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怪盗シーフは結局……。

「じゃあこうしない?私と一緒に片付けを手伝ってくれたら、宝を渡すっていう」

「却下」

「えっどうして?」

「あのなぁ、俺は怪盗なんだ。本人の承諾ありで受け取ったら、それは贈り物やプレゼントと同じだろ。怪盗の名折れが過ぎるから却下」

「どうして?欲しいから取りにきたんでしょう?それをどういう方法で手に入れても、嬉しいんじゃない?」

「……これは、そういう生き方をしてきた奴らにしか分からないんだよ…」


名前が決まっていない女は分かりやすく意気消沈。シーフもこのままでは埒が明かないと察した。速攻で却下したものの、選択肢はこれしかなさそうだ。


「…この家が、人を呼べるぐらいまともになったら俺は出て行く」

「どういうこと?」

「だから、その…片付けを手伝ってやるってことだよ」

「本当!?ありがとう~助かる~!!」

「ほらもう絶対そっちが本命じゃん!!聞くしかねぇなって思っただけだよ!その代わり、衣食住の保証はしてもらう」

「衣食住?」

「俺は決まった場所に帰るわけでも、安定した食事が取れるわけでもないからな。ここの片付けをするっていうなら、衣はともかく、食べ物と住居の確保をしたい」

「食べ物と住居……」


……待て。ここまでの流れで分かるぞ。不安になってきた。


「私あんまり外に出ないから…」

「そういや出入りもなかったしな。食事どうしてんの?」

「お湯があるから…」

「カップラーメンかぁ…」

「一年に一回、送られてくるのよ」

「誰から?」

「ゆ、有志の方から…」

「なにその怪しい経由…。え?てことは毎日毎食カップラーメンなの!?」

「そ、そういうことになるわね…」

「は!?一年に一回届くって言ったよな!?何個届くってこと!?」

「い、一日二食程度だから……」

「……700個以上!?」

「……よく生きてると思う」


シーフと女は、現実的に考えてお互いヤバイと思い、何かしら買ってくることにまとまった。


「住居、住居はここの家のまともな部屋を貸してもらえればそれで」

「ないかなぁ……」

「ないの!?」

「ゴミ溜めって訳じゃないんだけど……寝るスペースがないというか」

「……部屋があるならそこだけ俺が片付けておこう」

「そしたらその部屋で私が寝るわ」

「なんでだよ!? 俺が寝る所を確保したいのに!」

「そっちのが綺麗そうだし……」


シーフと女は、掃除機などの掃除グッズを改めて探すことにした。家の中に見つからなければ(もしくは探すことも叶わなければ)買うということで。


「じゃあ今日からよろしくね、怪盗シーフ!」

「…あ、あぁ、こちらこそ?」

「ふふ、怪盗にこんなこと言うなんて初めて」

「俺も初めてだよ。忍び込んだのがバレたどころか、そこの家がゴミ屋敷で、しかも家の中見られたくないから警察にも通報しないなんて。お前、やっぱり不思議」

「そうかしら?」


本の山を壁際に出来るだけ寄せて空間を作った。真夜中なのに二人とも眠くない。ギャアギャア言い合っていたせいで、目が覚めたのもある。


「あとさぁ」

「なあに?」

「やっぱりお前の名前知りたい」

「だから、決まってないのよ」

「決まってないってことあるか?生き物や物には生まれたときから名前があるだろ?」

「生まれたときは名前はないものよ。その後に誰かがつけてくれるから」

「てことは、お前は名前をつけてもらえなかったのか?」

「デリカシーのない人ね。まぁ、そういうことにしておくわ」

「でも名前はあるべきものだ」

「私は何も気にしないから、好きにして」


   「スキ」


「……好きにしてって『スキ』って名前にしてってことだと思ったの?違う違う。あなたの好きなように呼んでってこと」

「!! そ、そうか、何言わすんだよ!!」

「ほとんど自爆じゃない、ふふふ」

「嬉しそうにしやがって……、じゃあ、『ニーナ』」

「ニーナ? 素敵な名前ね。あなたと真ん中がおそろいね!シーフとニーナ…。パートナーみたい!」




「出来るだけ早めに解消できるよう頑張ろう」




そして怪盗シーフは、ゴミ屋敷にご厄介になることとなった。



おしまい、かもしれない。

キリのいい所まで書けました。

とりあえずここまでということで。

読んでいただき、ありがとうございました。

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