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幕間1 協力しないと絶対にゴールできないレースゲーム配信【加賀美ネルヴァ/常盤望】

幕間。昔話。

「どーも。3度の飯より4度の飯が大好き。加賀美ネルヴァです。今日はねー、コラボ配信ということで、もっちー相手はコラボさんです」

「どーも。もっちー相手のコラボです」


・深刻なツッコミ不足

・もっちーがそっちに染まったらダメだってw


 コメントが流れているのを確認して、配信がきちんと始まったことを確認する。

 どーも。Synthe(シンセ)/Live(ライブ)所属のVライバー、常盤(ときわ)(もち)です。

 今日はメンバーのネルヴァの配信にお邪魔してます。


「もっちーと遊びたいなって思って、『遊ぼう』って送ったら快諾してくれてー」

「遊ぼうなんてメッセージがまず来てない。ネルヴァから10分前に来たの『起きた』だからね」

「実質『遊ぼう』みたいなところあるよねー」

「ねーよ」


 ネルヴァが配信の枠を取ってるのに全然配信しないから通話飛ばし続けたら、寝てやがった。

 なんで配信枠取ったまま熟睡できるんだよ……これがわからない。


 とりあえず起きたみたいだから安心してたら、謎の文字列が送られてきた。ひとめ見てわかった。

 あー、今日配信する予定のゲームの部屋番号だ、これ。

 いや、コラボ配信なら事前に言っといてくれる?


・暗号文かな

・とか言いつつ来てくれる優しさ

・10分で準備したのか


「あれだねー。『3分で支度しな!』」

「混ざってる混ざってる」

「ちなみに準備に10分かかったのは私です」

「うん、そのドヤ顔をやめよっか」

「待って! ドヤ顔なんてしてないって! ドヤ顔ってのは、こういう表情でしょう?」

「みんな実際横にネルヴァいてみ? めっちゃ腹立つから」


 ドヤァじゃないんだよ。ドヤァじゃ。


「もっちー遊ぼ」

「まずこのゲームが何なのかわかってない」

「私も」

「よし、平常運転だな」


・本人確認

・またいつもの謎ゲームか

・世界で誰もやってないシリーズ

・たすかる


 今の画面はキャラセレクト。

 おおよそ球形のキャラクターが2体並んでいて、その後ろ側が紐で結ばれている。

 俺は星形サングラスをかけたミツバチを、ネルヴァはナイトキャップを被った青虫を選択した。


「マッチメイキングとプライベートレース……、あレースなの?」

「もっちー英語強くて助かる」

「いや誰でもわかる」

「あ、チュートリアルあるよー」

「話聞いてもらっていいかな?」


 キャラセレクトが終わると選択肢が二つ現れたので、部屋主であるネルヴァがプライベートレースを選択する。

 するとコースセレクト画面が現れ、左上には『チュートリアル』というコース名がでかでかと記されている。


 またそれを選択すると、今度は西部劇の舞台風のステージに画面が切り替わる。

 3、2、1。

 カウントが始まる。


「GO!」


 コロコロとフィールドを転がるキャラクターたち。

 なるほどね。だいたいわかった。


「フィールドを転がって進んでいく感じか」

「ぽいねー。あ、まってこれ背中をロープで結ばれてるから一緒に行動しないとダメなんじゃない?」

「あ、じゃあ右いこう右」

「わかった」

「ネルヴァの右は左か?」


 びよーんとロープが伸びて、復元力で引き戻される。


 なるほど、協力ゲーか。

 完全に理解した。


 呼吸を合わせてジャンプ。

 段差を乗り越え先へ進む。


「トリガー、トリガーだって、RT」


 トリガーボタンを押すと、キャラクターが突然ハリセンボンのように突起物を生み出す。


「もっちーうちの子がグレちゃった⁉」

「まあ、せやろな」

「ちなみにもっちーは子供は何人欲しい?」

「その前に彼女が欲しい」

「え、もっちー彼女いないの? 私も彼氏欲しいんだよね。理想を言うとー、普段はつれない態度取ってるんだけど、なんだかんだ誘ったら絶対付き合ってくれてー、聞き上手でー、そばにいてくれてー」

「いたかな、そんなやつ。俺の知り合いに。条件に合いそうな友達がいたら紹介するね」

「ちがっ、ちがくてぇー」


・鈍感www

・本日の鏡餅成分

・いつもありがとう


「あ、もっちー一回ロープのばしてもらっていい? うんそう。それでこうだ!」

「飛んだぁー⁉」


 引き伸ばされたロープが元のサイズに戻ろうとする力を利用して、俺のキャラが大ジャンプする。


「で今度は俺がくっつくわけだ。ネルヴァトリガー離してもらっていい?」

「もっちーは言っていたよー。『掴んだ手は離さない。それが強く生きる秘訣だ』ってね」

「言ってねえよ。いいから離せって」

「あはぁんっ」


 今度はネルヴァのキャラがぷらーんと吊り下がる。

 『X』キーでパートナーを引っ張るという文字が表示されるのでそれを押す。

 すると今度はネルヴァのキャラがひっぱりあげられて大ジャンプする。


「OK!」

「あ、そーいうことねー! 完全理解パーフェクトネルヴァ様のお通りだー!」


 くっつく、のばす、ひっぱる。

 この3要素を駆使して画面の中のキャラたちが壁を登っていく。


「丸太だ! これ俺とネルヴァで左右に分かれるんじゃない⁉ 俺右行くわ!」

「じゃあ私も」

「なんで?」


 2キャラを結ぶロープは丸太にかかることなく、俺たちのキャラは谷底へと落ちていく。


・無 理 心 中


 ホントだよ。

 途中で通過した白線がチェックポイントだったからよかったけど。


「あ、そういうことねー」

「ふへはは! そういうこと!」

「あ! この先ゴールじゃない?」

「いえーい! まあ余裕よな」


 この後めちゃくちゃ配信した。


ちなみに二人が遊んでるゲームのモチーフは『Fling to the Finish』というゲームです。

現実では全然マイナーじゃないですけど、VRMMOがあるような世界なのでなにとぞご容赦をば。

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