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太陽の涙  作者:
2/3

始まりのピストル

 普段は気にしないであろう通常の日常。ここにもそんな日常を送っている少年がいた。


「いってきまーす」


 少年の名は金沢 狗一かなざわくいち。どこにでもいるような高校2年生だ。彼には一人の妹がいる。


「行ってらっしゃい」


 彼女の名前は金沢 茜かなざわあかね。狗一とは1つ年下で同じ高校に通っている。


「って、お前も一緒の学校だろうが!」


「あはは、そうだった」


 茜は笑って家の鍵をかけて狗一を追いかけた。その仕草はとても急いでいたり焦っているとは思えなかった。走っている姿も歩いているか早歩きとしか見えなかった。


「お前…急ぐ気0だろ」


「え〜?急いでますよ?」


 狗一はハァとため息をついて諦めたように茜が来るのを待っていた。

 やっと狗一に追いついた茜は下から顔を覗き込んで行こうと言った。狗一は、はいはいっと応答して歩き出した。茜もそれに続いた。

 二人の通う学校は東陽とうよう高等学校という高校である。略して東高ひがしこうと言われている。


「なぁ、明日何の日か覚えてるか?」


「ふぇ?ん〜…分かんない」


「そっか。じゃぁいいや」


 狗一は少し歩くスピードをあげた。茜は少し止まって首を傾げた。そして小走りで狗一を追いかけた。

 学校につくと一学年と二学年の教室の建物が違うのですぐに分かれた。狗一が教室に着くとほとんどの生徒が話に花を咲かせていた。狗一は席に荷物を置いてそのまま座った。

 狗一が席に座ると一人の少年が目の前に来た。


「おー犬神、今日は一段と遅かったな」


 彼の名は子安 真之こやすまさゆき。狗一とは高校からの付き合いである。真之曰く、狗一とはこの学校で一番の親友だそうだ。


「その呼び方ヤメロって…」


「んじゃ狗一、今日はお前の嫁のせいでこんな時間なのかぁ?」


「嫁じゃなくて…妹…って重要なのそこじゃねぇ!」


「アタシのこと呼んだ?」


「呼んでねぇ!」


 この不意に現れた自称”狗一の嫁”である少女、名は久賀 紫音くがしおん。紫苑も狗一とは高校からの付き合いである。


「呼んでないとは何よ!呼びなさいよ!」


「無茶苦茶だな…」


「まぁ、いつものことでしょ?」


「いつもって何よ!」


「そうそう。しぃちゃんの婿は私なんだから。」


 そう言いながら小学生のような女の子が近寄ってきた。来るなり狗一を睨めつけて紫音に抱きついた。


「そんなわけないでしょ!」


 自称”紫音の嫁”であるこの少女の名は福嶋 彩女ふくしまあやめ。彩女と紫苑は幼稚園からの仲だ。


「えー幼稚園からの仲じゃん。認めてくれても…」


「イ・ヤ・で・す!」


「しぃちゃんのいけずぅ…」


 そんなやり取りをしている中、授業開始のチャイムが鳴った。チャイムと同時に声が止み、みんな席についた。暫く沈黙の空間が支配した。

 暫くしてガラガラと教室のドアが開いた。はずだが、誰も入ってこようとはしなかった。


「…先生、早くHR始めてください。」


「!!!狗一君…少しくらい遊ばせてくれても…」


 狗一の後ろで、ある頭飾りを持って狗一に付けようとしているこの人は城嶋 聡介きじまそうすけ。このクラスの担任である。

 聡介は変わった先生で気に入った生徒にコスプレをさせようとするいわゆる”変人”だ。


「いやです。その犬耳をしまってさっさとHRしてください。」


「くぅちゃんのいけずぅ…」


「…。|(なんか同じようなことさっき聞いたな)」


 そんなこんなでHRが進んでいく。聡介が終始ドンヨリしてたのは言うまでもないだろう。



 時は変わって放課後。狗一たちはそれぞれの部活へ。狗一は陸上部、真之はバスケ部、紫音は陸上部マネージャー、彩女は写真部|(紫音の盗撮限定)。ついでに茜は帰宅部、聡介は陸上部の副顧問だ。

 狗一は”瞬足の狗一”と言われるくらいに足が速い。ただ、スタミナがないのが致命的な弱点である。

 真之もロングシューターと言われるちょっと変わった選手。ロングシュートの成功率は8割を超える。が、近距離でのシュートはドがつく素人となんら変わらないという酷さである。

 彩女は気配を消すことにおいては右に出る者はいないと学校内で言われている選手?である。紫音の盗撮以外には興味がないらしく部屋は紫音の|(盗撮された)写真でいっぱいだという噂もたっている。


 そして、運命の前日が終わる。いつも通りの日常に会話、生活が終わろうとしていた。西暦2546年4月25日午前0時、この物語のスタートのピストルが放たれる。

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