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8話 ばぁん♡

(サブタイに機種依存文字使ってるので文字化けしてるひともいるかもしれませんが、ハートマークです)

「おう、姫ちゃん! あんたストーンゴーレムを討伐しに行っただろ!」

「な、なぜそれを⁉」

「World Newsに取り上げられてんだよ!」

「あ、ちょっと待って。配信再開するから」

「自由か! 人の話聞けよ!」


 意気揚々とアヤタカガさんのもとへ戻ると、わたしが鉄では満ち足りずアルテミアス鋼を採集しに行っていたのがバレていた。

 せっかくのドッキリ企画が……。

 いや、まだ諦めてないからね!


「はーい。みんな集合」


・はーい

・待ってました俺の唯一の楽しみ!

・この10分がめちゃくちゃ苦痛だった

・おかえりー!


 あんまり意識してなかったけど、コメントを見る限り10分くらい配信を切っていたらしい。


「お待たせしてごめんね! それと、案の定人減っちゃったね……そのうち戻ってきてくれるでしょう! わたし、信じてるから!

 それでですねー。ようやく素材が集まったのでアヤタカガさんにびっくりしてもらおうかなって思うんです!」

「いや、びっくりするも何もアタシは姫ちゃんがアルテミアス鋼を取りに行ったの知ってんだって――」


 ちっちっちー。

 それが全てだと思っちゃやーよ。

 策は二重三重に弄して初めて功を奏すもの。

 刮目せよ!


「まずひとつ目、熱硬化性天然樹脂です!」

「……は?」


 しゃおらぁ!

 アヤタカガさんの瞠目ゲットだぜ!


「熱硬化性樹脂をご存じない……?」

「ちげえよ! てか、は? 天然樹脂? このゲームにそんな素材あったのか⁉ な、なあ姫ちゃん、これどこで採取してきたんだ⁉」

「こう、アヤタカガさんに頼られると嬉しくなっちゃいますね。話したいのは山々なんですが……」


 洗いざらいしゃべってしまいたい気持ちはある。

 多分に。多分ね。

 でもダメー。


「ごめんなさい。どうしても秘密なんです」

「くぅ……そっかぁ。わかった。無理言ってすまなかった」

「そんな、謝らないでください。こちらまで心苦しくなってしまいます」

「そう? だったら定期的に納品しに来てくれねえ?」

「今の一言で、心苦しさが吹き飛んだんですが」


 なんだこの人。

 性格がカラっとしすぎでは?

 にかにかと笑う様子も、こちらまでつられて笑っちゃうくらい楽しそう。


「心配しなくても、定期的に渡しに来ますよ! 生産職じゃないわたしが持ってても宝の持ち腐れですし、アヤタカガさんの武器が流行るのはわたしも本望ですから!」

「おおおお! サンキューな姫ちゃん! 恩に着るぜ! へへっ、いずれパンドラシア1の生産職になってやるから見ててくれよな!」


 わたしとアヤタカガさんは互いに拳を作ってぶつけ合った。


・てぇてぇ

・助かる

・ヒモロギウム接種会場はこちらとなります


 声に出さないから爆弾発言していい?

 いくよー?


 TS百合は、百合じゃない。


 まーた戦争の火種作ってるよ……。

 声に出してないからセーフ。


「でも、困りましたね」

「あん? 何がだ?」

「いえ、天然樹脂で喜んでもらった手前申し訳ないんですけど、次に出すのがしょぼく感じられるんじゃないかと思って……」


 うーん。

 どう考えても出す順番を間違えた。

 こういうのって、後に行くほどインパクトある奴にしないとダメなんだよね。

 反省反省。


「ははっ、確かにな。もうこれ以上の驚きはねえよ」

「ですよね。着色料なんですけど」

「ブー‼ てめ、なんつうもん出しやがる⁉」

「おお、すごいエモート」

「エモートじゃねえよ!」


 違うの?

 ギャグマンガみたいに噴き出したからエモートかと思ったのに。


「おいおい、マジかよ……着色料をアタシがどれだけ待ち望んだと思ってる。まだゲーム開始初日だぞ? そんな簡単に手に入る方法があるのかよ」


・お、おーい。アヤタカガさん?

・トランスしてて草

・根っからの生産職だなぁwww

・着色料裏山

・パンドラシアオンラインって現状鉄武器ばっかりだから店に並べた時のお通夜感がひどいんだよね……


「へー。着色料ってそんなに需要があったんですね」

「需要があるなんてもんじゃねえよ! なあ姫ちゃん、これの入手法も秘密なのか⁉」

「お、よくわかりましたね。絆ですね」

「こんな形の友情は嫌だぁぁぁ!」


 着色料も秘密の園シークレット・ガーデン産なので口外無用の一品です。ごめんね。


「こんだけありゃレベル30相当の武器でも作ってやんよ」

「おおおおお⁉ 本当に⁉」

「ったりめえよ!」

「すごい! さすがアヤタカガさん!」

「へへっ、褒めんな褒めんな」


 アヤタカガさんはメッシュ状のアサルトライフルを投影すると、空中で手を走らせている。


「おし、じゃあ、はじめるぞ」


 アヤタカガさんがこちらを見ていた。

 息をのんで頷く。


「お、おおおお!」


 アルテミアス鋼、天然樹脂、着色料。

 それらがメッシュ状のアサルトライフルに吸い込まれていく。

 空っぽの銃器が光にあふれ、実体が生まれる。


――――――――――――――――――――

Artemeres' Blessing

――――――――――――――――――――

アルテミアス鋼をベースに作られた。

細部に樹脂を使うことで軽量化されている。


作:アヤタカガ

――――――――――――――――――――


「おおおおおおおおお⁉ すごい! なにこれ⁉ めちゃくちゃカッコいい‼ 好き!」


 目の前にあったのは差し色に黄色を入れた白と青のアサルトライフル。

 想像したはるか先にある至極の一品だった。


・カッケェェェェェ!

・本当に作りやがったwww

・※ゲーム開始1日目である

・俺も撃ちぬかれたい。


 ドMのえむくんは平常運転だなぁ。

 いつも見に来てくれているキミのためにサービスショット(物理)だ。


「ばぁん」


 出来上がったアサルトライフルを配信用カメラに向かって構えてエアで撃つ。


・う……っ!

・Kawaii力53万

・人死にが出るぞ⁉

・い、医者は⁉ リスナーの中にお医者様は⁉

・生きててよかった(死んだ)


 ふふん。

 みんなの生殺与奪はわたしが握っていることを忘れないでよね。


「あ、あとそうだ。姫ちゃんが言ってた植物の種を弾頭に埋め込むタイプの薬莢のレシピも渡しとくな。クラフトから黄銅と火薬と発射したい植物の種で自動クラフトできるからさ」

「おおー、何から何まで。至れり尽くせりだね」

「お互い様だろ、そいつは」


 空きカートリッジと、普通の弾丸のレシピも受け取り、準備は万全。


「じゃあ早速試射してきます!」



 草原に出るとプレイヤーの数が増えていた。

 ゴブリン狩りもあちこちで横行していて、近寄らないように移動するだけでも気を遣う。

 魅力特化の都合上、他の狩場に移動したほうがいいかもしれない。


「お? みんな見て見て! あんなところにはぐれゴブリンがいるよ!」


 だいぶ先の方まで飛行で移動して、ようやく誰とも戦闘していないゴブリンを見つけられた。

 一族郎党にされちゃったのかな。

 大丈夫。

 すぐみんなに会わせてあげるからね。


「――すぅ」


 近くの岩陰に降り立ち呼吸を一つ。

 銃を構えて照準を合わせる。


 狙うは一点。かの緑の小鬼の大きな頭蓋。


照準(Lock)……射出(Fire)‼」


 反動(リコイル)が肩に負荷をかける。

 顔をしかめそうになるほどの衝撃だったけど、こらえきれないほどではない。

 撃ち出された弾丸は一直線に空を切り、ゴブリンの頭蓋をぶち抜く――。


 決着は一瞬だった。

 弾丸が着弾すると同時にゴブリンのHPバーが蒸発する。

 断末魔を上げる隙すら与えない。

 痛みを感じる暇すらなかっただろう。

 無慈悲で慈悲にあふれた一撃である。


「おお、さすがレベル30相当武器……」


 しかもそのうえパラサイトシードの射出能力まであるんだよ?

 わたしはどうやら最強になってしまったみたいだ。


というわけでアサルトライフル完成です!

よかったらブクマや★投下よろしくお願いいたします!

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