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TSゲーマー、ダクファン世界を配信中! ~魅力極振りの有翼ヒーラー(※3重地雷)はドラゴンさえソロ討伐可能の最強ビルドでした~  作者: 一ノ瀬るちあ/エルティ
5章 アルラウンの森

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8話 好きになっちゃった?

「とりあえず、その口調やめてもらえる?」


 悪鬼(メイヘム)の女――ミーシャさんに声をかけた。

 けどよくよく考えると、俺は天翼種(リベルタ)で彼女は悪鬼(メイヘム)

 こちらの声は届かない。


――――――――――――――――――――

【フレンド申請】Ren

――――――――――――――――――――

【ひとこと】

そのしゃべり方やめてもらえる?

――――――――――――――――――――


 仕方がないのでフレンド申請を飛ばした。

 今朝の英語配信でも海外ニキが言っていた。

 悪鬼(メイヘム)に声は届けられなくてもチャットならできると。


「いいよー! Renちゃんがお望みなら!」

「距離感近いなぁ」


 この子も多分距離感の詰め方下手。

 まあいいや。


 配信メニューを開いて設定画面から限定公開を選択。配信を始めてURLを送る。


「あーあー。聞こえる?」

「わーい! Renちゃんだ! ここかなー?」

「やめろ暑苦しい」

「あはん、冷たい。でもそういうところも好き」

「……」


 とりあえず、わかったことがひとつある。

 悪鬼(メイヘム)でも配信を通してならこちらの声も形も認識できると。


 違う違う。現実逃避するな、俺。

 彼女に聞かなければいけないことは他にあるだろ。


「ミーシャさん」

「ミーシャでいいよ!」

「ミーシャさんは――」

「あはんっ! 冷たい目! 好き!」

「話が進まねえ」

「よし来い! なんでも聞いてねっ」

「俺を……わたしを倒さなくていいの? キミの恋人をキルした相手なんだけど」

「ユウくんにとどめを刺したのはあたしだよ?」

「それもわけが分かんねえんだけど」


 わしゃわしゃと首筋をかく。

 このふたりはカップルだったんじゃないのか?

 いや恋愛感情があったかはこの際どうでもいい。

 パーティを組んでたはずだろ?

 どうして裏切ったんだ?

 彼女に関しては開幕ぶん殴った覚えがあるけど(なお、殴ったのは俺じゃなくてRen)、味方にするような出来事は身に覚えが無いぞ。


「うーん、あたしもよくわかんないんだけどね? Renちゃんの配信を見てると、こう、胸があったかくなって、力になりたいって思ってね?」

「はあ」

「好きになっちゃった、んだと思う」

「あのユウくんって男より?」


 ミーシャさんは顔を赤らめて、ちいさく頷いた。

 乙女か。マジでわけがわからん。


 ――"Ren、任せていいか?"

 ――"すぴー、すぴー"

 ――"起きてるだろおいっ!"

 ――"お掛けになった人格番号は、現在、やる気が入っておりません"


 くそが、面倒な話だと思って居留守使ってやがる。

 同居人なんだから隠せるわけないだろうが。


 ――"ああ、あと俺くん。スリップダメージには気を付けたほうがいいよ?"

 ――"スリップダメージ?"


――――――――――――――――――――

地形状態:炎熱

――――――――――――――――――――

一定時間ごとに定数ダメージを受ける。

――――――――――――――――――――


 ――"早く言えよッ!"


 慌てて、となりでうねうねしているミーシャさんを抱きかかえた。瞬間、彼女の顔が真っ赤に茹で上がる。


「ふぇ⁉ Renちゃん⁉ 急にそんな、えっ⁉」

「飛ぶぞ」


 翼を広げる。

 俺自身は初飛行だけど、体は飛び方を覚えてる。

 風切り羽を響かせて、俺は空へと飛翔した。


「RenちゃんRenちゃんRenちゃん」

「やめい。おとなしくしろ」

「はい」


 言ったらピタリと静まった。

 もうわけがわからないよ。


「ミーシャさん。俺……わたしを女王と呼んでいたのはどうして?」

「女王様だから?」

「そんなに女王ロールしてたっけ?」


 ざっと振り返ってみよう。

 キーワードは、女王ロール。


『ひざまづきなさい』

『頭が高いわ。獣が』

『少し遊んであげるわ』

『這いずりなさい、トカゲ風情が』


 うん、まあ、そうか。

 Renのやつはっちゃけてんなぁ。


「理解した。もうひとつ、戦闘中にこっちの声を聞いてなかった? 配信もしてなかったのに」

「『邪魔をするな』だよね? あたしもわからないんだけど、直接頭に声がした感じ?」


 心当たりが無いわけでもないなぁ。


 ザンガの草原でゴブリンに追われた時、秘密の園シークレット・ガーデンでNPCの女の子と話していた時、そして霧の中でふたりに追跡されていた時。

 時折、俺でもRenでもない声がする。

 それと同類のものかもしれない。


「んじゃあ最後にひとつ。アルラウンの森に火を放つ、あるいはユウって獣人(ビースト)が放火するのを手伝った。間違いないか?」

「……うん」


 言い訳ひとつせずに肯定した彼女の声は、ひどく弱弱しいものだった。消えてしまいそうな声だった。

 俺の腕の中で身を強張らせている。


 だったら、どうして最初から止めてくれなかったかな。


「ごめん、なさい。あたし……この命をもって」

「こら、早まるな」


 唐突に暴れ出すものだから、改めてギュッと抱き寄せる。


「お前が死んだって、なんの償いにもなんねえよ」


 プレイヤーは死ぬとリスポーンする。

 モンスターは倒すとリポップする。

 どちらも同じ復活に見えて、違うところがある。

 それは、プレイヤーは同じ個体としてよみがえるのに対して、モンスターは別個体として再出現する点だ。


 ミーシャは死んでもミーシャとして復活するが、アルラウンの森で死んだアルラウネたちが復活することはない。


「だから、手伝えよ」

「何を?」


 何って、決まってるじゃないか。


「アルラウンの森の、再興」


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