第十一話 友達になるために
少し長くなってしまいました。すみません。
みなさまに質問なのですが、作品の会話シーンで誰が話しているかは伝わっているでしょうか。コメントなどで教えていただきたいです。よろしくお願いいたします。
誠一はその夜、公民館でまとめた資料をもう一度整理していた。すると、机に置いていた携帯の画面が点いた。
「ん?」
“今日はお疲れ様。どうだった?”
それは惺玖からの連絡だった。
“橋姫さんもお疲れ様。だいぶまとまったよ”
“それはよかった。こっちも順調だよ。波夏、迷惑かけなかった?”
“大丈夫だよ”
“そっか(笑) 八宵もなんだかんだ楽しんできたみたいだよ”
“そうなの?”
“そうそう。あんなこと言いつつ青凪君のことが嫌いなわけじゃないから”
“確かに、そんな感じはする。常坂さんも言ってた”
“なんて?”
“雪枝さんがツンデレだって”
“そればれたら波夏やばいんじゃない(笑)”
“僕もそう思う”
次の返信は、既読から少し間をおいてから来た。
“そっか(笑) 明日はみんなでレポートまとめるんだよね?”
“うん”
“資料忘れたりしないでよね”
“ちゃんと持って行くよ”
“よろしい。じゃあ、おやすみなさい”
“おやすみなさい”
惺玖は携帯をテーブルの上に置いてベッドに入った。
「こうやって話すと、なんかすっごく冷たく感じるな……」
惺玖はモヤモヤしたまま眠りについた。
次の日。E組はレポート発表に向けての最終作業をしていた。担任がレポートのために自分の授業を一時間、自習の時間にしてくれたのだ。レポートはB1と呼ばれるれる大きめのサイズの模造紙1~2枚程度にまとめるようになっている。
誠一達も作業を始めようとしていた。
「よし、やるか!」
「待て。お前が書くな」
「なんでだよ」
「青凪の字を見たうえでの正当な判断だ」
「え、だいぶ傷つくんですけど……」
『昨日、本当に二人は大丈夫だったのかな……』
誠一はいつもと変わらぬ二人を見ながら苦笑いをした。
「駿。本文を書くのは女の子に任せて、俺たちは別のことをしよう」
「は~い……」
しょんぼりする駿を見て誠一が声をかけた。
「青凪君。レポートに貼る写真まとめるの手伝ってくれない?一人じゃ時間かかるし」
「おう、任せろ任せろ!」
「うん。ありがとう」
そんな光景を見て、波夏はほのぼのしていた。
「何歳なんだあいつは」
「いいじゃんかわいくて」
「どこがだよ」
「八宵にもそのうち分かるよ」
「なんでお前が私より上みたいになってるんだ」
「もう、じゃれ合ってないで早く書くよ」
惺玖の一言で三人は作業を始めた。
「化け猫の前に、まずは葵山について書くか」
「葵山と言えばお花のことだね。駿君と行った時もすごかったんでしょ?」
「そうだな。量っていうよりは種類がすごかったな」
「同じ山にそんなにいろいろ咲くなんて不思議だね~」
「山に来てる人のほとんどが花目当てだった」
「その人たちは大丈夫だったの?」
自分の経験があまりに怖かった惺玖は、心配そうに八宵に尋ねた。
「何がだ?」
「ほら、あの猫だよ」
「あー、大丈夫そうだったぞ。そういえば、私らも平気だった」
「それは良かった。あの時は分かれ道に着く前から変な感じしてたのにね」
「もしかして、あの時は私たちが分かれ道に行くの分かってて前々から目付けてたとか……」
「もう波夏、怖いこと言わないでよ」
「ごめんごめん」
「そんなわけないだろ」
「分かんないよ~。実際、信じられないもの見たんだから」
「はいもうおしまい!」
六人は協力してレポートを進めた。
その日の放課後。部活を終えた竜翔は、いつも通り部室から直接帰っていた。すると、後ろから自分を呼ぶ声が聞こえた。
「お~い!竜翔~!」
「ん?」
振り向くと、駿がこちらに走ってきた。
「お疲れ竜翔」
「お疲れ。あの、どうでもいいんだけどさ」
「なんだ?」
「呼び方変えた?」
「おう。嫌か?」
「全然いいんだけどさ。急だったから」
「だって竜翔は下の名前で呼んでるだろ?だからそれに合わせてな。俺は呼び方を人に合わせるタイプなんだ」
(にしては変えるの遅くね……?)
竜翔は心の中でつぶやいた。
二人で歩いていると偶然、帰っている惺玖たち三人に会った。
星鏡学園では全部活動の終了時間、そして平日の休みの日が一律で決められている。部活動生の時間を等しくするためだ。とは言っても、片づけ時間などで実際の帰る時間は部活動によって異なる。
「あ!竜翔君に駿君!」
「お、常坂じゃん」
「惺玖ちゃんに八宵ちゃんも」
五人はこの日初めて部活帰りにそろった。
「なんか駿君、普段よりがたい良くなってない?」
「部活終わりだからな。少し大きく見えるんだよ」
「わ~すごい、鉄みたい」
「こら波夏。ごめんね青凪君」
「謝ることねえよ。橋姫も触るか?」
「あ、お構いなく……」
歩いて行く三人について行く竜翔を八宵が呼び止めた。
「水崎」
「ん?どした?」
「八宵でいい……」
「え?」
「呼び方!八宵でいい……」
「そ、そうか。分かった」
「ほ、ほら。行くぞ」
そう言って、二人も三人の後を追った。
学校を出てしばらくは五人は同じ帰り道だった。
「ねえねえ、誠一君がいないから言うけどさ」
「なんだよ常坂。陰口ならよそで言えよ」
「そんなんじゃない!誠一君さ、だいぶ心開いてくれるようになったよね」
「別に最初から淳月は心開いてたぞ?」
「もう駿君は黙ってて!ひめちゃんは分かるでしょ?」
「前が閉ざしてたかは分からないけど、今が前よりオープンなのは分かる」
「だよね!ミステリアスだったけどそんな感じしなくなったもん」
「どうだろうな」
「え?」
八宵の一言に波夏は疑問を抱かずにはいられなかった。
「どういうこと?」
「淳月がどう思ってるかは知らないが、私には一線引いてるように感じる」
「私たちが嫌いってこと?」
「そうは言ってない。ただ、お前の言う心を開いてるっていうのは違うんじゃないかと思う」
「そんな……」
波夏がうつむく中、竜翔も少し暗い顔をしていた。
「どうした竜翔」
「いや、なんでもない」
その反応を見て駿は勘づいた。
「もしかして、淳月が心開いてないっていう話になんか心当たりでもあるのか」
竜翔はなにも答えなかった。
「竜翔君。何か知ってるなら教えて。私、誠一君とちゃんと友達になりたい」
「私からもお願い水崎君」
竜翔は静かに頷き、五人は近くの公園に入った。
「誠一には俺がこの話したっていうのは内緒な。あいつ、多分いい気しないから」
まだ少し涼しい夜の公園で、竜翔は話を始めた。
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ついに、竜翔が誠一の過去について明かします……。誠一が心を閉ざしたその理由とはいったい……。
次回から数話、過去のお話です!




