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7話 不遇種族、不遇ステータス、不遇職業、不遇スキル←New!

「しゃおらぁぁぁぁ! 見たかぁぁ! わたしが最強なんだよぉぉ! あはははは!」


 無限氷龍? ああ、強敵だったよ。

 だけど残念。

 どれほど手ごわい相手でも、屠ってしまえば同じ糧。

 ドロップアイテムはありがたくいただいておこう。


・おおおおおおおおお

・おめでとう!

・8888888888888

・Renちゃん最強! Renちゃん最強!

・いい最終回だった!

・すげぇぇぇぇ!

・ソロで討伐とか世界初じゃね⁉

・しかもこれノーダメじゃね……

・プレイヤースキルえぐすぎ


 はぇぁー。

 ものすっごい勢いでコメントが流れていく。

 さすがに目が追い付かない……。


「いえーい! ネルヴァさん見ってるー? かたきは取ったよ‼」


・見てるよー

・ネルヴァさん⁉

・いると思った

・案の定


 ドラゴンを倒したのはかたき討ちのためだった。

 先にザンガの地底湖を壊そうとしたのはわたしたちだけど、それでもノーザンクロスはわたしとネルヴァさんのかたきだった。


「未練が過去を断ち切れない鈍刀(なまくら)ならさ、過去に打ち勝つたび人は強くなっていく。そういうものなんじゃないかな」


・ええ言葉や

・おおー、覚えておくねー

・ネルヴァの語彙が増えた

・Renちゃんが言っていたシリーズ来る?

・1万人の前で言える勇気よ


「1万人……?」


 あれ?

 この配信を始める前の時点でチャンネル登録者10万人いたと思ったけど。

 もしかして、数え間違えてた?

 だとしたら恥ずかし過ぎる……!


 えっと、チャンネル登録者数ってどっから見るんだっけ。ああ、ここか。……あれ?


「チャンネル登録者、配信前から10万人超えてたよね?」


・草

・Renちゃん、同接、同接ー!

・同時視聴者数確認してもろて


「同接……? そんなまさか。それチャンネル登録してくれてる人の10人に1人が見てる計算だよ? さすがに超えるわけがあぁぁぁぁぁ⁉」


 超えてる……!

 ガチのマジと書いて超えてる!


「平日だよ?」


・うっ⁉

・突然の毒で草

・視聴者層全員大学生なんやろうなぁ

・夜勤明けです


「ごめん嘘! いつも見に来てくれてありがとうね! アーカイブで見てくれてるみんなもありがとう! 収益化&チャンネル登録者10万人&同接1万人超えっていう感動をありがとう! この恩は、全力の配信で返せるように頑張るね!」


 ぞくぞくと、頭の内側がくすぐったい。

 今ならイチローが日の丸掲げてドジャースタジアムを1周した時の気持ちがわかる気がする……!


「さて、宴もたけなわだけど、そろそろホットドリンクの効果が切れそうなんだよね。つまり死」


・いかないで

・いかないで

・いかないで


 いやぁ、さすがにここからの生存はどうあがいても無理。と、いうわけでね。


「最後にノーザンクロスを倒して手に入れた新スキルの効果を確認して終わろうかなって思います」


・は?

・草

・また新しいスキル手に入れたんか

・どうせ壊れ(わくわく)

・また環境が破壊されるのか


 は?

 アルラウンの森の再興を手伝うくらい環境保全に協力的な乙女を捕まえて何を言う。

 あ、緑化を頑張ったのは"俺"くんだったわ。

 言われてみれば壊すことしかしてない気がするぞ?


 ま、仕方ないね。

 火薬ってのは壊すことしかできないからさ。


「これね、名前がちょ~カッコいいんだよ! 【天空の覇者】。いやもうね、わたしのためにあるスキルと言っても過言じゃないよね」


・ドヤ顔いただきました!

・ガチで過言じゃないんだよなぁ

・攻略サイトにも載ってない新スキルで草

・名前から察するにさぞ強力なスキルなんやろなぁ


「そう。(That's)ラ……こほん」


(That's)ラ……?

・いったい何ライ(Right)なんだ。

・ガタッ⁉

・黄泉の民よ、鎮まりたまえー


「すみません。軽くウイルスに感染してました。それもとびきり性質(たち)のわるいやつに。でも完治したから心配しないでね」


 完全に無意識下から出てきた。

 怖いわユノ語録。

 意識からポイッとneedsヒューストン。


「じゃなくてですね、【天空の覇者】ですよ。これは飛行中に発動できるスキルで、死ぬまでHPを削り続けるっぽいんだよね」


・何それ

・もしかして:ゴミスキル

・好きだねぇ! 不遇要素を集めるのが!

・使い道無くて草


「待って⁉」


 天翼種(リベルタ)魅力(CHA)がピーキーなのも、ヘイトと癒術師(ヒーラー)の相性が最悪なのも認めるよ?

 でも違うんだよ……!

 断固いらない子じゃないんだよ!


「HPが削れるだけじゃないんだよ! なんとね、削れた分だけ他の能力が上昇するの!」


・は?

・うっそだろ

・ぶっ壊れ過ぎる


 そう! そのリアクションが見たかった!


「HPをステータスに変換しながら、【ハイネスヒール】でHPを確保し続ける無限ループ、見たくない?」


・やべぇwww

・それが出来たら最強では⁉

・期待!

・見たい!


 よし。

 満足した。

 これで心置きなく逝ける。


「【天空の覇者】――アクティベーション!」


 変化はまず、見た目に現れた。

 体が純白の輝きに満たされていく。

 さながら暗雲立ち込める世界に差し込む光芒だ。

 はたから見れば神々しく映るに違いない。


 のは、いいんだけど。


「のわぁぁぁぁぁ⁉ ちょ、HPの減少速度エグい! 【ハイネスヒール】! 【ハイネスヒール】! 【ハイネスヒール】! 無理無理無理⁉ 回復速度追いつかないって⁉」


 察した。これ自爆技だ。

 秒数に置き換えて10秒程度かな。

 それがわたしに耐えられる、【天空の覇者】の活動限界だった。



「納得いかない」


 わたしはひとりごちた。

 通いなれた鉱山都市、アルテマの中央通り。


 先ほどまでの雪景色が嘘のような青い空。

 それはつまり、わたしがデスルーラしたことを意味している。


・ワロタ

・やっぱり地雷要素じゃないか!

・種族、ステータス、職業、スキル←New!


「違います! 天翼種(リベルタ)魅力(CHA)癒術師(ヒーラー)も戦い方次第で輝けるんです! 【天空の覇者】くんもきっと輝けるはずなんですぅ!」


・確かに輝いていたな

・神々しかった

・画面映えするすごいスキルだったよな


「ちーがーうーっ!」


 くっそー、見てなよ!

 絶対に見返してやるからな⁉


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