討伐
二人は王都から少し北にある草原にいた。
「ディークこれをお前にやろう」
ラルグは次元紋章術/ディメンジョナルメダリオンといい、両手を合わせて広げるとラルグの手のひらから青い紋章が現れそれとともに黒い刀身の刀と10本の小刀が現れた。
「そいつが紋章術師の武器じゃ。紋章術を使うには対象に接近する必要がある。そこでこいつじゃ。とりあえずこの刀に魔力を直接通してみろ」
そうラルグは言うが自分にはこの武器に魔力を通わせることができるのか疑問だったが言われた通りにしてみる。
はあっ!
魔力を放った途端、刀身に赤い幾何学模様が現れ流れるように黒い刀身に光を灯す。
「なるほど。そういうことですか」
「そうじゃ。これで刀で一太刀でも入れることができれば紋章術のための押紋ができる。これでリーチを稼ぐんじゃ。小刀は基本はまあ飛び道具じゃな」
「わかりました。ありがたく使わせていただきます」
ディメンジョナルメダリオンで格納し僕は再びターゲットの捜索に入った。
「あれじゃな」
「ですね」
目の前には3頭のビーストだ。
「まずはお前が行って来い。儂は見物でもしていよう」
「わかりました」
3頭のビーストと対峙する。
さてどうするか。まずは奴らにマークすることが先決だ。刀で間合いを詰めて一太刀入れる。
そう決めて前に飛び出す。
真ん中のビーストに狙いを定め、
赤い血が地面に落ちる。
だがそれはビーストのものではない。
「くそ」
懐を別のビーストに噛まれたのだ。
危ない。相手がコイツラでよかったが相手が悪ければ肉を引きちぎられていたな。
「敵にマークすることで頭が一杯になっとるぞ。視野が狭くなってはコイツラにも勝てんぞ」
後ろから先生の声が聞こえてくる。
そうだ。視野を広く持つんだ。
冷静になり相手を分析する。コイツラは必ず3頭同時に攻撃を仕掛けてくる。初撃をかわせば......
僕は小刀を一本ディメンジョナルメダリオンで出し、ビーストに向かって投擲する。きっかけを与えられたビーストたちは一斉に攻撃をするべく間合いを詰めてくる。
ここだ!
ビーストの直線的な攻撃をバックステップで躱し刀で一太刀。
残り2頭には小刀の投擲。
ビーストから血が滴る。
「準備は整った。」
「下級紋章術。ドミネイトフレア」
3頭のビーストの体が発火する。体が完全に炎に包まれているがひるんだ様子がない。
「効いていない、のか?」
少し様子を観察していたがその一瞬のすきを突き3頭が猛スピードで突進してくる。
まずい
反応が遅れた
くそっ!
どうすればいい
この状況を打開するには.....
考えても焦っている脳ではその答えを導き出すことはできなかった。
グシャ。
再び血が滴り落ちる。
「くそがぁ!しつこいんだよっ!」
自分に噛み付いているビーストにゼロ距離で刀と突き刺し
「さっさと倒れろぉぉぉ」
叫んで力を開放する。
刀はそれに答えるかのごとく輝きを増し魔力が溢れ出してビーストを内部から攻撃した。
「はぁ、はぁ」
息が切れる。
他のビーストは一頭が謎の死に方をしたのを目にし逃亡したようだった。
「一応は、はぁ、目標達成ということか」
息を整えようとするがまだ乱れている。
致命傷ではないにせよ出血もそこそこだ。
「なんとか倒せたようじゃな。なかなかつらい戦いだったな。じゃが最後のあれはだめじゃな。コントロールを失いそのまま魔力を放出した。今回は結果オーライじゃが燃費が悪い。使用する魔力の量と効果が割に合わん。脳筋プレーは今後に響くぞ」
「すみません。反省します」
「まあ、アイツラを倒す手段がなかったからのう。儂が教えたたくさんのメダリオンを早く自分のものにせい。お前に必要なのは制御する集中力、メダリオンのイメージじゃ」
「わかりました」
傷をおって辛くも勝利を収めた自分は王都への帰路についた。