仕事
王都は現在復興中だった。
ところどころ壊れた建物などがあるがもともと人口が多いこともあって復興は急速に進んでいる。一番最初にレジスタンスとの戦場になったがここに住処を構えているお偉いさんが多いからだろう。
「さてまずはバウンティハンターでもやって金を稼ぐとするか」
「それは儲かる仕事なんですか?」
「ああ。今は戦争中で見た目より治安も悪い。人間はもちろん獣殺しの仕事も多いからな。それに儂らのような身分が低いものはまともな仕事はできん。命をかけて金を稼ぐんじゃ。それにこの仕事ならお前の修行もできるしのう」
「すみません」
ディークは申し訳なさそうに、自らの非力さを悔やんでそういった。
「いやお前には才能がある。まず最初に習得する医療系統のメダリオンを短期間でマスターしたのは驚異的と言っていい。昔はその前段階である魔力の直接制御で命を落とすものが9割だったからな。他の戦闘用メダリオンはこれからじゃ」
二人はそんな会話をしながら王都の店が立ち並ぶ大きい通りを抜け更にその奥に位置する武装した集団が集まっているところに向かった。
「これがミッションボード。つまりは掲示板じゃ。この張り紙が依頼。これを達成して換金所に行くと報酬が得られる」
「なるほど。みんなすごくよくボードを見てますね」
「まあそうじゃな。難易度を間違えると自分の足で地獄まで進むことになるからな。中には受ける前に事前に調査を行うものもいるそうだ」
「なるほど。で、どれにします?」
「対人は血なまぐさいし厳しいじゃろうから、このプラントビーストにしよう。攻撃力は低いが繁殖能力と自己再生能力が非常に高い全身にツタのような植物をまとっている獣じゃ」
「じゃあそれにしましょう」
そう言って依頼書をボードから取り、去ろうとしたのだが
「おう!見ない顔だな。新入りだな。まあプラントビーストってチョイスは悪くねえ。よっぽどのことがねえ限り死ぬことはねえしな」
「あなたは?」
「おっとすまねえ。俺はこの街のバウンティハンターの情報を集めて商売してるもんだ。ハンターの個々の技量やチームの強さなどを分析して本にしているんだ。人間ってのは他人のことが気になってしょうがない生き物だからな。まあそれなりに儲けさせってもらってんだよ。名前はアーガス、よろしくな」
ガタイのいい少し大柄な男はフランクな感じでそう答えた。
「ああ、よろしく」
ディークはなんのことはない機械的な挨拶のようにそう返す。
「でも最初にしては辛いんじゃねーか?プラントビーストはしぶといんだよ。初心者で大体のやつは殺しきれずにガス欠になって逃げ帰るんだ。瞬間火力が大きくねえと仕留められねえぞ。経験をつむってんならうってつけだけどな」
「ああ。忠告感謝する」
「なんでい。冷たいな。まあいい。それと忠告じゃない、アドバイスだ」
「ああ」
ディークとアーガスの会話はディークの短い一言で終わった。