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できれば好きと、言ってみたい  作者: 漣眞
第一章 声。今君に
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第十五話 仲良し大作戦

 この度、「できれば好きと、言ってみたい」が1000PVを突破いたしました。ご愛読くださった皆様、本当にありがとうございます。小さな一歩ですが、私はとても嬉しいです。もっとたくさんの方に読んでいただけるよう、精進してまいります。これからも「できれば好きと、言ってみたい」をよろしくお願いいたします。

竜翔が話し終える頃、公園の気温は少し下がっていた。


「誠一は人と関わるのが好きなやつだったから、余計に辛かったと思うんだ……」


竜翔の心苦しさを、その暗い表情が物語っていた。


「竜翔。淳月はその後の学校生活、大丈夫だったのか……?」

「一応学校には来てた。でも、明らかに周りと距離を置いてた。必要最低限の返事くらいで、それ以外は全く誰とも話してなかった。中学生になってもずっと……」

「そうか……」

「誠一、最初は俺のことも遠ざけてたから理由を聞けなかったんだ。だから家まで行って、誠一のお母さんに話を聞いた。また話せるようになるまで苦労したよ」


竜翔は苦笑いしながらそう言った。


「そんじゃあ、私らがやるしかないな」

「え?」

「えじゃねえよ。水崎とは話せるように戻ったんだろ?」

「それはめちゃめちゃ頑張ったから……」

「なら、私らもめちゃめちゃ頑張ればいい」

「賛成!」

「やるか!」

「いやでも、どれだけかかるか……」

「そこは俺たちの技量よ。実際、少しは変わってきてるんだろ?」

「そうだけど……」

「大丈夫だって竜翔君。せっかくこうして出会えたんだもん。そんな話聞いたら見過ごせないよ」

「波夏ちゃん……」

「よ~し、淳月仲良し大作戦だ~!」

「よっしゃ~!」

「ちょっと波夏……!青凪君も……!騒いだら近所迷惑になるでしょ……!」


駿と波夏は慌てて静まった。


「水崎君。作戦名はあれとして、良い考えなんじゃないかな。波夏の言う通り放ってなんておけないよ」


竜翔は胸がいっぱいになり、何も言えなかった。


「にしても、八宵さんが言い出すとはね~」

「あ、確かに。俺も雪枝が言ったのは意外だった」

「悪いかよ」

「別に~?」


駿と波夏に腹を立てる八宵。それをなだめる惺玖。その様子を微笑ましく眺める竜翔。先程までの静けさは噓のようだった。


話もまとまったところで、五人は公園を出た。


「みんなありがとね。誠一のために」

「何言ってんだ竜翔。仲良くなりたいのは俺たちなんだから、礼なんていらねーよ」

「あ、駿君いいこと言った。その通り」


駿、惺玖、波夏の少し後ろを竜翔と八宵が歩いていた。


「だろ~。あ、あだ名とかいいかもな……」

「あだ名?」

「そうそう。仲良しって感じでるだろ?」

「なるほど」

「淳月だから~……アッキー、なんてどうだ?」

「う~ん……。かわいいけど、誠一君困らないかな~……」

「慣れれば大丈夫だって」

「そういうものなのかな……。ひめちゃんはどう思う?」

「え?あ、まあいいんじゃない……?仲良しな感じで……」

「だよな!」

「あ、じゃあついでに私も八宵のあだ名を解禁しようかな……」

「封印してたのか……」

「うん。ぶん殴られそうで」

「あ~……」


駿は波夏に強く共感した。


「で、そのあだ名って?」

「雪枝の雪をとって……ユッキー!いいよね?」


波夏は楽しそうに、八宵の方を振り返った。


「嫌だ」

「え……」

「なんだよ雪枝~。冷たいな~」

「波夏、そんなに落ち込まなくても……」


ムスッとする八宵に竜翔が言った。


「呼ばせてあげれば?かわいいじゃん、ユッキー。俺はいいと思うけどな~」

「だって今更……」

「それに、惺玖ちゃんはあだ名なのに八宵は名前なのも違和感あるし。この機会にさ」

「ま、まあ、確かにそうだな……」


竜翔に見つめられた八宵は小さくうなずいた。それを見た竜翔はニッコリ笑って、波夏に伝えた。


「波夏ちゃ~ん。八宵が呼んでいいよって~」

「ほんと……!?」

「やったな常坂~」

「よかったね、波夏」

「うん……!」

「橋姫もハッシーしするか?」

「絶対に嫌です」

「私も嫌だ。かわいくない。ひめちゃんにはもうあだ名あるし」

「だよね~波夏~」

「そんなに言わなくても……」


しょんぼりする駿を見て、惺玖と波夏は笑っていた。


「楽しそうだな」

「青凪がまたなんか言ったんだろ」


三人様子を、竜翔と八宵は後ろから見ていた。


「ありがとな。八宵」

「なんだ急に」

「さっきのこと。八宵が言い出してくれたから」

「私が言わなくても誰かが同じようなこと言っただろ」

「そうだとしても嬉しかった。八宵が言ってくれたのは本当に意外だったから。悪いとかじゃなくて、そんなに話したこともないだろうし」

「全然ないな。でも、波夏が言ってたことがすべてだよ。私も同意見だった」

「せっかく出会えたからってやつ?」

「そうだな。まあ、もっと言えば」


竜翔は八宵の顔を見た。


「せっかく淳月みたいな人と出会えたから」


八宵の言葉は竜翔には予想外だった。


「誠一みたいな人……?」

「うん。惺玖も波夏も青凪も、そして私も。自分の損得とか関係なく、純粋に淳月と仲良くなりたいんだよ。そう思わせるだけの人柄が、淳月にはあると思う。全然話さなくても、見てれば分かる」

「そんな風に思ってたのか……。意外過ぎる……」

「意外ばっかり言うな」

「ごめんごめん」


竜翔は少し笑いながら謝った。


「あんな暗い顔見たくないし……」


八宵の小さなつぶやきは、竜翔には聞こえていなかった。


「ん?なんて?」

「何も言ってない」

「いや、なんか言ったじゃん」

「言ってない。忘れろ」

「え~……」

「忘れろ」

「はい……」


こうして五人は、いつもより少し遅く家に帰った。


家に着いた惺玖は部屋で一人ベッドに座り、今日のことを考えていた。


「ずっと仲良くしてた人が、実は自分をよく思ってなかった……。私で言えば、八宵や波夏が本当は私のこと……」


そんなことを考えると急に寂しさがこみ上げてきた。


「いやいやいやいや」


惺玖は我に返り、首を横に振った。


「小学六年生……」


惺玖は誠一のことが不憫でたまらなくなった。そんな時、部屋のドアをノックする音が聞こえた。


「姉ちゃん……。入るよ……」

「うん」


部屋に入って来たのは、弟の橋姫光陽はしひめみはるだった。


「どうしたの?」

「姉ちゃんの乾いた洗濯物……。持って上がるの忘れてたでしょ……」

「あ、ごめん。ありがと」


光陽は惺玖の表情から何かを感じ取った。


「なんかあったの……」

「え?なんで?」

「いや……、なんとなく……」

「光陽はやけに鋭いな~。実はね……」


隣に座った光陽に、惺玖は今日のことを話した。


「仲良し大作戦……。姉ちゃんが考えたの……?」

「違うよ!」

「そっか……」

「どうしたらいいのかな~……」

「そんなに深く考えなくてもいいんじゃないかな……」

「え?」

「寄り添ってあげたいって思いがあれば……、それは自然と伝わると思う……。何をしてあげるかじゃなくて……、何を思ってしてあげるかが大切なんじゃないかな……。それだけの真っすぐな思いなら……、きっと伝わるよ……」


光陽の言葉が、惺玖の不安を晴らした。


「光陽、良いこと言うね」

「いや別に……」


光陽は少し照れくさくなった。


「姉ちゃんは……、その人のことが好きなの……?」

「いやいや、そんなんじゃないよ。ただ」


少しの間が空いてから、惺玖は言った。


「せっかく知り合えたからさ、仲良くなりたいんだ……」


光陽から見て、その言葉は紛れもなく惺玖の本音だった。


「そっか……」

「光陽はいないの?」

「何が……?」

「好きな人」

「いないよ……」

「本当かな~」

「いないってば……!」

「はいはい。もう言いません」


惺玖は両手をあげて光陽に降参した。


「じゃあ頑張ってね……!」


光陽は立ち上がると、足早に惺玖の部屋を出た。


「いくつになっても弟だな~」


惺玖は一人で微笑ましくなっていた。


「よし。淳月君にはいつも通りでいこう。光陽が言ってくれたように、それできっと伝わるはず……!」


明日からに向け、惺玖の考えがまとまった。

ご覧いただきありがとうございます。いいねや感想、ブックマーク登録などお待ちしております。


間が空いてしまい申し訳ありませんでした。これからまた更新を再開しますので、よろしくお願いいたします。


誠一の過去を知った四人。誠一へのそれぞれの思いが溢れていましたね。そして今回、惺玖の弟である橋姫光陽が新しく登場しました。いかがでしたでしょうか。かなりおとなしい男の子でしたね。


次回はレポートの発表です。波夏からとある提案が……?ぜひご覧ください!

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