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29話 浮気?

あれ?あれ?なんで?舞?どうして?義兄さんの所にも行っていないの?本当に何かあったの?


義兄さんから話を聞いて私は混乱しながらも自分の部屋に駆け込みスマホを取るとすぐに舞に電話掛けます。が、すぐに無機質な音声が流れてきます。舞のスマホは電源が切れているみたいです。仕方がないので家電に電話します。暫くコ-ル音が流れたあと、


「はい、もしもしです」


舞より少し幼い感じの声が電話口に聞こえました。最近は変な電話も多いので、家の電話に出た時は名乗らない事している家庭も多く舞の家も同じでしたが、私にはよく聞いた声、妹のように思っているし、向こうも私を舞ぐらいに慕ってくれている舞の妹の「巴」です。


「あっ?もしもし、巴だよね?舞いる?」


「茜ちゃん?久しぶり~。あっお姉ちゃん?帰ってきたら体調悪いって言ってずっと部屋にいるよ?呼んでくる?」


「・・・体調悪いならいいや。舞にスマホの充電切れてるよって事と明日遊びに行くからって伝えておいて」


「え~明日私用事あるから会えないよ~。別の日にしてよ~。久しぶりに茜ちゃんに会いたい」


「あはは。それじゃあ、また今度都合がいい時に遊びにいくね」


「約束だよ!充電と遊びの件伝えておくから、じゃあね!」


ふう、安心しました。舞は家にいるようです。事故や事件等に巻き込まれていなくて良かったです。それにしても本当に体調不良なのでしょうか?緊張しすぎて気分でも悪くなったのでしょうか?まさか、ここまできて怖気づいたって事はないですね?色々嫌な考えが浮かびますが、明日詳しく聞く事にしましょう。





日曜日

私が起きた時には義兄さんはいつも通り学校に行ってました。私も受験生なので勉強しないといけません。義兄さんのおかげで2年の最後のテスト学年で200位以内で赤点はゼロでした。舞は50番台で純君から悔しがられていました。義兄さんに勉強を教えて貰った二人揃って過去最高の成績でした。だからと言って勉強をサボっていい訳ではありませんが、今日は舞の為に時間を使いましょう。

舞の家に着くと昨日言った通り、巴は出掛けているみたいで、おばさんがでてくれます。


「茜ちゃん。おはよう。巴から来るって聞いてるけど、舞って昨日からずっと部屋から出てこないんだけどいいの?」


「おばさん。おはようございます。大丈夫ですよ。原因は何となく分かってますから」


そう答えるとおばさんは顔を輝かせて、色々察してくれたようです。今までそう言った事が舞には無かったので嬉しくなるのはわかりますけど、流石に自分の娘が落ち込んでいる時に嬉しそうな顔をするのはどうでしょう?


「本当に?ついに舞にも来たの?絶対あとで詳しく教えてね!」


そう言ってニコニコ笑顔でリビングに戻っていきます。これは多分簡単に帰れないでしょう。

私はいつものように舞の部屋の前に止まりノックをしますが、返事が返ってきません。再度ノックをしても返事がないので、勝手にドアを開けて舞の部屋に入ります。部屋は電気も付けず、カーテンも閉めっぱなしで昼前なのに暗かったので、カーテンを全て開けて部屋を明るくします。そうして部屋を見渡すとベッドの上に舞がいました。髪はボサボサであまり寝ていないのでしょう、昨日は泣いていたと思われる腫れた目には隈ができて、布団にくるまって無表情で体育座りをしていました。こんなになった舞を見たのは初めてで驚きますが、かなり明るく挨拶をします。


「おっはよ~舞!昨日からどうしたの?」


声を掛けるとチラリではなくてジロリと言う感じでこちらを一瞥してきます。こんな風に舞から見られるのは喧嘩した時以外はないので少し緊張します。


「・・・茜か・・・何?」


無気力で本当に興味なさそうに返事をしてくる舞。これは重症です。本当に何があったのでしょう?


「何?じゃないよ。昨日からどうしたの?スマホの充電切れてるし連絡つかないし」


舞のスマホを探すと机の上にあったので、充電器に繋いで充電してあげました。ついでにロックを解除し、通知を見ると結構な数のメッセージが来ていました。


「本当に何があったの?義兄さんも舞が来ないって心配してたよ」


舞がピクリと反応します。思った通りというかそれ以外ないのですが義兄さん関係です。昨日義兄さんは会わなかったと言っていたので、陸上部でまた義兄さんの悪口でも聞いたのでしょうか?


「・・・・浮気してる」


「・・・は?」


「修一が浮気してる!」


本当に舞はいきなり何を言い出すのでしょう。いや、そもそも付き合ってないから浮気とかにならないでしょ。等と言うと今の舞がどう反応するか分からず怖いので、冷静に落ち着いて話を聞きます。


「昨日のお昼修一が知らない女子とご飯食べてた。しかもすっごく楽しそうだった」


舞が言うなら見間違いではないでしょう。でも義兄さんが?とは思います。


「・・・どんな感じの子だった?」


取り合えず舞が知らない子なので、私が知っている可能性は低いですが特徴を聞けば何か分かる事があるかもしれません。


「すごい分厚い眼鏡で茜より少し短いぐらいの髪を三つ編みで一つにしてた。見た感じかなりの真面目系だった」


う~ん。所謂ガリ勉タイプって感じでしょうか?見た事ないな~。もしかしたら後輩かもしれません。


「・・・私も思い当たる子はいないな~。帰ったら義兄さんに聞いてみるね」


「・・・・大丈夫かな。修一がその子の事好きって言ったら・・・私・・・ウウ・・」


これは本当に重症です。泣き出してしまった舞を見て本当にそう思いました。考えがマイナス方向にしか行っていません。舞には十分なアドバンテージがある事を忘れているようです。


「義兄さんが舞を滝に連れて行った事を思い出して。義父さんが言うには紅葉ちゃんでも駄目だったのに舞だけが連れて行ってもらったんだよ。義兄さんが大切にしている場所に」


「・・でも、その子も連れて行ってもらってるかもしれない」


「それは絶対にないよ。義父さんのバイクを借りる時は行先を家族に伝える事になっているし、舞が義兄さんの事を好きって分かってから義兄さんの休日の行動は気にするようにしているから」


「・・・そっか。・・・少し安心した。・・・昨日からずっと悪い事しか考えられなかったから・・・」


少し元気になったみたいですので、心配している人達に連絡を返させましょう。


「また落ち込んできたら、滝に連れて行ってもらった事を思い出せばいいから。それよりもすごい一杯連絡きてるからまずは返信して、それからお風呂入ってきて、酷い格好になってるから。それとも今の姿を写真に撮って義兄さんに送ろうか?」


「ちょっと、やめてよ。修一に変な写真送るの!分かったから、先にお風呂入ってくるから、茜は体調悪かったってみんなに返信しといて」


私にスマホを渡してきます。まあ見られて困るやり取りをしている訳ではないだろうし、私も舞にスマホを渡して返信を頼む事もあるぐらいなので、別に構わないのですが・・・


「義兄さんには、『好きです』って返しとけばいいよね?」


昨日から心配させた罰で少し意地悪してみます。


「だ、駄目に決まってるでしょ!何言ってるのよ!」


私からスマホを奪うと義兄さんにメッセージを送ったみたいです。送った後は私にスマホを渡してきたので、他の人には私から返信しておきます。返信をすると想像通り心配していた、安心した、良かった等返ってきました。そうやって舞の振りして返信をしているとお風呂から上がった舞が戻ってきます。


「茜、あんた何かお母さんに言った?ワクワクした感じでこっち見てくるんだけど・・」


「あはは。ごめん。バレちゃった。帰る時に捕まって色々聞かれるかも・・・」


「はあっ?ちょっと冗談でしょ?やめてよ・・・・えっ?本当なの?」


驚いたように聞いてくる舞にコクンと頷く。舞は遠慮を知らない母親が苦手ですから恋愛関係の相談等は近くの公園や私の家でするようにしてましたけど、今回は自分の事ですし・・・。まあこれを舞に言うと怒りますが、舞も結構遠慮知らずでグイグイ来るので似たもの親子です。・・・まあおばさんは舞の上を行くので、舞が苦手に感じるのも仕方ないです。


「じゃあ、舞も元気になったしお腹も空いたから帰るね!」


そう言って時計を見ると13時を回っていました。帰ってから義兄さんに聞く事を考えないといけないし、一緒にご飯食べていた子の情報を集めないといけないので、帰る準備を始めるていると、


ガチャ


ノックもなしに舞の部屋があきます。


「茜ちゃん!昼ご飯出来たよ!」


私は振り返るまでもなく誰が入って来たかわかりますが、実の娘より友達に先に声を掛けるのはどうかと思います。


「もう!お母さん!ノックはちゃんとしてって何回言わせるのよ!あと、何で私じゃなくて茜にご飯出来たって言うのよ?」


舞が結構怒り気味に言います。多分部活の後輩は舞のこの様子を見ると絶対萎縮してしまいますが、さすが母親何もこたえていないようで、


「茜ちゃんとお話したかったからよ!どこかの誰かは昨日からお母さんの作ったご飯食べてくれないからね!」


「・・・・っ」


おばさんの答えに舞が苦々しい顔をします。


「それで、舞はどうするの?食べるの?」


「・・・・・食べる」


本当に嫌そうな顔をしながらも正直に答える舞。



「それで?それで?どんな子なの?舞の事だからイケメンで選んだって事はないよね?面白い子?真面目な子?」


「「・・・・・」」


おばさんから質問責めにされてますが、隣に舞がいるので、下手な事を言えないし、さっきから私への質問は舞が答えています。


「まじでやめて!しつこい!本当に怒るから!」


お昼ご飯を食べながら母親に激怒りの舞、さすがに私もヤバいと思うのですが、おばさんは気にせず更に質問を続けます。


「あんたが何一つまともな事答えないから聞いてるんでしょ?ほら?茜ちゃん、答えないと帰さないから素直に言った方がいいわよ」


さすがにこれ以上は楠木家の家庭環境が悪くなりそうなので舞には悪いですが、私が答えます。

「おばさん・・・私の義兄になった人です。これ以上はちょっと・・・」


私の答えにおばさんは顔をパアッと輝かせます。反対に舞はすごい顔で私を睨んできます。さすがにこれぐらいは情報を与えないとおばさんは帰してくれそうにありません。これ以上は舞が怖いので言えませんが・・・


「嘘でしょ?茜ちゃんが娘になるの?桜ちゃんとも親戚?舞!あんた絶対逃がしたら駄目だからね!」


何故付き合ってもいないのに結婚する事になっているのか、結婚しても義兄さんは息子になりますが、私は娘にはならない事とか色々ツッコみたいですが横で舞が真っ赤な顔してプルプル震えていて怖いので何も言えません。お昼もご馳走になったし、これ以上は怖いので、さっさと帰る事にします。帰り際舞がすごく恨めしそうな顔で私をみていましたが、

気にしないようにして帰りました。


家に帰ってからは早速純君や友達に連絡して舞が見たという真面目系の女子の情報を集めましたが、結局手掛かりはありませんでした。代わりといっては何ですが、義兄さんが最近三条さんと一緒に駅まで帰っているという情報が純君から入りました。

三条さんは学年1位の成績と言われている人ですが、一緒のクラスになった事がないので、話した事はありません。付き合いが悪いとか、勉強教えてくれないとかあまりいい噂を聞かない人ですが、何故義兄さんと一緒に帰っているのでしょう。今の義兄さんの学校内の評判はかなり悪いです。なにせあの「楠木舞」と付き合っただけでなく調子に乗って悲しませて振られた事になっているからです。私達も頑張って義兄さんが悪く言われないように動いていますが、想像以上に舞の人気がありすぎて厳しい状況です。あと義兄さんを庇ってくれる人が私達3人しかいないのも原因の一つです。ボッチ自称してるけど少しは友達いるよねとか思っていましたが、本当に義兄さんは友達がいません。それなのに別にその事を気にしていないし、悪い評判が流れてしまった事を謝っても『別に気にしてないから、そのまま放置でいいぞ。茜達もそんなに頑張んなくても大丈夫だし、気にするなよ』と軽い感じで言ってます。何であんなにメンタル強いんでしょう?

まあそんな義兄さんの悪い評判を知らないって事はないはずです。それなのに気にせず一緒に帰っている人・・・怪しいです。


「ただいま~」


夕方ほぼいつも通りの時間に義兄さんが学校から帰ってきました。義父さんは別室で筋トレ中で、私も夕飯の下拵えをほぼ終わらせて、母さんと一緒にテレビを見ている所でした。


「「おかえり」」


私と母さんが答えると義兄さんはリビングを素通りし自分の部屋に向かうので、私も後を追います。


「ん?ど?どうした?」


自分の部屋に入ろうとした所でニコニコ笑顔ですぐ後ろに立つ私に気付いた義兄さんは戸惑いながら疑問を口にします。


「いくつか聞きたい事があります。どうぞ」


表情を変えずに義兄さんの部屋のドアを開けて入るように促します。義兄さんの部屋なのに私が「どうぞ」なんて言うのはおかしいですが、舞と別れた直後に三条さんと真面目系な女子二人と怪しい関係になっている義兄さんは軽くお説教しないといけません。


「あ、ああ。・・・何か怖いぞ。何かあったか?」


「そうですね、義兄さんには少しお説教が必要かもしれません」


「???」


何の事か分かっていない様子の義兄さんですが、促されるままに部屋に入り椅子に座ります。


「さて、義兄さん。最近仲良くなった女子二人について教えてください」


面倒くさいので直球で聞きます。私の問いに義兄さんは必至に何かを思い出そうとしています。


「・・・同じクラスの三条と柴崎かな~。でも仲いいって程では・・・でもあいつら以外・・・う~ん」


絞り出すように答えてきたので、もしかしたらそこまで仲良くないのかもしれません・・・いや、すくなくとも三条さんは一緒に帰るぐらいなので仲が良いはずです。もう一人の柴崎さんが真面目系の子なのでしょうか。


「三条さんは頭が良いって言われてる人ですよね?柴崎さんは真面目系の格好した人ですか?」


「三条は合ってるけど、柴崎は真面目系か?・・・いや多分普通っぽい格好してるから違うな。それにあいつは不思議系だ。」


あれ?違うんだ。と言う事はもう一人真面目系の仲が良い子がいるって事でしょうか、三条さんは限りなく黒に近いグレーって所ですが、真面目系の子はシロかもしれません。


「義兄さんが土曜日に真面目系の子とお昼一緒だったって聞きました」


面倒くさいので直球で聞きます。義兄さんにはこっちの方が話が早いです。私の質問に義兄さんは苦笑いしながら答えてくれます。


「やっぱうちの学校噂好きが多いな。その噂の相手は三条だよ。なんか流れで昼一緒に食う事になってな。まあ今日も一緒に食べる事になったんだが。結構見られてたから噂になると思ったけど、思ったより早くてびっくりした」


「え?三条さんですよね?真面目っぽい格好ではないと思うのですが」


私の記憶では三条さんは普通の格好をしているイメージです。少なくともガリ勉みたいな格好ではなかったはずです。


「ああ。何か休みの日はガリ勉みたいな格好の方が集中できるんだって。あっ、そう言えばあんまりその格好でいるの知られたくないって言ってたな。悪いけど黙っていてくれるか?」


義兄さんはあまり気にしてない感じで言ってますが、私の中では警戒度が上がってきてます。


「それでは、三条さんと最近一緒に駅まで帰っていて、昨日今日とお昼一緒に食べたって事ですか?」


「・・・う~ん。言われるとそうなるな」


ヤバいです。義兄さんは気づいていないですが、かなり三条さんは怪しい、というか私の中ではクロになりました。上手い事義兄さんに言って距離を取らせないと。


「義兄さん!今の義兄さんの学校での評判って知ってますか?舞と別れてからかなり悪いですよ。いやすみません。私達のせいなんですが、それはそれとして別れてすぐに他の女の子と仲良くしてるのは、傍から見れば更に悪い印象を与えますし、三条さんも悪く言われますよ。分かってますか?」


「いや、俺も自分の評判悪いってのは自覚してるし、その事三条に何度も注意したんだけど、気にしないって言われてんだよ」


「・・・・・・」


アウト!アウトです。三条さん、動き出すの早すぎです。これは本格的にマズいです。この動きの速さと私が聞いている三条さんの印象から、興味本位で義兄さんに近づいてきた訳ではなくて前から義兄さんを好きだったんだと思います。


恐らく義兄さんが舞と付き合う前から・・・・。だから舞と別れたと聞いてすぐに動きだした。


多分あの状態の舞だとすぐに告白は無理そうだし・・・どうにかして三条さんとの距離を離さないと・・・土日は舞と勉強する約束を取り付ければよし。だけど平日の下校が問題だなあ・・・舞は部活あるから無理だし・・・はあ~やっぱり私がやるしかないか。義兄さんは嫌がるかもしれないけど説得しよう。


「・・・・茜?」


先ほどから何も答えず考え込んでいる私を心配して義兄さんが声を掛けてきます。


「話は変わりますが、私達が兄妹だってことを学校でバラしましょう」


「は?・・・・いやいや何でだよ?」


三条さんの話をしていたと思ったらいきなり兄妹だとバラしましょうですもんね。訳わかりませんよね。それでも納得してもらうしかありません。


「どこかからバレて裏でヒソヒソ言われるよりは先にこっちからバラした方がいいと思います」


「今まで通りならバレる可能性は低くないか?」


当然否定されますが、何とかごり押しで納得してもらいます。


「今まで通り行かない可能性があるから言ってるんです。私達は受験生だから三者面談が何回かあります。ということはお母さんか義父さんが学校に来ますよね?そうすると親と私達が一緒にいるのを見られる事があるかもしれません。見られたらすぐに兄妹だとバレて噂されます。それよりは先に自分たちからバラした方が被害が少ないと思います」


そう答えると義兄さんは腕を組んで難しい顔をして考えています。


「・・・・そうだな~。多分親父が来る可能性が高いし親父の見た目からして目立つもんな~。黙ってろって言っても無駄に声でけえし、余計な事まで言いそうだもんな。・・・自分たちからバラしたらまあ2~3日我慢すれば落ち着くか。分かった。取り合えず納得した」


良かったあああ。ちょっと気になる事を言ってましたが納得してもらえました。これでしばらく時間を稼げるでしょう。昨日の舞の状態だとすぐに告白は無理そうだし・・・・今日の事も舞に連絡しないと・・・三条さんの事言うと落ち込むだろうな。


「それで、本当の所はどうなんだ。茜?」


色々今後の事を考えていると義兄さんからの質問にドキリとしました。ちょっと義兄さんを侮っていたみたいです。さすがに三者面談うんぬんが理由だと思ってないみたいです。


「・・・えっと。本音は勉強で分からない所があれば、学年1位の義兄さんに堂々と教えて貰えるからです・・・2年の期末テスト義兄さんに教えて貰ったら過去最高の順位になったので・・・それに私も受験を考え始めたので・・・すみません。自分勝手な理由です」


若干の本音も混じっていますが、これも建前です。本当は三条さんと距離を置かせたいのですが言えませんので、これで納得してもらうしかありません。


「・・・ははは。そうか。分かった。バラす方法は茜に任せる。っていうか俺だと話す奴いないからな。」


ここで三条さんの名前が出てこないのは、義兄さんの中ではまだ友達の認識ではないのかもしれません。でもこのままではいずれ。


「・・・」


「?茜?」


おっと、いけません。また考え込んでしまいました。とりあえずこれで目的は達成したので、部屋に戻りましょう。でもその前にさっき義兄さんが気になる事を言っていたのを思い出しました。


「そういえば、何で三者面談に義父さんがくる可能性が高いんですか?」


最近お母さんはパートの掛け持ちをようやくやめてくれて一つに絞ったので、時間ならお母さんの方があるので、来るならお母さんだと思ったのですが。


「・・・俺の勘だけど、義母さん多分妊娠してるから親父が来ると思っただけ」


「・・・・・はい?」


なんかすごい事言われました。頭がついていきません。


「いや、勘だから違ってるかもしれないけど」


少し自信なさそうに義兄さんが答えますが、最近の両親の行動を思い出してみます。そういえば、母さんはよくソファで寛いでいますし、母さんの近くに私がいる時以外は常に義父さんがいて、飲み物取ってあげたりして色々甘やかしているなあとか最近二人の距離感近いなあとか思っていました。

でも・・・いや・・・本当に?


「本当なら時期が来たらちゃんと話してくれるだろ。一応茜もその可能性を頭に入れておけばいいさ」


混乱している私は、義兄さんへコクコクと頷く事しかできず、そのまま何も言えず自分の部屋に戻ってきました。

義兄さんの話が本当なら私に弟か妹ができるって事・・・いや、まだ義兄さんの勘違いかもしれませんし、この話は両親から正式に言われてから考えましょう。今は三条さんです。純君には全部話をして何かあった時に助けてもらえるようにお願いしないといけないし、舞には三条さんの話をしないと。





月曜日

今日は駅で純君と待ち合わせをしていたので、一緒に登校します。純君には義兄さんと兄妹だとバラす事は話してありますし、どうやってバラしていくかも伝えて了解をもらっています。


「あれから俺の方でも友達に三条の事聞いて回ったら、1年の頃から好きな人がいるって告白を断っているらしい」


う~ん。義兄さんからは1年の頃に1回学年順位について話しただけでそれからは会釈しかした事がないって聞きましたが、この話だけではずっと義兄さんが好きだったのか、途中から好きな人が義兄さんに変わったか分からないです。


「まあいつから好きだったかよりも今、三条がどう思っているかの方が重要だな」


「そうだよね。はあ~、想像より色々動き出すの早いな~」


もう少しゆっくり対策を考えられると思いましたけど、全く思い通りにいきません。

そんな愚痴を純君にしながら教室の近くまで来ると結構な人が廊下にいます。嫌な予感がしますが近くまで歩いていくと、私に気付いたクラスメイト達が走ってこちらに向かってきました。


「茜!舞が!舞が!」、「舞に何があったの?」、「舞がやばい!」、「助けて茜!」


口々に私に言ってきます、原因は・・・まあ分かります。昨日義兄さんと三条さんの事を伝えた事です。


クラスメイトに囲まれながら教室の中を覗くと舞が一人ポツンと机に座っています。その姿はボクシング漫画の白くなった人を思い出させます。


「茜!良かった!舞の奴どうしたのよ!何であんなになってるのよ!」


明美ちゃんが心配そうに声を掛けてきます。明美ちゃんとは同じクラスになると舞を通じてすぐに仲良くなり名前で呼び合う仲になりました。


「う~ん。私からは言えないんだけど・・・明美ちゃんがちょっと行って慰めてきて」


さすがに今の状態の舞は私も昨日見たばかりなので、学校では正直どうなるか分からないので明美ちゃんに先陣を任せます。


「いや、無理だって!あんな舞見た事ないから!本当にどうしたらいいか分からないから!茜なら何とかできるでしょ?」


無茶ぶりされます。幼馴染でもできる事と出来ない事があるのですが・・・仕方ありません。


「・・・分かった。行ってくるからしばらく近づかないでね」


覚悟を決めて足を進めます。


「おはよう。舞」


「・・・おはよう。茜」


生気のない感じで答えてくるので、パシン!思いっきり舞の頬を両手で挟みました。少し大きな音がしましたが、まあいいです。チラリと廊下に目を向けるとみんなビックリした様子でこちらを見ています。


「・・・茜・・・・痛い・・・」


全く痛くない様子で私に文句を行ってくる舞。

舞の耳元に顔を近づけて今日の作戦について説明します。説明が終わるとすぐに舞から確認されます。


「茜!それは!本当にいいの?修一は?小笠原は?」


問い詰められますが、目に光が戻ったみたいで良かったです。


「純君と義兄さんから許可は貰ってるから大丈夫だよ。それよりも舞!私は何て言った!滝を思い出せって言ったのにどういう事なの?みんなに心配させすぎだよ!」


私が怒ると舞は周りを見渡して状況を理解したのでしょう。溜め息をついて謝ってきます。


「ごめん。茜。ちゃんとする」


苦笑いする舞に安心してクラスメイトに大丈夫だと合図をしました。その後はいつもより元気のない舞を気遣うクラスメイト達でしたが、何とか無事放課後を迎えました。


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