02 雉も鳴かずば撃たれまい1
前回の投稿から随分と空いてしまって申しわけ御座いません。
この時期になるとやっぱり忙しくなりますね(汗
三途の川から門をくぐり出てきた場所は、とある山の奥にある小さな社だった。
「無事に現世へ降りられて良かったです。」
「雫は大丈夫ですか?」
「大丈夫・・・です。」
社の前にある山門から出てきた一言主神は雫が無事に降りられて来たか少し不安だったが、雫が無事で安心した。
「あ・・・あの」
雫は一言主神の手を離さないように握り話しかけようとするがなかなか言葉が出なかった。
そんな雫を見て一言主神は雫の正面にしゃがみ目線を合わせて優しく話しかける。
「どうしましたか?大丈夫ですよ。なんでも言ってください。」
「わかり・・・ました。私は生きているのでしょうか?」
怯えながら聞いてくる雫に頭を撫でながら、暖かく包み込むように説明をしていく。
「はい、雫は生きていますよ。先程私達がこちらに降りたった時、雫の身体を癒し、魂を再び定着致しました。」
「ですので雫。貴女は生きていますよ。」
「ありがとうございます・・・」
そう言って雫は涙を流し始めた。
「私・・・はもう死ぬと思っておりましたので、こうして生きている事が嬉しいです。」
安心したのか泣き始めてしまう雫を宥めながら今後の事を考えていた。
(これからどうしましょう?まずは山の麓にある村に参って、人々からお話を聞きましょうか。)
雫が落ち着いたのを確認して、山の麓にある村へ行くことを伝えた。
「麓の村・・・ですか?」
「そうですよ。ここ葛城山の麓にある田坂村に参ります。」
田坂村と聞いた雫は急に怯え始めた。
「た、田坂村は私が住んでいる村です。」
「帰りが遅いと何と言われるか。」
「大丈夫ですよ雫。私が傍におりますから。」
安心させるように雫を優しく抱きしめ頭を撫でる。
「あ・・・ありがとう・・・ございます。」
「今の私にはこのような事しか出来ませんが、これで貴女が落ち着くのであればいつでも致しますよ。」
雫がしがみついて泣いている中、一言主神は雫が何故自分の前に現れたのか理解した。
(私が住んでいた山で雫は水難事故にあったのですね。ですから三途の川で私の前に倒れていたのですか。)
しがみついていた雫が涙を拭い離れたところで、田坂村へ歩みを進めた。
今回は少し短いですが次は長くなると思います。
なるべく早めに投稿していきたいと思いますのでよろしくお願いします。
ブックマークしてくれた方々ありがとうございます。