一に視線が集まった。


「自分の和菓子屋を持てたらいいな、とかちょっと思ってる……」


 ここで初めて常坂家から人の声が消えた。誠一が変なことを言ってしまったことを謝ろうとしたその時、波夏が身を乗り出した。


「すんごく素敵じゃん!」

「アッキー、お客様第一号は俺だよな!」

「は~?第一号は私だよね、誠一君」

「そんな気が早いよ……。出来るかもわからないし……」

「いいじゃんか淳月。出来るかどうか分からないから夢なんだろ。不安すぎるくらいがちょうどいいんだよ。それに、めちゃめちゃ似合ってると思うぞ。だから今のうちに予約しとく。雪枝で一名。第一号な」

「あ、おい!しれっと割り込むなよ!」

「そうだよユッキー、ずるい!」

「だまれ。二人は予約してないだろ。店ってのは予約順なんだ」


 三人が言い争っている間に、竜翔が惺玖に尋ねた。


「惺玖ちゃんはあるの?夢」

「私は……」


 誠一は惺玖と不自然に目が合った。それがしばらく続いたので「ん?」と誠一が首をかしげると、惺玖は目をそらした。真面目な雰囲気を感じ取った三人は言い争いをやめて、惺玖の方を見た。


「夢っていう夢はないんだけど、将来は何かに頑張る人の手伝いがしたいなって思ってる」


 的外れなことを言ってしまったと思い、惺玖は慌てて謝った。


「ごめん……!そういうことじゃないよね……」

「惺玖らしいな」

「うん。惺玖ちゃんらしいよ」

「あ、ありがと……」

「ひめちゃんそれって私のこと?」

「何が?」

「何かに頑張る人って。だってさっき私とけっこ……」


 何かを言おうとした波夏の口に勢いよく惺玖の手が被さった。


「なんだよ橋姫。常坂はなんて言おうとしたんだ?」

「さ、さあ~……なんだろうね~……」


 波夏は「ん~!ん~!」と必死に何かを言っている。しかし、惺玖の手はその唸り声が言語化することを許さなかった。


 波夏が諦めたところで、惺玖は手を離した。


「よし、たこ焼きも食べ終わったしコンビニにアイスでも買いに行こうか」


 竜翔の提案に波夏は元気を取り戻した。


「なんかいいね。夜でみんなでコンビニに行くの」

「そうだな~。ていうか、俺たちいつの間にこんなに仲良くなったんだっけ」

「私は青凪と仲良くなった覚えはないぞ」

「雪枝……。俺だって傷つくんだからな……」

「大丈夫だよ駿君。嫌いだったらこんなに一緒にいないよ。ね~ユッキー~」

「雪枝……。まさかお前……」

「頼む。謝るからその勘違いだけは勘弁してくれ」


 竜翔と波夏はその会話に大笑いをした。


「あの二人は仲が良いのか悪いのか……」

「ま、まあ、良いってことにしとこう……」


 誠一と惺玖は後ろでそんな会話をしながら、コンビニへの夜道を歩いた。

 ご覧いただきありがとうございます。いいねや感想などよろしくお願いいたします。気に入っていただけた方はブックマーク登録の方お願いいたします。


 打ち上げが開催されましたね!書いていた私の感想としては、楽しそう!羨ましい!でした(笑)


 今回は第二十話とセットでの投稿になります!打ち上げが終わりコンビニに向かう六人。誠一はその光景を見ながら…。


 ついに、第一章が完結です。ぜひご覧ください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ