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日本人は異世界でも優秀説~日本丸ごと異世界転生~  作者: 猫野 犬男(ネコノイヌヲ)
2/2

【Prologue2】


 2020年某月某日 日本


 田中次郎(たなかじろう)は眠かった。

 しかし、夏休みの宿題を終わらせていないのは

 他ならぬ自分のせいである。


 高校3年生にもなって情けないものだが

 このだらしない性格は成長の兆しもない。


 兄の誠一(せいいち)とよく比較されるが

 あんなスーパーマンと逐一比べられる

 こちらの身にもなってほしい。

 学生時代は常に委員長か生徒会長。

 運動神経抜群で、テストは毎回学年1位。

 公平な性格で自律心が強く、誰にでも優しい。

 こんな化け物、世の中にそういるもんじゃない。

 なんでそれが兄なんだ。ちくしょうめ。


 「ジロー! あんたまだ終わんないのぉ!?」


 「もうちょいだよもうちょい!あ、腹減った!」


 「だらしのない息子に食わせる飯はないよ!」


 なんてこったい。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


  高柳真吾(タカヤナギシンゴ)は興奮していた。


 「2020年の春は当たり年だぁ……。エンジェルフォースと枝豆戦士の2期。巫女スタジオのオリアニ新作も楽しみだし、なによりプリチュアの新シリーズもあるんだなぁ」


 鼻息荒く、モニターの春アニメ一覧を眺める。

 PCと向き合いながら独り言を呟く習慣は

 いつからついたものだか、もう思い出せない。


 「モモカたん! 一緒に見ようねぇ!」


 そう言って、真吾は彼女を抱き寄せる。

 プラスチック製の彼女、モモカは

 何も言わず一点を見つめていた。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 聖堂正樹(せいどうまさき)は怒っていた。


 「あぁ!? 今月分のみかじめ料払えねぇってのは、どういう量分だ?? なめてんのかコノやろぉ!!」


 「ひぃぃ、勘弁して下さいよ聖堂さん。ウチもカツカツでやってるんです。それに最近はお上の規制がきつくて、売上も右肩下がり。今まで通りのお支払いは厳しいんです!」


 「それが舐めてるって事だろぉが! 売上が減ろうがなんだろうが、ウチに納めるもんが最優先じゃなきゃ筋が通らねぇんだよ!」


 「聖堂。そんくらいにしとけ」


 威勢よく捲し立てる正樹を

 同行していた若頭が諌める。


 「頭!でもこれじゃウチの面子が立ちません!」


 次の瞬間、正樹は若頭に殴られ吹っ飛んだ。

 頬が熱い。ジンジンして目眩がする。


 「誰にもの言ってんだてめぇ」


 「すいやせん……」


 正樹は正座すると、頭を下げた。


 「店長すみませんね、若いもんはどうしたって血の気が多いもんですから」


 若頭が笑顔でそう言うと、店長の顔も緩む。

 ここからはお決まりの流れだ。

 若衆が脅し、頭が情で流す。


 任侠者は役者であれ、とはよくいったものだ。

 目の前で仏のように微笑む若頭に

 正樹は背筋が寒くなる思いがした。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

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