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お兄ちゃんへ
異世界へ就職、おめでとうございます。
お兄ちゃんの世界では、すでに何日も過ぎているようですが、
こちらでは、まだ一日もたっていません。
お母さんが、部屋に夕食をもっていったら、
もぅ、すでにお兄ちゃんはいなかったそうですね。
お母さんはお父さんが昨日お兄ちゃんに、
怒鳴ったからいなくなったと責めています。
なんの罪もない両親を喧嘩させるとは
本当にお兄ちゃんはダメな息子ですね。
でも、ご無事なようでなによりです。
お父さんとお母さんには、
「海外にボランティアしに行く」と、
連絡があった旨伝えました。
さすがに異世界で英雄になっているとは言えません。
こちらの世界ではお兄ちゃんはひきこもりで、
毎日ゲームをするか、漫画を読むかしなく、
そのくせ、毎日三食食べて、風呂にも入らず
お父さんのクレジットカードで課金をしまくる、
生きたゴミ、略して生ゴミでしたが、
そちらではご活躍されているようで、何よりです。
そちらの世界のことがあまりかかれていないので
想像するしかないのですが、お兄ちゃんが
活躍できるということは恐らく文明もない、
こちらでいう原人が闊歩する世界なのでしょうね。
ものを数えられるだけで賢人なのではないでしょうか。
お兄ちゃんの高校中退という、
学歴が役に立っているようでよかったです。
こうして、改めて手紙を書くのは難しいですね。
そもそも、お兄ちゃんと言葉を交わすのも
久しぶりです。
手紙ありがとう。
体に気をつけて、頑張って下さい。
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