26 南の海の主様
ガーデンルームに入ると、落ち着かない様子の人魚に寄り添う形でケルピーがいた。
そして、アタシを見た瞬間鳴き始めたんだけも何でよ!
「あの〜」
「すみせん、急に泣きだして……助けて頂きありがとうございます」
「人魚が陸に何の用があったのかしら?」
「私とこのケルピーは、貴方様に会うために陸に罷り越しました。ランウェルウ様の加護を受けし聖女様どうか私と主様のもとにおいで下さい」
「はぁ?」
この人魚は南の海の主に使えていて、説明によると海にも東西南北に主がいてそれぞれが海の管理等を行っているらしいのだが、この南の海の主に異変が起きたらしく海に異変が起きているという。
既に僅かな異変は起き始めていて、本来なら現れない町近くの沖合に普段は現れない高ランクの魔物の出現、異変を敏感に感じ取った魚達の大移動等が現在起きている現象だそうで、このままではこの南の海は魔の海になってしまい、異変を抑えている主も闇に飲まれてしまうとの事。
海産物が食べられなくなるのは死活問題なので、勿論行きますが…色々な方たちに連絡を入れないといけませんな。
夜だけど仕方が無いので即行動。身支度を整えてイオンを起こして、シースにはギルドに行ってもらってアタシはテウトを通してカルマパパとセルジオさんに連絡をする事に。
(カルマパパ、セルジオさん久しぶり!遅くにゴメンね)
(キラちゃん!久しぶりだね、全然大丈夫だよ!)
(お久しぶりですお嬢様。無事にセーウェルにお付になられましたか?)
(うん、ギルマスのジゼルさんも良い人で助かってるよ)
(それは良かった!)
(それで今回連絡した理由なんだけど…)
海の状況と今回の人魚の件を説明すると、カルマパパの方から驚くべき情報がもたらされまして。西の海が死海とかし魔物が溢れていてると西に有る隠れ里フィールフェンからセルドガンに救援要請及び避難民の受け入れをが正式に要請してきているらしい。
フィールフェンはロザンダとは違い人が住んでいるのではなく、エルフ、妖精、精霊が住む隠れ里の様な国でロザンダの今回の暴挙に対して強い反発をしていた国でもあるのだが、数日前西の海を管理していたウンディーネが姿を消し、海が荒れ始めたとのこと。恐らくは、ゲルドフが原因て起こった事件でフィールフェンの調査によると海の管理者ウンディーネは消息不明でどこを探しても見つからないという。
水の精霊最高位のウンディーネの消息不明は他の最高位の精霊も心配しております、総力を上げて探してはいるが成果は出ていないそうだ。
セルドガンは直ちにフィールフェンの要請を受けて兵を派遣し避難民を受け入れている状況なんだそうだ。
我が家からも、ロザンダに潜入していたオペラが急遽調査を中断してフィールフェンに入っているそうで、カルマパパの方には最新の情報が入ってはいるが中々上手く行っていない状況にアタシからの情報が入ったと言う訳です。
(恐らくは西の海の影響が南の海にも出ているのかもしれないんだけど…)
(取り敢えず南の海の主に会いには行くんだけど…会ったら西の海の情報を持っているか聞いてみるよ)
(分かったよ、本当は危ない事はあんまりして欲しく無いんだけど、気をつけてねキラちゃん!)
(わかってる、新しい情報が入ったらまた連絡するね)
連絡も取り終わって後はシースが帰ってくるのを待って海の主に会いに行けばいいんだけど、海の中どうやって移動するかな?マジックアイテムで水中でも全然大丈夫なんだけど、流石に人魚やケルピー並に水中を泳ぐ事は無理なんだよね。
「キラ移動心配しなくても大丈夫だぞオイラが2人を目的地まで運んでやるから」
「イオン、だけど…」
「キラ、オイラが本来デカイ事忘れてるだろ!本来の大きさに戻ればキラとシース乗せて海を渡るぐらい楽勝だぞ!」
「そっか!」
忘れてた!イオンは水の上位精霊で本来の大きさは凄く大きいんだった!普段はアタシと一緒に居るために小さくなっているだけだったわ。
移動の問題も解決してシースも帰ってきたので昼間の海岸に来てます。もとの姿に戻ったイオンは凄く綺麗なヤモリで、月の光に照らされているイオンは虹色に輝いてて、本当に凄く大きかった。
「戻るの久々だな」
「イオン、もとの姿カッコイイね!それに綺麗!!」
「本当に綺麗ねイオン、私もこんなに間近でイピリアを見たのは始めてよ」
イオンの本来の姿に感動しつつ、イオンに乗せてもらって海に入った。ガーデンルームから人魚とケルピーを出して、いざ南の主の元に向かいます
セーウェルの海岸からかなりのスピードで移動を続けてるんだけど一向にゴールが見えないと思ったら、ある場所に入った瞬間何か今までとは違う感覚に襲われた。
「何これ気持ち悪い…」
「そうだな何か急に何かが纏わりついて来る感じだ」
「主様の張った結界の中に入っんです、私がいた時よりも酷くなってます。もう少し行くと主様がいらっしゃる洞窟にたどり着きます」
人魚とケルピーに付いていくと、海の底に見てきた洞窟。その中に入ってしばらく進むと、大きな扉がありそこを超えた先は水の無い大きな空間で中央には大きな湖が有るだけ、回りの岩肌には光る鉱石のお陰なのか幻想的な空間で扉からこの空間はまるで別空間と言わんばかり。
マジックアイテムを切って空間に入ると今までの気持ち悪い感覚が嘘のように引いていくし、何やら光の玉みたいなのがアタシ達の周りに集り出した。
「ご足労ありがとう御座います。ここが我等が主の住まう空間でございます」
「えっと、この光は……」
「キラよく見ろよコイツ等小さいけど妖精だぜ」
「えっ!?」
光の玉の中をよく見るとぼんやりと見えたのは小さいけど羽を生やした小さい妖精たちが、嬉しそうにアタシの回りで飛び回ってる。
「この子達随分と力が少ないけど?」
「海に異変が起きたときから精霊や妖精の力が急激に落ちていったんです。さぁ、コチラに主様は湖の中です」
湖の中を除くと中には何も居ないでも何かが居る…そんな変な感覚がしてるんだけど。
「主様お連れしました」
人魚が声をかけると湖のそこから大きな何かが急激に上がってきた。アタシ達の目の前にいるのはガルフォード家執事セルジオさんと並ぶ強さを持った幻獣にして海の王……リヴァイアサンだった。
(人魚に主がどんな種族なのか聞いとくべきだった!!)
(デケェ!)
(このオーラ、セルジオ並に強いわよ)
『そう慌てるな、お前達に危害を加えるつもりは無い。よく来てくれた女神ランウェルウ様の加護を受けし聖女よ』
「スミマセン、西の海ウンディーネの事を聞いていたので…南の海も精霊が管理しているとばかり!」
『なる程、西の海は特別でなあそこ以外は幻獣が海を収めている』
リヴァイアサンによると東西南北の海の管理者は東の海ヒュドラ、西の海ウンディーネ、南の海リヴァイアサン、北の海カリュブディスとなっているそうで、確かに西以外の海は幻獣が管理していました。
『しかし、西の海の事を知っているのは有り難い』
「西の国フィールフェンから救援要請がアタシの保護者の所にに来ていてね」
『なにっ!?では、精霊王国シフィールも危険な状態じゃな…』
西の海の管理者がウンディーネなのもこの事が関係していて、西の大陸には精霊王が住まう精霊王国の入り口があり入り口の管理をしているのがフィールフェンに住むエルフや妖精達だと教えてもらった。
リヴァイアサンによると、西の海のウンディーネが消えてから海の様子が激変して魔物が徐々に増え始めたそう。事態を感知した他の守護者達は西の海からの影響を受けないように巨大な結界を張ったそうなのだが、その効果も徐々に失われているそうで。北のカリュブディス、東のヒュドラと協力しあい何とか西の海の情報を手に入れた所、西のウンディーネの住処に大きなダンジョンが出現しているらしくその中から黒い霧の様なものが溢れ出ているという。
その霧から魔物が溢れ出ていて、ダンジョンの奥底には巨大な何かが居ることは感知出来たがそれ以上は中に入らないと解らない。
「……ゲルドフの仕業だね確実に」
「黒い霧の時点でそうね。魔物が出現してるとなると…アルルみたいなのが中にいるのかしら?」
『誰が居るかは分からんが、ウンディーネでは無いのは確かだ…どちらかというと、我等に近いオーラを感じたが…』
原因をカリュブディスとヒュドラと共に排除出来れば良かったのだが、余りにも瘴気が強くウンディーネが守護していた精霊と妖精を保護して自分住処に戻るのが精一杯立ったそうで、今アタシ達の回りを飛び回っているのが保護した妖精達で、今回アタシ達に西の黒い霧の排除を手伝ってほしいとの事でした。
『もはや、我等では手に負えん。北のカリュブディスと我は自分の領域を護るので精一杯なのだ。勝手な願いなのは承知している、だが何とか引き受けては貰えないだろうか?』
「……ご褒美貰える?」
『我等海の守護者が望む物を出来るだけ用意しよう』
「皆で用意してくれるの!?」
『当然だ、今回は海の守護全員からの依頼なのだから』
「じゃあ、海産物を定期的にアタシに提供とか出来る?」
『そんなので良いのか?好きなだけやるぞ』
「本当に!!」
この依頼受けたら、海産物取り放題食べ放題が実現する!ガーデンルームの海と東西南北ノ海をうまく繋いだらそれぞれの海の守護者さんたちが定期的に流してくれるそうです。
この依頼受けましょう!!海産物食べ放題!
「シース!イオン!!」
「受けるんだな」
「受けるのね」
「食べ放題が待ってる!!東西南北の海産物がアタシを待ってる!!テウト!」
《了解です。ガーデンルームの受け入れ体制を整えますのでお待ち下さい》
「リヴァイアサン!!この依頼受ける!」
『ありがとう。我、海の管理者を代表して礼を言おう』
ゲルドフの計画潰すのも楽しみだし、ダンジョンの奥にいる奴にも興味があるから是非に会ってみたいんだよね。
鬼が出るか蛇が出るか…はてさてどちらかな?




