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1話 "Hello Cursed World, New Legend"

英語は読まなくていいです

 この配信を始める前に、自己紹介を。

 わたしの名前は姫籬(ひもろぎ)Ren(レン)

 銀髪青眼の美少女、兼、配信者(ストリーマー)である。


 日本時間の午前5時。

 わたしは英語で配信を行っていた。


 理由は簡単。

 パンドラシアオンラインがもともとイギリス生まれのゲームで、英語圏のプレイヤー人口が多いからである。


「Hi! My name we wouldn't establish that, we're on first name bases. My name is Himorogi Ren. But please feel free to call me Ren or Hime-chan or ah- and so on!」


 姫籬(ひもろぎ)Ren(レン)だよ。

 RenとかHime-chanって呼んでね。


 そんな感じであいさつしながらAIカメラに向かって笑顔で手を振る。


・At first sight.

・So cute.

・Hime-chan I luv u.


「I love you? Ahaha, I love you too!」


 ちなみに、時間も時間なので日本人のコメントは少ない。いるのは配信の通知をオンにしてくれていてかつわざわざリアルタイムで見に来てくれた人と、そもそもまだ寝てなかった人たちだ。

 前者については起しちゃってごめんね。

 アーカイブ残すから寝ててくれていいんだよ?


「Today, I will get arrive the next city over the Zanga Fieldlands. Let's start shall we?」


 ザンガの草原を越えて次の町をめざすよ。

 先に今回の配信の目的を宣言しておく。


 わたしは学んだのだ。

 このゲーム、目的地を先に決めてから移動しないといつまでたっても寄り道から抜け出せない。


・What's happened!?

・Flying!?

・Does anyone know how to fly?

・Nobody.

・Hey Ren. Plese tell us the method.


「わたしムズカシイ英語わからなーい!」


 空を飛んだらコメント欄が滝のように流れた。

 読めてないけど、多分どうやって空飛んでるのとか飛び方を教えてくれとか書いてると思う。

 いや、わたしも知らんがな。


 というわけでコロコロと笑いながらひたすらザンガの草原の奥をめざす。


「By the way, do you know if the Mayhem can see Liberta through my stream?」


・Maybe.

・Perhaps.

・Probably.


「lol」


 やっぱり原産地の民はパンドラシアオンラインに詳しいのかと思って悪鬼(メイヘム)でも配信なら天翼種(リベルタ)を見れるのかと聞いてみた。

 帰ってきた答えは多分おそらくきっと。

 キミらなかなか協調性があって好きだよ。


「A wild goblin Appeared! Watch. Watch. Watch! This is my main weapon and name is the Artemeres' Blessing, the assault rifle, crafted by my friend Ayatakaga!」


 あ、やせいのゴブリンがあらわれた!

 わたしはおもむろに銃器を取り出すと、見せつけるようにアヤタカガさんをほめたたえた。

 コメント欄が賑やかになる。

 みんなArtemeres' Blessingに夢中みたいだ。


 わかる。そしておまえらわかってる。

 かっこいいよなぁ!

 一目でわかる洗練されたデザイン、配色……!

 これに惚れない奴はいない!


 ふふん、これでアヤタカガさんがまた人気者になっちゃうなぁ。

 インフルエンサーとして鼻が高いよ。


「One shot‼」


――――――――――――――――――――

空亡(ソラナキ)】発動

――――――――――――――――――――

空中にいる間、与ダメージが増加します。

――――――――――――――――――――


 ヘッドショット一撃でゴブリンがポリゴン片に砕け散る。うーん、清々しい。


 ゴブリンは牙や角、肝なんかを落として、これが薬の素材になるらしい。現状は深刻な資金不足なので一度地上に降りてドロップアイテムを回収する。

 ちなみにゴブリンのドロップアイテムの情報源もアヤタカガさんである。


 そんな感じでザンガの草原を寄り道せずに進むと、山岳地帯に差し掛かる。岩壁そそり立つその地すら飛び越えると、そこに新たな景色が切り開けた。


「おお、これって、わたし知ってる」


 険しい山道を越えた先。

 そこに待っていたのは既視感のある光景だった。


 荒城だ。

 砂霧に包まれたゴーストタウンが、わたしの目の前に広がっている。

 既視感の正体はすぐに掴めた。


 ――"Hello Cursed World, New Legend"


 夜見坂よみさかユノ。

 彼女が出ているCMのロケ地。

 わたしはその地を視線の先に望んでいた。


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