11話 デートの約束と学年1位
金曜日
眠い・・・
想像通り今日は俺の寝太郎生活は叶える事ができなかった。休み時間は次から次に質問してくる顔も名前も知らない奴ら。昼休み図書館で寝ててもそんなのお構いなしに俺を無理やり起こして質問してくる奴ら。そんな奴らのせいで今日俺は非常に眠たい。ただ悪いとは思ったけど、質問してくる奴らは全て楠木に押し付けてしまった。
放課後睡魔と闘いながら茜より先に帰宅した俺は制服のままベッドに倒れこみ、寝てしまった。
コンコン!
誰かが俺の部屋をノックする音で目が覚める。多分茜が夕飯出来たと教えにきたんだろうと思い寝ぼけながら扉を開ける。
ガチャ!
「ヤッホー」
扉を開けるとニコニコ手を振る楠木が立っていた。
バタン!
取り合えず見なかった事にして扉を閉める。
「ちょっと、何で閉めるのよ!開けなさいよ!あんたの彼女が遊びにきてあげたのよ!」
扉の向こうで怒りながらドアノブをガチャガチャして楠木は部屋に入ってこようとする。
「いやいや。何でいるんだよ!茜はどうした?」
「茜なら下で、晩御飯の下拵えしてるわよ!ほらさっさと開けなさいよ!」
「それじゃあ下で茜と話してろよ!何で俺の部屋に来るんだよ!」
「修一にも作戦の事で話があるからよ!」
「・・・・そうか」
そう言われると迷惑をかけているのはこっちなので素直に従うしかない。扉を開けて楠木を招き入れる。
俺の部屋に入ってくると楠木はさっきまで俺が寝ていたベッドにボスンと座る。
俺は机の椅子に腰かけて楠木に質問する。
「それで話って何だ?」
「茜がきてから話すわ・・・・うん?」
そういうと何かに気づいたのか俺の布団を触りだす。
「もしかして寝てたの?」
さっきまで俺が寝ていたまだ暖かい布団に気づいて聞いてくる。
「ああ、今日学校で全く寝かせて貰えなかったからな」
「ええっ!ごめん!みんなに修一に質問しに行くのはやめてって言ってたのに・・・」
「いや、舞が謝る事じゃないだろ」
「まあそれはそうだけど・・・それにしても・・にしし~」
少し悪い笑みを浮かべたあと楠木は俺の布団に潜り込む。少し見えそうだったぞ!何がとは言わないが・・・
「おい!」
さっきまで俺が寝てた所に、女子が寝ているのがなんとなく気恥ずかしかったので、注意する。
「さっきまで外にいたから寒いのよ。ちょっとだけ温まらせて」
布団から目だけを出して俺にお願いしてくる。
「はあ~。下行ってお茶とか持ってくるから、その間だけな!」
「えへへ~。ありがと。優しいな~私の彼氏は」
部屋を出ていく俺に楠木が調子の良い事を言ってくるのを聞いてリビングに降りていく。
「おかえり。今日はハンバーグか」
台所では茜がハンバーグの下拵えをしていたので声を掛ける。
「ただいま。義兄さん。もしかして舞が来ましたか?」
「来たぞ、俺の部屋で待ってる」
「もう、舞ったら私の部屋で待っててって言ったのに」
俺の部屋に来た楠木の事を少し咎める口調で文句を言う。
「まあいいさ、一応、今は振りとはいえ彼女だからな。優しくしないと」
「前から思ってましたけど、義兄さんって優しいですよね」
少し考える様子を見せた後、なんか恥ずかしい事を言われる。
「優しいんじゃなくて、あんまり気にしない性格なんだよ。毎日睡眠不足だから眠たくて気にならないってのもあると思うが」
恥ずかしいのですぐに否定する。実際自分でも優しい性格だとは思っていない。
「フフフ。そういう事にしときます。ところで、ハンバーグはどんな感じがいいですか?」
「俺はどんなのでもいいぞ、茜の好きなやつで。ただ、もしチーズがつくならインするより上にかぶせてくれる方が俺は好きだ」
「分かりました。義父さんはどれが好きでしょうか?」
「親父は味付けより量があった方が喜ぶぞ」
「そうですね」
そう言って二人で笑いあう。多分茜もハンバーグの量の多さに子供のように喜ぶ親父が思い浮かんだのだろう。
そうしてお茶の準備をして自分の部屋に戻ろうとすると、
「あっ!義兄さん待ってください。私も下拵え終わったので一緒に行きます」
茜から声が掛かる。リビングを見渡すと、茜と楠木のカバンともう一つ部活やってるやつが良く持ってるカバンが置いてある。まあ陸上部の楠木のカバンだろう。茜に準備したお茶を渡して、俺はカバンを3つ持って2階に上がる。
「あいつ今日部活大丈夫なのか?」
後ろをついてくる茜に階段の途中で尋ねる。確かうちの高校は水、日は練習を休みにする決まりだったはずなので金曜日の今日は部活があるはずだ。
「作戦の事で話があるから部活休むって言ってました。舞は陸上馬鹿って言われるぐらい部活一筋でめったに休まないので、今日はかなり大事な話かもしれません」
そう言われると、少し緊張するな。
茜も自分の発言に少し緊張した顔付きになっていた。
二人で緊張して俺の部屋に入ると、
「・・・クー・・・クー」
俺の布団で陸上馬鹿が熟睡していた。
「・・・こいつ・・」
俺は熟睡している楠木に呆れながらベッド脇にカバンを置くと、ベッドに腰かけて楠木の肩を揺すって声を掛ける。
「お~い!起きろ~!舞!」
「・・・う~ん」
声を掛けるとすぐに楠木は目を開けたが、まだ寝ぼけているのか焦点があっていない。
そんな楠木は両手を俺の方に向けてきた所で、茜から警告が飛んでくる。
「義兄さん!舞はすぐに抱き着く癖があるから、気を・・・・」
茜の警告は少し遅かった。俺の首に両手を回すとグイっと引き寄せられる。油断していた俺はされるがままに引き寄せられ、楠木に覆いかぶさるように倒れこむ。
「おい!やめろ!馬鹿!」
俺もいきなりの事に混乱していて文句しか言えずにワタワタしている。
「ん~」
楠木はまだ寝ぼけているのか嬉しそうな声を上げる。すぐ隣に顔があるので、耳元で声がしてすごく恥ずかしくなってくる。しばらくワタワタしてたが、俺も落ち着いてきたので慌てず行動する。
「あかね~俺は悪くないよな~。だからもしこいつが起きたら説明頼んでいいか?」
「わ、わ、分かりました」
茜から了承をとったので、俺は両腕に力を込めて腕立伏せの要領で上半身を持ち上げる。楠木は俺の首に腕を回しているので俺にくっついてくるが、寝ぼけているので腕が少しずつ緩んでいき、最後はボスンと頭からベッドに落ちる。
「うん?・・・・」
落ちた衝撃で目を覚ます楠木。
「やっと起きたか。寝坊助」
そうやって落ち着いた振りをして文句を言うが内心どきどきしている。
この状況はまずい、絶対勘違いされる。叩かれる事は覚悟しとこう。茜、後は頼んだ。
「修一?」
少しづつ楠木の目が大きく見開いていく。そしてこの状況を理解した瞬間、
「きゃあああああ!な、な、な、何?何?何してんのよ!あんた!」
大声で叫んで、ベッドの端の方に布団を引っ張りながら楠木は逃げていく。
幸い叩かれはしなかったが、最初の叫び声で耳がキーンとなってしまった。
叫び声のせいで耳が聞こえにくいがベッドから立ち上がり茜に説明をお願いする。
しばらく茜の説明を聞いてから落ち着いた楠木はベッドの端に座ったまま、布団をかぶり目から上しか出していない状態で謝ってきた。
「勘違いしてごめんなさい。」
目に涙を溜めながら謝ってきた楠木だが、まだ誤解だった事に納得していないのか、こちらを睨みつけている。
「なあ、舞。怒ってないから布団からでてこい」
「や!」
小さい子供みたいな言い方になる楠木に困ってしまい、茜に目線を送り助けてもらう事にしたが。
「・・・いつの間に名前で呼び合うようになったのですか?」
助けてもらおうとしたら、斜め上からの質問をされ、すごく焦る。
「っ!・・・・いや、付き合う振りを始めるって決めた時駅まで送って行っただろ。その時にな!ハハハ」
茜という義妹からの指摘はさすがに恥ずかしくなり笑って誤魔化す。恥ずかしいので、ついでに楠木に提案してみる。
「・・・そ・そうだよな。事情を知ってる茜の前で別に名前で呼び合う必要ないんだから、茜と3人だけの時は今まで通りの呼び方で行くか。な?」
「や!」
「・・・・・」
幼児退行から戻ってこない俺の彼女。
困った。どうすればいいんだ?茜は何か考えてる最中っぽいな。何か話題、話題、そうだよ!そもそも何で今日楠木が来たんだよ。話があるからだ!
そう思った俺は二人に少し低いトーンで声を掛ける。
「二人とも今日は何で舞が家に来たか分かってるか?」
そう言うと茜はハッとして緊張した表情になる。俺も自分から言っといて緊張してきた。
普段、部活一筋の楠木が休んでまでする話。
「・・・舞。いい加減今日来た理由を教えてくれ」
緊張しながらも楠木に問いかける。
楠木は布団から出てはこなかったが決心したようで、理由を教えてくれた
「・・・あの、で、・・・その・・・デートしないといけないと思ったの」
「「・・・・・」」
何言ってるだこいつ?茜もすごく驚いた顔してるから何言ってるのか分かってないな。
「・・・何だそんな事か・・緊張して損した」
本当に緊張していたので、楠木が来た理由が大した事なくて呆れてしまう。
「そんな事って何よ!初デートはすごく大事よ!」
俺がそう言うと楠木は布団から出てきてプンプン怒り出して文句を言ってくる。
「一般的によ!付き合いだして都合の合う最初の休みはデートするのが当たり前よ!どこにも行ってないなんて言ったら本当に付き合ってるかどうか疑われるわよ!だから作戦の為に絶対デートしないといけないの!わかった!」
本当かよ~とか思ってジト目で楠木を見ていると矛先が茜に向いた。
「茜!あんた小笠原と付き合って最初の休みデートに出かけたわよね!」
そう言って茜のカバンを指差す先には可愛いパンダのキーホルダーがついている。
「う、うん。そうだった。確か動物園に行ったよ」
「あんた、『うち貧乏だからデートなんてどうすればいいの?』って私に助けを求めたのも憶えてるわよね?」
「ま、まま、舞、そ、それは言わないって約束したじゃん」
ちょっと暴走してきた楠木に茜が注意するが、止まらない。
「だから昼はお弁当作っていくとかお金のかからないように二人で計画考えたじゃない!」
「ま、舞~」
暴走する楠木に茜はまた注意するが全く止まらない。
「ちなみにその時、小笠原からも相談されてました!」
「え?」
ビックリして固まる茜。
「小笠原には茜は肉食動物は苦手だから草食動物をメインで回る事と帰りに安くてもいいからお揃いのお土産を買いなさいってアドバイスしたわ。あとお昼は茜の手作り弁当になる事を教えたわ」
「・・・だからか・・」
初デートの全てを知ってポツリと呟く茜。
「その後、茜達言ってたわよね?「付き合いだしてすぐにデートしておいて良かった」って」
「・・・・うん」
問い詰められて、茜は顔を赤くして頷く。
「・・・だから・・」トントン
未だに暴走して何か言おうとする楠木の肩を叩いて止める。
「初デートの重要性は分かったが、俺もいるのに茜との約束まで破って暴走しすぎだ」
そういうと楠木は恨めし気な様子で俺を見上げてくる。
「分かった。そんな事なんて言って悪かった。今度ちゃんとするから。だから茜と小笠原に謝れ」
そういうと納得してくれたのか茜に頭を下げた。
「茜、約束破ってごめんなさい。あと小笠原から相談されていたことまで話してごめん。明日ちゃんと小笠原にも謝るから許してください」
「ううん。いいから気にしないで。むしろ今なら初デートの事で純君をちょっとからかえるから教えてくれてありがとう」
険悪な空気にならなくて良かったと思うと同時に初デートについて考える。
月曜から期末テストだけど二人とも大丈夫か?・・・・デートは期末が終わってからで提案してみるか・・
「ああっと、舞。月曜から期末って覚えてるか?勉強大丈夫か?」
そういうと二人が息をのんだ。
「すっかり忘れてた」
「舞、どうしよう、全然勉強していない」
二人でどうしよう、どうしようと話している。大丈夫か?
「舞。期末が終わるまでデートはなしでいいな?終わったらちゃんとするから?」
そういうとすごく不満そうだが頷く。それから少し腕を組んで考えていると何か思いついたのか顔を輝かせる。
「一緒にテスト勉強するわよ」
「え~~!」
迷わず声が出てしまった。
「何よ?不満?」
ものすごく機嫌悪そうに言ってくるので、誤魔化しも兼ねて楠木がどんなタイプか質問してみる。
「え~と、舞って他に人がいても勉強に集中できるタイプか?」
「そうね。友達と勉強会しても一人で黙々とする方ね」
「分からない所は、すぐに人に聞く?」
「取り合えず自分で調べてみて、それでも分からなければ人に聞くって感じかな?」
「何すればいいか分からないとか言わない?」
「言うわけないでしょ!テスト範囲決まっているからそこの問題やっていればいいだけじゃない!」
良かった。取り合えず一緒に勉強しても大丈夫そうなタイプだ。・・・うん?
楠木は大丈夫そうだと思ったが、視界に入った茜の目から光が消えているのが気になる。
「二人とも成績はどんな感じなんだ?」
なんとなく気になったので聞いてみるが、その表情から多分楠木はそこそこ良くて、茜は悪いんだろうなってのが分かる。
「私は大体毎回学年で100位前後って所かな?ちなみに小笠原も同じ感じでいつも勝負しているわ」
「・・・私は250位前後です・・・」
・・・・うちの学年300人ぐらいだったよな?って事は茜成績が凄く悪いのか?
「・・・・たまに赤点取って追試受けています」
俺が色々考えて黙っていると茜がとんでもない事を言ってくる。
おう!まじか!小笠原何やってるんだ?彼氏ならちゃんと教えてやれよ!
「茜は取り合えず小笠原に勉強教えてもらえばいいんじゃないか?」
何も答えないと茜が傷つくかもと思い、彼氏に頼るように言ってみる。
「教えてもらってこの成績なんです!純君は基本公式とかを丸暗記して問題解いていくので、何でこうなるのか説明してもらえないんです!だから赤点の時だけ舞や友達に頼んで教えてもらって追試に合格しているんです!」
茜が怒った感じで話している。茜が怒ったらこんな感じになるんだ~と俺は全く別の事を思ったが、すぐに話に集中する。
「・・・小笠原は丸暗記タイプか~。それなら人に教えるの無理だな。それなら小笠原じゃなくて他の友達や自分で勉強した方が効率いいと思うぞ」
なんか上から目線で偉そうにアドバイスしているなと考えていると楠木から同じ質問をされる。
「さっきから偉そうだけど、修一って成績いいの?」
「ああ、取り合えず学年1位だぞ」
まあ隠している訳でもないので、正直に言う。ちなみに入学からずっと学年トップ、更に入試でも1位だったらしく入学式の新入生代表の挨拶を頼まれたが面倒だったので、その日は法事があると嘘を言って家で勉強していた。
「はあ?噓でしょ?学年1位は三条さんだって有名よ」
楠木が聞いてくる横で茜もジト目で俺を見てくる。冗談だと思っているのか信じてくれないみたいだ。
「確か前の模試の結果がこの引き出しに・・・あったこれだ」
そう言って机の中から前回の模試の結果を出して二人に渡す。それを見ていた二人はどんどん顔が引き攣っていき、叫び出す。近所迷惑になりそうだ。
「「はあああ?」」
「あんた本当に学年1位じゃないのよ!それにこの志望校医学部全て判定Aランクってどういう事よ?」
「はわわわわ、義兄さん何て頭してるんですか?」
二人から驚きか非難か良くわからない事を言われる。
「いやいや、そんなに驚くことないだろ、志望校もただの地方の大学だから」
「驚くわよ!」
「驚きますよ!」
「おおう!すまん!」
二人から怒りの口調で責められて思わず謝ってしまう。
謝ったが二人からジト目で見られていると思ったら二人は顔を見合わせて頷くと俺の勉強机の引き出しを勝手に漁り、大騒ぎする。
「見て!茜!修一って1年の時でも学年1位よ」
「舞!こっちも学年1位が並んでいますよ」
部屋散らかすのやめてほしいな~。
と思ったが、二人とも怖い顔をして模試の結果を引っ張り出しているので何も言えない。
ふと、1年の頃に話しかけられた事を思い出した。
『橘君がこの間のテスト学年1位なの?』
休みの日に空き教室で勉強していた名前も知らない彼女に話しかけられたのは、成績の事だった。
『ああ、そうだぞ』
『・・・そう』
俺の返事を聞くと彼女は席に戻り勉強を始めた。それ以来彼女とは話していない。
「取り合えず、修一が頭いいのは分かったから勉強会するわよ」
しばらく俺の机から模試の結果を漁った後、満足したのか楠木はそう言ってきた。
本当は一人で勉強したいとか思ったが、楠木の表情から多分逃げ切れないだろうなと思い、了解する。
「俺は基本休みの日は朝から夕方まで学校で勉強しているから一緒に勉強したかったら学校に来たらいいぞ」
「ええ?本当に?何で学校で勉強してるのよ?」
俺が休みも学校に来て勉強しているのを驚いている。
「家だとベッドがあるから睡眠欲に負ける、図書館だと周囲のザワツキが気になるからな。3年は学校に何人か来て勉強しているけど、2年はさすがに来ていないから静かで集中できるんだよ」
「そう、だったら明日学校に行くわ」
「・・・あの、義兄さん。私も良いですか?」
楠木は学校に来る事になったが、茜はどうするか・・・
「・・・あ、茜はやめといた方がいいんじゃない?ほら、また噂になったら困るし・・」
楠木は茜が来ることに反対みたいだ。確かに理由を聞けば納得できるが。
「別に二人は自分たちのクラスで勉強してれば問題ないだろ?」
俺は何とか一人で勉強したいので、悪あがきをしてみる。
「・・・それでも!何かしら接触する可能性もあるでしょ?やっぱりやめとくべきよ!」
「・・・そうですね。二人に色々迷惑かけてるんですから我儘言っちゃダメですね」
楠木は茜を断って気まずいのだろう、茜は一緒に行けないので落ち込んでいるのだろう。二人して暗い顔をしている。
「・・・まあ、参考になるか分からんが茜にはあとで、俺の勉強のやり方を教えてやるよ」
そういうと暗い表情から笑顔になる。
「はい、ありがとうございます。義兄さん」
「舞は明日な」
「うん!分かった!」
私にも教えろみたいな感じで膨れっ面になっていたので、フォローすると、楠木もすぐに機嫌を直してくれた。




