表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/25

大魔導師の出陣

「お詫びにさ。この街の…近くの森でしか採取できない”月隠れ草”を採取して来てもらったらどかしら?」


マークス探偵事務所の送別会から帰ってきた。如何にもできる女っぽい服を着込んだ次女のトーラが、この惨状を打開するべくして、四女のハーヴァに提案する。


「ぐっすん…。うん、それでいいよ…」


とても優しい性格の四女は、これ以上、長女のサーチャを困らせてはいけないと、必死に泣き止もうとしてのだが、7歳の誕生日に貰った熊の絵が描かれたマグカップが可哀想だと、気持ちの整理がつかなかったのだ。


何も出来ずに、ただ行く末を見守っていたグラビィは、ちょこんと椅子から降りて、引っ越しのための荷物整理に戻ろうとしていた。


「グラビィ? 夕飯はまだなの?」


「えっ? トーラ、食べるの? 送別会だったんでしょ? もう片付けちゃったけど…」


家事などは全て当番制になっていて、本日の夕飯の当番は、グラビィであった。


「食べないと言ってなかったわよね? 勿論、今すぐ出せとは言わないわ。待っているから作ってくれるかしら?」


トーラは完全に酔っていた。そりゃ、アレだけ赤くなった顔と、部屋に入ってきてから、ずっと酒臭いので、誰が見てもわかるのだが…。”絡み酒のトーラ”と言われるだけある。うざい…。


そもそもグラビィ達四つ子は、まだ16歳になってもいない未成年。そう丁度、グラビィ達が街を出て行く、その日が誕生日で成人式だった。


そんな事が昨日あって、目の前にいるサーチャは、グラビィに”月隠れ草”を採取して来いと言っているのだ。


「えっと…。近くの森って、”常闇の森”?」


「そうね。魔物も出るでしょうけど、大魔導師グラビィなら大丈夫でしょ?」


そんなグラビィは、マカ家の三女。【引力】の魔法を使う。そう! 夢は大魔導師なのだ!! グラビィは、チョロイ。ちょっと褒めると浮かれポンチモードになり、なんでも安請け合いしてしまうのだ。


「ふっふふ〜ん。サーチャはわかってるねぇ! そんじゃ、ちょっくら行ってくるねぇ〜」


『作曲:グラビィ』のトンデモ音痴な鼻歌を歌いながら、グラビィは街の外にある”常闇の森”へ向かうのであった。


自宅に戻ったサーチャにハーヴァは、「サーチャが採取しないと意味ないじゃない?」と、ツッコまれ、グラビィの後を追い”常闇の森”へ向かう。しかし、サーチャは、おNEWのレイピアで魔物をグサグサと刺したい欲求もあったので、一石二鳥か!!と、何だか得した気分になっていたのだが、やはりハーヴァに怒られたことが、ボディ・ブローの様にジワジワと心を追い詰め、ウルウルと涙目に変わっていく。


さて、マカ家の三女であるグラビィが本作品の主人公である。グラビィの【引力】の魔法は、グラビィが認識する物を引っ張るだけの魔法である。しかしながら、このショボい魔法をグラビィは、努力と忍耐の末、かなり使える? 魔法に仕上げていたのである。


ちなみに、この世界の魔法の常識であるが、魔法が使える者は、魔道士の血を受け継ぐ者のみで、使える魔法は、一人一種類のみだ。しかも、どんな魔法が使えるのかは、12歳にならないとわからない。なので、攻撃に使える【火炎】の魔法や【回復】の魔法などが使えると、そりゃ…あっちこっちから、引く手あまたであり、人生スーパー・イージー・モードなのである。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ