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できれば好きと、言ってみたい  作者: 漣眞
第一章 声。今君に
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第十話 自分とは違う人

今回から後書きの方に話の総括と、次回の話について少し書こうと思っています。前回までの話にも後書きを追加しています。読んでいただければより、作品がお楽しみいただけると思います。時間がある方は是非、そちらもご覧いただけたらと思います。

 全員が一斉に手を出した後、六人は一瞬動きを止めた。


「決まりだな」

「まじか……」

「何でがっかりするんだよ!」

「なんか意外な組み合わせだね!」

「そうだね」

「……」


惺玖は一人、何も言わなかった。


「俺と雪枝、水崎と橋姫、淳月と常坂の三ペアだな」

「よろしくね誠一君!」

「こちらこそ」

「頼むから静かにしてろよ」

「任せろ!」

「水崎君なら心強いね」

「いやいやそんな。こちらこそ頼りにしてる」


ペアが決まったところで竜翔が提案をした。


「それぞれ調べる場所の担当を決めよっか。被らないように」

「私、公民館がいい!誠一君いい?」

「うん」

「俺と雪枝は葵山で聞き込みだな」

「いや、冗談だろ」

「本気だよ。資料とかまとめるの得意じゃないし、実際来てる人に話を聞くのはかなりいい案だろ。葵山についても知らなきゃだしな」

「確かに駿の言ってることには一理ある……」

「水崎まで……」

「八宵がんば!」

「うるさい」

「なら私と水崎君は図書館だね」

「うん。じゃあ、それぞれで調べた後にみんなでレポートにまとめよう」


今後の方針が決まったところで、六人は解散した。


 それから少し経ったある日の放課後。誠一は波夏と公民館に行く約束をしていた。


「淳月君、今日波夏と公民館行くの?」

「うん。なんで分かったの?」

「今日、部活休みだから」

「あ、そっか。てことは、橋姫さんも竜翔と?」

「そうだよ。八宵も今日行くんだと思う」

「そっか。何もなければいいけど……」

「相当嫌がってたからね」

「だよね……」


誠一は引きつるように笑った。そこに波夏が駆け寄ってきた。


「誠一く~ん!そろそろ行こ!」

「うん。じゃあ橋姫さん、また明日」

「ひめちゃん、またね!」

「またね。行ってらっしゃい」

「行ってきます!」


そうして二人は教室を出た。


 波夏と二人で公民館に向かう中、誠一はかなり不安だった。波夏とは何度か話したが、二人きりになるのは初めてだった。それに加え、誠一は波夏のことをまだあまり分からないでいた。


「誠一君は公民館とか行ったことある?」

「小学生の頃に何回か行ったよ。でも、星鏡町の公民館は初めて」

「あー、そういえば誠一君と竜翔君は家が遠くだったね」

「うん。常坂さんは?」

「最近はあんまりだけど、昔はよく行ってたよ」

「それで公民館を希望したんだ」

「そうそう。あのアットホームな感じが好きなんだよね~」

「なんか分かる気がする」

「よね!」


誠一は波夏の明るさに助けられていた。


 しばらく歩くと、少し年期の入った一階建ての建物が見えた。星鏡町の公民館だ。和の雰囲気あふれる町並みに似合う、趣ある外観だった。ここでは普段、町内の集まりやイベントが行われている。星鏡町に関する資料なども多く保管されており、基本的に開いている時には自由に出入ができる。


「なんかいい雰囲気だね」

「でしょ~。資料なんかはこっちにあるよ。係の人に言えば借りられるから」

「わかった」


二人はいくつかの資料を借りて、自習室に向かった。


「こんな場所もあるんだね」

「夏休みの宿題とか公民館でやる子も多いよ」

「そうなんだ」

「誠一君のとこは無かったの?」

「どうだろ。公民館は行ったことはあるけど、利用したことは無いんだよね」

「なるほど」


二人は資料を開いて情報収集を始めた。その間は少し沈黙が続いき、それを申し訳なく思った誠一が口を開いた。


「なんかごめんね」

「どうしたの急に」


波夏は少し笑いながら言った。


「僕、人と話慣れてなくて全然話せないから、つまんないだろうなって」


波夏は何も答えなかった。


「ほら、常坂さんって楽しい人だから。僕は青凪君みたいにできないし」


波夏は調べる手を止めて顔を上げた。


「私はそれでいいと思うよ」

「え?」

「だって誠一君はこの世に一人しかいないんだよ?だったら誠一君らしくいないともったいないよ」

「いやでも……」

「この世がみんな駿君みたいな人だったら疲れるでしょ。って、私は人のこと言えないか」


波夏は頭に手を当てて、照れるように笑った。


「とにかく、いろんな人がいるから楽しいんだよ。ひめちゃんみたいなふわふわ系とか、八宵みたいなツンデレとか」


誠一は妙に納得していた。


「私もこんなだからさ、昔はうっとうしいとか目立ちたがり屋とかいろいろ言われてたんだよね」

「そうだったんだ……」

「でも、ひめちゃんとか八宵みたいに仲良くしてくれた子もいた。ならそうやって、自分を受け入れてくれる人に時間を使いたいじゃん?個性なんて伝わんない人には伝わんないんだよ」


波夏の考え方は誠一にはとても新鮮だった。故に、誠一は聞き入っていた。


「私はそれを分かってたから、いろいろ言ってきた人を別に嫌ったりしなかった。人それぞれだもん、仕方ないよ。だから誠一君も自分らしくいよう!少なくとも私は……いや、あの班のメンバーみんなそのままの誠一君を友達だと思ってるよ」

「常坂さん……」

「へへへっ。この前のお返しだ~」

「なにそれ……」


無邪気に笑う波夏を見ながら、誠一は必死に涙をこらえた。


 一通り調べた後、二人は公民館をでて駅まで歩いた。


「僕はここで。気を付けて帰ってね」

「うん!誠一君も気を付けて」

「うん。じゃあ、また」

「またね~!」


波夏の元気な声に背中を押されて、誠一は駅のホームに向かった。

ご覧いただきありがとうございます。よろしければ、いいねや感想などよろしくお願いいたします。

誠一と波夏!新鮮な組み合わせでした。波夏の人柄に誠一は助けられていましたね。

次回は六人が集合!何かが始まる予感です……。

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