プロローグ 目覚め
数多くある作品の中から「できれば好きと、言ってみたい」を読みに来てくださり、誠にありがとうございます。よろしければ是非、最後までご覧ください。
『次は星鏡~、星鏡~。』
電車の中にアナウンスが響いている。次の駅で降りる人への呼びかけだ。僕、淳月誠一もこの駅で降りる。しかし、僕の耳にこのアナウンスは聞こえていない。なぜなら完全に寝ているからだ。今思うと無理もない。この日の前の晩、妹にもらった大切な帽子をあやまって猫に取られてしまった。そこまで速い猫でもなかったので追いかけた。するといつの間にかかなり山奥まで行っていた。そんなに運動をしない僕にはダメージが大きすぎた。
朝の通勤ラッシュ。のんきに寝ている学生を気にかける人はそういない。おそらく、このままでは電車を寝過ごす。高校生活が始まり一週間で早くも遅刻をするのは、比較的まじめな僕としては何としても避けたかった。そんな時だった。
「……君、淳月君!」
僕はそっと目を覚ました。するとそこには、同じ学校の制服を着た女の子が立っていた。起こしてくれたのだ。
「す、すみません。ありがとうございます。」
僕は申し訳なくお礼をした。
「え……。あ、いや、大丈夫だよ……!お、遅れないようにね」
その女の子はそう言うと、そそくさと電車を降りて行った。
そう、これが僕と彼女が初めて言葉を交わした日。僕たちの物語が始まった瞬間だった。
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