第十話 悪夢
今回は特にエグいお話になっています。
グロい話を読みたくない方は次の話まで飛ばして下さい!
僕らは、都主の部屋の前にいた。もちろん扉の前には兵士たちが立っている。
「…まずは彼奴らを蹴散らさないとな」
「…うん」
ディアは聞いたことのない言語を唱えた。
ーύπνοςー
その言葉が唱えられると同時に、兵士たちはバタバタと倒れ始めた。
「…都主を殺さなきゃいけないのは分かるけど、わざわざ彼らまで殺さなくたって…」
「安心しろ。彼奴らには睡眠の魔法をかけただけだ」
あぁ、よかっ…って、ん?
「だったら、都主も殺さなくたっていいんじゃない?」
「…うん?」
「だから、都主を殺さないで眠らせればいいんじゃ…」
「言っただろ。俺達は都の民を混乱させなければならない。その為には、奴を殺すのが一番なんだ」
「…そっか」
元よりもう止める気はない。思う存分殺せばいい。それが彼の、ディアの望みなら。
ーβελόναー
「…さて、殺すか」
ディアは魔法で右手を巨大な針のように物に変え、都主を刺した。
何度も、何度も。
針を刺すたび血が滲み、針を抜くたび血がはねた。
僕は、返り血で真っ赤になったディアを見ていた。僕は、もはや原型を留めていない都主に向かって手を合わせた。
もう一度目覚めれば、この悪夢は消えてくれるだろうか。