誘拐事件発生
何処の世界にも悪を生業とする者が少なからずいる。テスラ公国では、そんな輩を出ダストと呼び、その集団をダスト・ファミリーと呼ぶ。そして、アレが来るからか、そんな輩が小さな街ロートにも集まり始めていた。
テスラ公国の三大ダスト・ファミリーの一つである”悪の爪”の幹部ネイミーが宿屋の窓に腰を掛けて、メインストリートの様子を眺めていた。ネイミーはマッチョな男性魔道士であり、お姉系でありながらも、ボーイッシュな女の子が大好きなのである。
「あら…」
メインストリートに四人の女の子の集団を見つける。そして…その中に幼い顔立ちだが、ピッチとしたインナーのため、鍛え抜かれた肉体がくっきりと見て取れる…美味しそうな少女を見つけた。
舌なめずりしまくるボスに対して、如何にも真面目な参謀担当の男が言う。
「駄目ですよ。ネイミー様。ネイミー様の趣味ではなく、あくまでも金持ちの貴族を狙わなければなりません」
すると、頭の悪そうな男がネイミーの代わりに答える。
「あぁ…面倒だよ。誰でも良いんだよ。片っ端から捕まえて、奴隷商人に売っちまえばいいんだよ」
「お黙り。マジャ、ホジャ。あたいには、あの子が必要なんだよ!」
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「あ〜気になるぅ! 少しだけだから!!」と言いながら、次女のトーラは価格が下落した理由を調査すべく聞き込みに行ってしまった。
ハーヴァの薬仲間と比較的どちらかと言えば仲が良いのは、サーチャよりもグラビィだ。何故かサーチャにだけは強気なハーヴァは、サーチャにゴブリンのコアの売却を任せると、グラビィを引き連れ薬草店に入る。
「ハーヴァが…私に…」長女のサーチャは、末っ子四女のハーヴァからの期待に答えるべく、少しでも売値の良い店を探すと決意したのだが、偶然か必然か? マッチョなお姉系男性魔道士と二人の凸凹コンビが行く手を遮った。
「おいおい、可愛い子、お前をダスト・ファミリーの一つである”悪の爪”の幹部ネイミー様のおもちゃにしてやろう!!」
頭の悪そうな男…凹の方が言うと、如何にも真面目そうな凸の方が、頭をパコリと叩く。
「ぶっちゃけすぎだろ…」
長女のサーチャは上から目線で何かを言おうとしたが、代わりに新しいレイピアで頭の悪そうな男である凹の方の心臓を突き刺した。サーチャは護衛などの経験があるため、人を殺めることに対して躊躇はない。それが悪党ならば尚更だ。
しかし、着込んでいた鎧に阻まれる。経験上、今の踏み込みと剣速ならば…鉄製のプレートアーマー程度ならば、容易に貫通できたはずなのに…。
「おぉ…。素晴らしいですねぇ。その思い切りの良さ、気分が良いですよぉ。しかし…」
ドーーーーンッ!! と、ネイミーは地面に投げつけた爆弾は爆発する。小さな爆発は煙と砂を巻き上げ、視界を遮る。ネイミーの爆弾は、殺傷が目的ではない。その煙には即効性の催眠効果があり、半径100mほどの人々が…サーチャを含めて…立ったまま強制的に睡眠状態にさせられ…その後、バタバタと倒れてしまった。
「さぁ、ちゃっちゃと、奴隷にする少女たちを集めて、逃げましょう」
頭の悪そうな男…凹の方が言った。