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30話 兄妹

「橘君、今日も一緒に帰ろ!」


いつものように大きな声でクラス中に聞こえるように三条が俺を誘ってくる。毎回断っているが、結局は押し切られていつも一緒に帰ってしまう。だけど昨日茜から注意をされたので、今日は絶対に断るつもりでいた。


「いや、流石に今日はやめとく。一人で帰る」


「え~何で?噂なら全然気にしてないよ」


毎回噂を理由に断っているので、今日もいつものように気にしないと言われる。


「いや、とある奴にも三条が俺の悪い噂に巻き込まれるって注意されたから、やめとくよ」


俺が答えると三条は目を細めて俺を見てくる。そして顔を俺の耳に近づけて小声で聞いてくる。


「とある奴って誰?楠木さん?」


「いや違うぞ」


「ほんとに~」


いきなり横から声を掛けられて俺と三条は二人とも驚いて声の方に顔を向ける。


「・・・柴崎」


「・・・雫」


柴崎がニコニコしながら立っている。三条とは一緒にいる所を良く見るが、あれから俺には全く絡んでこなかったのに何故今になって絡んできたのか。


「う~ん。何か面白そうな話してるなって思ったから~?まあそんなに嫌そうな顔しないでよ~傷つくな~」


当然のように俺の考えを読んで答えてくる。傷つくっていう割にはそんな様子は微塵も感じられない。


「で~?誰が橘君にそんな事言ったのかな~?」


ヤバい、もうすでに背中に嫌な汗が出ている。チラリと三条を見ると目を逸らされた。それでも柴崎から助けてもらいたいので俺もなりふり構わず、三条を教室の隅に引っ張っていく。


「何で目を逸らした?助けてくれる約束だろ!」


「いやいや、まだ勝負すら始まってないよ。それに私も橘君に吹き込んだ人が気になるから助けてあげられないな」


「・・・・」


三条の助けは借りられない。それなら何か聞かれても表情を変えず何も答えずに帰る準備をして帰るだけだ。


「あ~戻ってきた~。それで~誰なのかな~」


「・・・・・」


「む~。そう来るか~」


どうやら柴崎に対して反応しないってのが一番効果的なようだ。これなら何とかなりそうだ。


「穂乃花~心当たりのある人の名前言ってみて~」


「楠木さん?」

「・・・・」


「清水さん?」

「・・・・」


「小笠原君?」

「・・・・」


「・・・・あとは思いつかないな~」


3人!!自分でもビックリするぐらい俺の知り合い少ないな。まあそういう学校生活送ってきたから仕方がないか。


「雫は?思い当たる人いる?」


三条がそう聞くと柴崎は首を振る。それを見て俺は自分の勝利を確信し、三条は少し落ち込んだ表情を見せたが、


「穂乃花~違うよ~。多分清水さんだね~」


・・・だから何でこいつは分かるんだよ。本当に妖怪なんじゃねえのか。

動揺しているが、表情に出さないように必死に我慢して、帰る準備を済ませる。


「ほら~穂乃花~みて~清水さんでしょ~」


そう言われた三条は俺の顔をマジマジ見てきた。ちょっと顔が近いので恥ずかしいが、


「あ~本当だ。清水さんだね」


何故か三条にもバレてしまう。

何でだ?表情は変えていないはずだが、何をみて確信しているんだ?これは帰ってから目の前の茜に聞かないと、今後の学校生活がヤバくなるかもしれない。


ん?目の前の茜?


「私がどうかしましたか?」


後ろから突然声を掛けられて三条と柴崎は慌てて後ろを振り返る。自分たちの真後ろに立っている人物が茜だと認識したのだろう二人は固まってしまった。二人は固まっているが周囲は「清水さんだ。」「何でこのクラスに?」「やっぱり可愛い。」等騒いでいる。


慣れてしまい忘れがちだが、そもそも茜は楠木並みかそれ以上に可愛いと言われている。茜は男性恐怖症がある為、他のクラスに行く事はほとんどなく自分のクラスに基本引き籠っている。用がある時だけは、楠木や小笠原についてきてもらっているらしい。そんな茜が一人で他のクラスに来たのだ周りも必要以上にザワザワしている。そんな中俺は嫌な予感しかしていない。


「ええっと、三条さんと・・・雫さん・・すみません舞から名前で呼ばれてるので知っていますが苗字は分かりません。陸上部ですよね?」


「・・・柴崎です」


苗字を名乗って、多分陸上部だと肯定の意味で首を縦に振る柴崎。語尾が伸びていないので、かなりテンパっているみたいだ。


「そうですか。では三条さん、柴崎さん。今日は橘君と一緒に帰る約束があるので、これで失礼します」


嘘だ。今日、茜と一緒に帰る約束はしていないのだが、そう言って茜は俺の腕を掴んで連れて行こうとする。さっきまでザワついていたクラスメイト達が息を飲んだ事が分かった。茜の男性恐怖症はかなり有名で、唯一彼氏の小笠原だけが親しくできると知られている。そんな茜が男の、しかも悪い噂が流れている『寝太郎』の腕を掴んで、挙句一緒に帰ると言っているのだ。そりゃあみんな驚くだろう。そうやって茜に腕を引かれて教室から出ようとした所で、反対の腕が引かれた。見ると三条が俺の腕を掴んでいる。それに気づいた茜は不思議そうな顔をして立ち止まる。


「ちょ、ちょっと待って。清水さんって小笠原君と付き合ってるのよね?それなのに他の男子と一緒に帰るのはどうなの?」


「ああ、純君にはちゃんと話してますので、大丈夫ですよ」


言われた茜は何事もないように答える。クラスはシ~ンとなり三条と茜のやり取りを聞いている。ちなみに俺は片方ずつ腕を掴まれたままで挟んでやり取りされていて気まずい。柴崎も会話に入れず二人を落ち着かない様子で視線を彷徨わせている。


「それでもやっぱり、おかしいよ。彼氏がいるのに他の男子と一緒に帰るって」


「安心して下さい。私には純君がいますし、橘君は私の兄なので恋人関係になる事は絶対にないですから」


「でも、それでも、もしかしたらが・・・・うん?あに?」


この時点で俺は手遅れだと悟ってしまう。頭を抱えたいが二人から掴まれているので、俯く事しかできない。


「はい!そうですよ!橘修一は私の義兄です。だから一緒に帰っても何も問題ありません」


・・・・・

「「「えええええええええ」」」


一拍置いてからクラス中大騒ぎになった。俺は恨めし気な顔で茜を見ると、茜はペロッと舌を出す。どうやら・・・いやどうみても全て茜の作戦通りみたいだ。兄妹だとバラす事は許可したが、こんな方法だとは思っていなかった。流石に驚いたが、それ以上に目の前の三条と柴崎は驚いたみたいでポカンとした表情で突っ立っていて、頭が追い付いていないみたいだ。ただ他のクラスメイトの何人かはこちらに詰め寄って質問してくる。その中には男子が何人もいるので、茜は慌てて俺の後ろに隠れる。


「清水さん、ホントなの?今の話?」

「本当ですよ。親が再婚して義兄さんと兄妹になりました。冬休みからです。ちなみに私が妹になります」


「でも清水さん、名前」

「ああ、今の私の本名は『橘茜』になっていますが、高校卒業までは『清水茜』と名乗るつもりです」


「いきなり、同じ年の男子と一緒に暮らすって大変じゃない?」

「別に大丈夫ですよ。義兄さんも義父さんもかなり優しいですし、色々ルールを決めているので今までトラブルが起こった事はありません」


「小笠原君は何も言わないの?」

「純君には全て話して、それでちゃんと分かって貰っているので大丈夫ですよ」


いくつもの質問に俺の後ろに隠れながら茜が答えていく。茜しか質問されないが、男子の何人かは俺に質問したそうでできないって様子だった。多分下世話な質問なので、茜がいると聞けないのだろう。ある程度質問が落ち着いた所で、いまだにポカンとしている三条と柴崎に声を掛ける。


「そういう訳だから、今日は茜と帰るからな」


コクコクと頷く二人を確認してから教室を出ていく。しばらく歩いた所でニコニコ顔でついてきている茜に話しかける。


「許可はしたけど、さすがにこれは想定していなかった」


「すみません。義兄さん。インパクト大きく知られたかったので・・・これで明日には学年中に知れ渡って、2~3日もすれば落ち着くと思います」


俺の義妹はおとなしいが、計算高い性格があるという新たな一面を知ってしまった。知ってしまったが、何となく茜っぽくないやり方だと感じていた。俺の教室でバラさなくても友達の多い楠木や小笠原に頼む方が茜らしいのだが・・・これも俺の勝手なイメージか。

他愛ない事を茜と話しながら歩いていると、すれ違う人達からギョッとした感じで見られる。中には、


「茜?どうしたの?なんで寝太・・・この人と一緒にいるの?」


明らかに俺に敵意を見せて話しかけてくる奴もいたが、茜が俺を義兄と紹介すると、ビックリした顔で固まるので、その隙に脇を抜けて先に進む。玄関で靴を履き替え茜と家に向かうが、時折周囲を警戒した様子で確認しているのが、気になった。





火曜日

昨日帰ってから色々茜の行動について考えたが、一つの可能性に思い当たった。俺の思い過ごしならいいが、思い過ごしじゃなかったら早めに手を打たないといけない。昼になったら小笠原を呼んで話を聞かないと・・・その前に俺に集まってきている奴らをどうにかしないといけないが、聞かれる内容はほとんど同じで、「本当に兄妹なのか」、「いつからなのか」、「一緒に暮らしてて何かトラブルは」等で俺は何度も同じ答えを話してうんざりして、途中からは無視して寝た。





昼休み、茜の事で小笠原に話を聞かないといけないので、気分は乗らないが5組に足を運ぶ。ドア近くにいる奴に「小笠原を呼んでくれ」と小声で頼むと他の5組の奴からは見られないようにドアの影に隠れる。暫く待つと頼んだ奴が手招きしているのが見えたので、近くまで行って話を聞く。


「小笠原君達、今日は購買にパン買いに行ってるらしいよ。ちょっと待てば戻ってくるって」


昼休みの購買はパンの争奪戦だから早くいかないと目ぼしいパンがほとんど無くなる。このため購買でパンを買う奴らは授業終わりは購買ダッシュをしている。


だから俺が授業終わりに真っすぐ5組に来ても小笠原はいないのか。だったら購買に向かって小笠原を捕まえに行けばいいか。


「そうか、ありがとう」


そうお礼を言って購買に向かおうとしたが、


「修一!」


見つかってしまった。


窓際の席で茜や友達と今からご飯を食べようとしている楠木が俺を見つけると勢いよく椅子から立ち上がり名前を呼んだ。


ここで楠木というか5組の奴らに見られるのは俺でもマズい事は分かっている。しかし名前を呼ばれたのに無視していくと、また楠木が泣いてしまうかもしれないと思ってしまった為、取り合えず片手を挙げて挨拶だけして立ち去ろうとする。


「ちょっと待ってよ!」


大きな声で呼び止められる。こうなるとさすがに無視して行けない。仕方がないのでドアの所で立ち止まる。結構な勢いでこちらに走ってくる楠木はすごい笑顔だった。


こいつ分かってるのか?そんな顔で俺の所に来たら、作戦台無しじゃねえか。しかも大声だすからクラスの奴ら注目してるし!見てみろ周りの困惑した顔・・・あ~明らかに俺を睨んでくる集団がいるな~。楠木達とご飯食べてる奴らか。


「えへへ。どうしたの?何か用事?」


「・・・義兄さん」


笑顔の楠木と少し遅れて俺の所に来た茜。楠木はすごく嬉しそうなのに対して、茜はすごく心配している表情だった、楠木は良く分かっていない様子だが、茜は分かっているので心配しているのだろう。俺は三条から聞いて知っている・・・楠木と別れた俺の5組での評判は他のクラス以上に悪い事を。

俺を睨みながらこちらに向かってくる集団を楠木から聞いているので予想はできる・・・多分陸上部の奴らだ。楠木達とご飯を食べようとしていた陸上部メンバーとトラブルが起こる可能性が高いので5組に近づくのは避けたかったが茜の為なので仕方がないか・・・。


「いや、小笠原に用事があって・・・購買行ってるみたいだし、俺も購買に行って捕まえる」


「小笠原?」


「純君ですか?」


二人ともキョトンとした顔をして聞いてくる。トラブルを避けるのはもう無理だ。敵意むき出しの集団がすぐそこまで来ている。


「あんた一体何の用!!」


俺に怒鳴ってきたのは、確か去年同じクラスだった奴、柴崎と良く一緒にいたし陸上部だろう。


「舞に酷い事して振られたくせに今更未練でもあるわけ!」


敵意マシマシで俺に怒鳴ってくる元クラスメイト。同じように敵意むき出しの他の奴らは俺から楠木を引き離すように引っ張っていく。


「ちょっと、あんた達何なのよ?引っ張らないでよ!」


困惑しながらも友達に引っ張られていく楠木とそれを見てオロオロしている茜。


「ねえ、何か言いなさいよ!あれだけ舞の事悲しませて!よくここまできて顔見せれるわね!!」


そう言って詰め寄ってくる元クラスメイトを見て、こいつは本当に楠木の事を友達だと、友達として楠木を大事に思っているんだな・・・俺にはそんな奴いないなと思ってしまい、つい笑ってしまった。

「ははは。ちょっと小笠原に用があってな」


パシッ!


答えた瞬間頬に鋭い痛みが走る。まあ見えていたのでわかっているが目の前の元クラスメイトに叩かれた・・・痛い。


「あんた!何ヘラヘラしてるのよ!舞に悪いと思ってないの!!」


5組に来てこいつらに絡まれた時点でビンタぐらいは覚悟していた。覚悟していたが・・・頬を叩かれた俺を見た楠木の目が吊り上がっていく。


「茜!舞を抑えてくれ!」


「明美~あんた・・もが・・・ちょ・・茜・・・ぐ」


キレそうな楠木を茜にお願いして止めてもらう。俺の意図をすぐに理解してくれたと思う茜がすぐに楠木に飛びついて口を押えて止めてくれる。その様子を見て安心した所で、


パシンッ!


続けて俺の頬にさっき以上の痛みが走る。楠木と茜を見ていたので全くの不意打ちになってしまった。さっきよりも痛い。


「あんたいつまで彼氏面して舞の事名前で呼んでるよの!いい加減にしなさいよ!」


楠木から名前で呼ばないと怒るって言われたんだけどな~と思ったが、目の前のこいつに言っても信じて貰えないだろう。


「ああ、悪い。小笠原もいないようだし・・・邪魔した」


「二度とうちにくるな!」


そう言われてピシャリと扉を閉められる。う~ん。分かってはいたが嫌われてるな~。こればっかりはどうしようもないし、小笠原を捕まえに行くか。

階段をおりて購買に向かう途中で、小笠原を含む集団に出会う。


「よう!橘」


軽いノリで俺に声を掛けてくる小笠原だが、周りの奴らの何人かは俺を睨んでくる。

男子からも嫌われてるな~まあ仕方がないか。


「小笠原ちょっといいか。茜の事で話がある」


声を掛けると驚いた表情を見せたがすぐに頷いてくれる。


「ああ、いいぞ。ここでいいか?それとも場所変えるか?」


周りの奴らはすごく嫌そうな顔をしているが、ここは我慢してもらおう。


「ここではちょっとな、悪いな。小笠原を少しだけ借りるぞ」


不満顔の他の奴らにも一言断りを入れて小笠原と一緒に歩き出す。やっぱりこいつも俺と違って人気者で一緒に歩いていると色んな奴らが声をかけてくる。っていうか多すぎだろ。部活やってるから後輩から挨拶される事を考えても多い。しかも一緒に隣を歩いているのが、今や悪い噂が流れている俺だ、小笠原に挨拶した奴らは俺に気付くとビックリしてそそくさと去っていく。その後ろから「あいつが・・」「寝太郎・・・」「なんで小笠原さんと・・・」なんて声が聞こえてくる。


「嫌われてるな。っていうか俺たちのせいだよな?すまん」


律儀に頭を下げて謝ってくる小笠原だが、正直やめてほしい。周りに人がいてジロジロ見られているのでまた変な噂が立つのは嫌だ。


「妹の為だから気にするな。あとこんな所で謝るな、また変な噂される」


「あっ!そうか、悪いな」


そう言ってしばらく歩いて図書館へ続く渡り廊下で足を止める。ここなら人もいないしいいだろう。何人か校舎からこっちを見ているが話している内容までは聞こえないだろう。

俺が小笠原を呼びだすのは初めてなので、少し緊張しているようだ。俺も昼飯食べてないしさっさと用件をすませよう。


「単刀直入に聞くけど、茜っていじめられてないか?」


「・・・は?」


そう聞くと間抜けな声を出し間抜けな顔をするイケメン。


「だから、茜だよ。クラスでいじめられてないかって」


「・・・いや、無いから!無い!・・・でも女子だから隠れて・・・いや無い!無いと思うぞ」


少し考えてから俺の質問を精一杯否定してくる小笠原。


「そうか、ならいいんだけど」


「そもそも何で橘はそんな事思ったんだ?茜に何か言われたのか?」


「少し茜の様子がおかしいと思ってな、いきなり兄妹の事を周りにバラそうとか、そのバラし方も茜らしくなかったし、一緒に帰る時も周りを結構警戒している感じだった。3年になってクラス替えがあったばかりだからクラスに馴染めなくてもしかしたらと思ってな」


そう答えると、小笠原は少し呆然とした顔をしたと思ったらすぐに笑い出す。


「あっはははは。大丈夫だ、茜の事は心配するな。俺がちゃんと守るから!何かあれば俺も楠木も同じクラスだからすぐに助ける!それよりもお前本当に良い奴だな!」


何が面白いのか良く分からんが、小笠原から笑われながら肩をバシバシ叩かれる。


「何がそんなに面白いんだ?」


何となくイラつくので小笠原に尋ねる。多分俺は非常に不機嫌な顔をしている。


「ああ、悪い悪い。まあ、茜の事は本当に大丈夫だから、いや~お前が茜の兄ちゃんで良かったよ。これからも茜の事を頼むよ!義兄さん」


この様子だと茜の件は小笠原に任せておけば大丈夫か・・ただしこいつは少しイラつくのでお灸を据えてやろう。


「お前からまだ義兄さんと呼ばれる気はない。まずは俺の親父から認められてからにしろ!」


そういうと小笠原はみるみる青ざめていく。


「茜から聞いてるけど、お前の父親見た目からしてヤバいんだよな?しかも筋肉ムキムキって聞いてるんだけど」


「ああ、身長は190ないって言ってたな、筋トレが趣味だし、空手の有段者だし、俺より茜の方を溺愛しているな。お前茜と付き合ってるってバレたら殴られる覚悟はしといた方がいいぞ。親父に殴られたら首から上がどっか行った感覚になるから気を付けろよ」


「おい、あんまり怖い事いうなよ。冗談だろ?冗談って言ってくれよ」


本当の事なので、冗談とは言えない。さすがにふざけた態度をしない限り親父から殴られる事はないだろうが、まあ少し怖がらせすぎたので、助言をしてやろう。


「茜と義母さんを味方につけとけ!あと親父は焼魚が苦手だから持ってるといいぞ。じゃあ時間取らせて悪かった。茜の事は宜しくな」


「あ!おい!焼魚持ってろってどうしたらいいんだよ!お前ん家行く時、魚をお土産として持って行けばいいのか?それとも焼いた奴持ってればいいのか?」


後ろから慌てるイケメンの声が聞こえるが無視して体育館裏に向かう。


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