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魔術師の書斎  作者: Rayna
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春の訪れ

この物語を開いていただき、ありがとうございます。

私自身、物語を書くのは初めてなので違和感を抱く箇所も多々あると思いますが、暖かい目で見守っていただけると幸いです。

 ここ数年、この国の季節というのもが徐々に狂い始めていることは科学的にも証明されている。

三月も後半、あと数日で4月を向かえ多くの人が新たな環境・生活を始めようと準備に取り掛かる中、まるでそれらを妨害するかのように各地では雪や雨が降り注ぐ。昨日はまるで春のような暖かな日差しが差し込み桜の花びらが顔を出し始めたというのにその直後にこの雪では桜の木もさぞ取り乱しているに違いない。


 そんな人の心配をしている私も来月からは高校3年生として、卒業後の進路について本腰を入れないといけない時期に入っているにもかかわらず、私は愛読書を読みふけっている。

この貴重な至福の時間を邪魔する者が一人、部屋に近づいてきている。

「なんの用だ、見ての通り今私は残り少ない高校2年生の春休みを堪能しているんだ。面倒事の話ならお断りだ。」

部屋を覗き込む邪魔者に読書を続けたままつぶやくと、

「そんな悲しいこといわないでよ~、気づいてたなら話は早いでしょ?。残り少ない春休みなんだから最後に体でも動かす気はないか見に来たのだけれど...」

「そんな気はさらさら無いが、報酬と内容による。話くらいは聞いても良いよ。」

そう言うと彼女は不敵な笑みを浮かばせながら

「よしきた!まず内容からね。依頼主は兵庫のある名家で依頼内容は大阪と奈良の県境の山中にある事務所がここ数ヶ月何者かに占拠されているらしくて、その事務所の調査。」

「なんでそんな事に私が顔を突っ込まないといけないの?そういった事案は警察の方々にお願いするものじゃない?」

そもそも私の元に来る依頼というのは警察や探偵の管轄外、その事案の内容が非科学的な事や普通では考えられないような特殊な事案。今回の依頼も恐らくはそういった事案なのだろうと考えてはいるが一応確かめてみる。

「あなたも薄々気づいているんでしょ?その事務所を占拠していると思われる族はどうやら魔術関係のようなの。私の考察ではその事務所で大掛かりな儀式でも企んでるんじゃないかしら、そうだとしたら頼むべき相手は専門家よね?」

彼女は満足げな表情をして、私をまじまじと見つめている。だが、私は魔術の専門家では無い。

私の家は魔術を受け継ぐ家系ではあるものの、私自身はまだ魔術師としての技量を持ち合わせていない、そんな私に依頼をするというのは見当違いというものだ。

「いい加減その手の依頼を私の元に持ってくるのをやめたらどう?私はこの平和な日常をこの上なく愛しているの、嫌がらせならまだしもよそ様の面倒事で私の日常が脅かされるのは御免だわ。」

「いいじゃない、これはシグレにとっても悪い話ではないはずよ、確か儀式に関しての知識はまだまだなんでしょ?実際に儀式の現場を見ることによってなにか得られる物もあるんじゃない?それに、今回の報酬は北欧に伝わる古書よ、なんでも中身はルーンについての物らしいけど...」

ルーンとは古代から伝わるルーン魔術のことで、その歴史は長いものの魔術師の間でこれを主として扱うものは多くはなく、研究自体もそれほど進んでいない魔術だ。

「どう?少しは興味が湧いたんじゃない?ルーンの古書となれば、その界隈の魔術師に売ればかなりの値がつくだろうし。それに古書に記されたルーン魔術なんてなかなかお目にかかれないはずよ?この際ルーンも習得してみたら?」

「考えておくわ、もし気が向いたら連絡する。その時は綾香、あなたにも手伝ってもらうからね。」

ルーンは家に伝わる魔術に応用できると考えた私は面倒ではあるが依頼を受けた。それ以前に彼女には何かと世話になっている部分があるので、これくらいの事は了承しなければ今後、関係に変化が来てもおかしくない。そうなれば私にとってもデメリットは多い。

「さすが!話のわかるシグレちゃんは優秀な魔術師になれるわ!それじゃあ私はバイクを用意して待ってるから、連絡してよね。」

そういうと、そそくさと部屋を立ち去り、ようやく私の部屋に平和が訪れたのであった。

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