表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水平思考ゲームへようこそ  作者: イツキ
怪盗Tからの挑戦状
7/7

第1章「怪盗Tからの挑戦状」 最終話

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


-問題-


「怪盗Tからの挑戦状」



警察に一通の犯行予告が届いた。


差出人はもちろん今世間で話題沸騰の怪盗Tだ!


翌朝、各メディアがこのニュースを大々的に報じている。


それを見て、カメオはホッとした。


いったいなぜ?


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


-質問-


1:お前なんて関係ないだろ? NO

2:お前怪盗Tの知り合いか? NO

3:お前は怪盗Tの正体を知らない? NO

4:お前が怪盗T? YES

5:お前は目立ちたがり屋だな? NO

6:本当に盗む気か? YES

7:大々的な報道されることがカメオにメリットになった? YES

8:1行目って重要ですか? YES

9:各メディアはテレビの事か? NO


質問回数 残り1回!────



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━





「カメオ・・・。10個目の質問・・・回答・・・!」


『辿り着けたかな?真実に。』


「あぁ!いくぞ!」



割れた窓から差し込む夕日を背に、ラテ夫は推理を披露し始めた。



「まず1つ目から4つ目の質問、そこから怪盗Tの正体がカメオと分かった。しかしそこで矛盾が生じてしまった。世間や警察が騒いでるのに、当の本人がホッとしているという事態になってしまったからだ。」



今までの経緯に沿って、ラテ夫は推理を続ける。



「5つ目の質問から、カメオが()()()()()()()ではないという事が分かった。6つ目の質問からは、カメオはきっちと犯行に及ぶこと、そして7つ目の質問を含め、一連の行動には怪盗としてのメリットがしっかりとあることが分かった。」



ラル子は固唾をのんで見守っている。



「8つ目の質問、この問題の中で1行目が重要という事、9つ目の質問、3行目の各メディアというワードはテレビ以外のものであるという事。」



カメオは夕日に照らされながら、にこやかにしている。



「・・・ここからは推測だ。まず2行目、”もちろん”、”話題沸騰”というワードから、カメオが初犯でない事が分かる。」


「それは重要なの?」


「あぁ。また、8つ目の質問から、各メディアというワードの正体は、文字を媒体にしたものであると考えてられる。」


『そこまでは聞いたよ。』


「・・・ここからだ。」



ラテ夫にも確証はなかった。

だが、一呼吸して決意を固めた。



「ずっと分からなかった。カメオがなぜ警察を煽るようなリスキーなことをしているのか。そしてもう一つ。“ホッとしている”というワード。これは、()()()()()()()()()()()()()()時に出てくるはずなんだ。犯行はまだこれからなのにも関わらず、既にカメオは何かを得ている・・・マスコミの報道だけで!」



ラル子は、その緊張感から息をするのも忘れている。



「初犯でないという事から、過去の犯行が関連しているのかとも考えた。しかしそれはミスリード!重要なのは初犯でない事ではなく、連続しているという事・・・!」


「連続・・・している・・・!?」


「今の俺たちと一緒だ。カメオは、未来へ向かっている!」



カメオの表情は少しずつ険しくなっていった。











「未来に・・・。」


「所詮架空の怪盗さ。アニメのキャラクターと一緒。酔狂で、警察に捕まるなんて微塵にも考えていない。だから考えているのは、今回の犯行ではない・・・。その次の犯行だ!!」


「その次!?レインボーダイヤじゃなくて!?」


「あぁ。何を狙うかはどうでもいい。なんなら本人は考えてすらいないかもしれない。」


「カメオさんが計画もしていない未来の犯行・・・。おかしいよ、だってラテ夫は言ったじゃん!カメオさんは既に何かを得ているって。計画すら立てられていない未来の犯行の何を得てるっていうの?」


「それは、今までの質問の全てがヒントになっているんだ。」



ラテ夫はそう言って、ラル子にニコッと優しく笑って見せた。



「9つ目の質問で得られた、各メディアというワードの正体。・・・それは、新聞なんだ。」


「新聞・・・?なんで分かんの?雑誌とか、ネットニュースとかもあるんじゃないの?」


「雑誌はなくはないかも。でもネットは違う。理由は8つ目の質問から分かるんだ。」


「重要な1行目・・・。」


「そう。誰もがさらっと読み飛ばしてしまった1行目。でも何よりも重要な1行目。厳密には、その中に隠されているたった1つのワードだった。」


「ラテ夫!もう時間がない!」



既に頭少ししか見えない太陽に気づき、ラル子は叫ぶ。

ラテ夫は真剣な眼差しに変わる。



「最も重要なワード!それは、“犯行予告”!!!」


『・・・。』


「さっきラル子が言ってくれた。俺たちはカメオの何も知らないって・・・。その通りだ。俺たちが知ってるのは、この怪盗Tは犯行予告を出しお宝を盗んでいるという事。ただそれだけ。でも、それで十分!」


「ラテ夫!」


「ラル子!いくぞ!俺の、俺たちの、最後の質問(かいとう)!!」



カメオに向けられた、たった1つの宝石がキラリと輝いた!



「カメオ、お前は犯行予告を“新聞の切り抜き”で作ってる!だから自分の事が新聞で大々的に報道されることによって、次の犯行予告の素材が集めやすくなった!だから安心したんだ!そうだろ!?」



ペンダントの12時の方向にある最後の宝石が眩い光をあげた!

プレートは高速回転する!

カメオもラテ夫も眩い光の中、瞬きせず見つめ合っていた。



「YES来い!」


「YES来い!!」



同調するようにラル子も叫んだ!


プレートは静かに回転を止め始める!


そして・・・



「どっちだ!?」



プレートは・・・ゆっくりと・・・


YESで止まり最後の光をあげた!!



「イ・・・エス・・・」


「YES!?」


「や・・・やっ・・・」


「やったあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」










抱き合う2人を見て、カメオは一息ついた。



『フゥ。』


「やったよおおおおおおおおお。」



泣いて喜ぶラル子。

言葉が出てこないラテ夫。

そんな2人をしばらく見つめ、頃合いを見てカメオは拍手をし始めた。


パチパチパチ・・・。



「?」


『おめでとう!いやぁ、一時はどうなるかと思ったよ。』


「・・・これでクリアって事でいいのか?」


「あ、待って。空は?」



ラル子が窓を見ると、既に太陽は沈んでいた。



「間に合わなかったのか?」


『いいや、間に合ったよ。ギリギリ。』


「じゃぁ、」


『まぁまぁ。推理ものってのはさ、最後は犯人の一人語りで終わるのが定番じゃない?そろそろ喋らせてよ。ずっと黙ってて疲れちゃった♡』



外では街人達が揃って割れた窓に向かって拍手をしていた。

しかし部屋で抱き合う2人が気づく事はなかった。


















2人は床に座っている。

ラテ夫は少し放心状態だ。

カメオはペラペラと語り始めた。



『そう。その通り。ボク、怪盗Tは、新聞の文字を切り抜いて犯行予告を作っている。もー大変だったんだよ?今までずーっと。だってさー、文字がないんだよ!!毎晩毎晩古新聞を漁っては見出しにあるような大きな文字を探してたんだけど、“盗”とかよく使う文字は、すぐになくなっちゃうんだもん。足りなくてさ~・・・。』



急なカメオの愚痴に、2人はキョトンとしている。



『でも、何度か盗んでたら突然世間から人気が出ちゃった。メディアでも何度も取り上げられるし、公式サイトまでできた。もちろん作ったのは僕じゃないよ?誰かが勝手にさ。今小学生のなりたい職業第1位が怪盗だしね。


そんな頃、ボクが新たな犯行予告を送った翌朝、すぐそこの電気屋の前を通ったら、朝刊の一面で書かれてたんだ。“怪盗T!次の標的は○○だ!”ってね。最初はビックリしたんだケド、よく考えたらおいしいなよ?だってそのまま切り取ればいいんだもん。文字。』


「怪盗さんにも、知れない苦労があるんですね。」


『そうなんだよ~。でもそれからは楽になったよ。毎朝確認するんだ~。ちゃんと一面で取り上げてくれてるかな~って。今日もね、ちゃんとあったからホッとしたんだ。』


「じゃぁ、なんでそんな苦労までして犯行予告を送ってるんだ?」


『え?う~ん・・・かっこいいじゃん♡』


「・・・それだけ?」


『そ~だよ。』


「そんな酔狂な理由で送ってんじゃねー!俺たちがそのせいでどんだけ苦労したと思ってんだあああ!」


「ラテ夫やめてー!」


『元気じゃん♡』



襲い掛かるラテ夫を必死で止めるラル子。

カメオは冷や汗をかきながらも華麗に避けている。

割れた窓からは奇麗な満月が覗いていた。
















満天の星空の中、2人はスタート地点で立っていた。



「これからどーする?」


「どうするって、んな事言われても・・・。婆さんの迎えでも待つか?」


「そーじゃなくて、探偵業。」


「あぁ。続けるさ!もちろん。お金の問題は何とかする。」


「アテはあるの??」


「ギクッ。いや、ある。なんとか出来る。」


「ホントー?ペンダント使っていい?」



ラル子は、ラテ夫の首にかかったペンダントをおもむろに顔に向けた。



「いや、待て!なんとかする。気がする。多分。おそらく・・・あの、」


「アハハハハ!信じてるよ。こんなの使わなくても。」


『まだいたの~?風邪ひかないようにね~♡』



割れた窓からカメオが手を振っている。



「もー帰りまーす。カメオさん、お元気でー!」


『うん!またね~♡』


「もう会わねーよ!!」



2人は行ってしまった。

カメオはそれを見届けると、小声でつぶやいた。



『またすぐに会えるよ。』


















「未来に向かってるんだよね?あたし達。」


「あぁ。」


















・・・


いつもの探偵事務所。いつもの席。

枕にしていた腕が涎で濡れている。



「・・・夢・・・?なんだよ・・・・変な夢・・・。」



ラテ夫はあくびを1つした後、また眠ってしまった。


その右手から、虹色に輝く宝石がこぼれ落ちた。







  第1章 -完-







━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


-問題-


「怪盗Tからの挑戦状」



警察に一通の犯行予告が届いた。


差出人はもちろん今世間で話題沸騰の怪盗Tだ!


翌朝、各メディアがこのニュースを大々的に報じている。


それを見て、カメオはホッとした。


いったいなぜ?


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


-回答-


怪盗タートル「もう盗の文字がないよぉ・・・」


カメオは犯行予告を新聞の文字を切り抜いて作っている。

しかし頻繁に使う文字はすぐになくなってしまうため、その度に古新聞をコッソリあさっては文字を探す毎日だった。

そんな中自分が有名になり、新聞の一面で報じられることで、怪や盗という大きめの文字探しが楽になった。

竜宮新聞の一面「怪盗タートル!次の標的は○○だ!」

カメオは通勤途中で新聞を買い、夜にコッソリ一面の見出しの文字を切り抜くのであった。




-質問-


1:お前なんて関係ないだろ? NO

2:お前怪盗Tの知り合いか? NO

3:お前は怪盗Tの正体を知らない? NO

4:お前が怪盗T? YES

5:お前は目立ちたがり屋だな? NO

6:本当に盗む気か? YES

7:(ラル子)大々的な報道されることがカメオにメリットになった? YES

8:1行目って重要ですか? YES

9:各メディアはテレビの事か? NO

10:回答



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ