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第五幕 情景

「・・・・・真っ暗が続くだけじゃん。」


 不思議の国とか言ってたのに。

 そういえば、さっき気づいたんだけど、私の服もいつの間にかアリス風になってたんだよね。


「少しお待ちくださいな・・・!不思議の国へ行くのには試練がつきもの!!壜に入った怪しげな液体を飲むこともなければ怪しげなケーキを食べることもなく、ただ暗闇を歩くだけなのですからまだマシだと思ってください・・・!」

「光つければいいのに。」

「そんなことすれば、私たち以外の者が道を覚えてしまうかもしれないでしょう?」

「私覚えてないけど。」

「いいえ、私以外にもこの地下の道を多少なりとも覚えていて、尚且つ使用しているものがあと二人いるのですよ・・・!まぁ、私が教えたのですがね!どうやら、自分の部屋の下にも地下室をつくったりもしているようで!あ、実はそこともこっそりと通路を繋げていますよ!!本人たちの許可はとっていませんが、そこを使って移動もしているようですし、まぁ、気にしていないのでしょう!」

「だれ?その二人って。」

「私を帽子屋とすれば、眠りをこよなく愛する眠りねずみと、偏屈で気位の高い三月うさぎ、そんな感じのお二方ですよ☆」


 言うつもりはない、とね。


「あとで、そのお二方の巣穴をお見せいたしましょうか?どちらも不思議の国相応しい素敵に美しくて素敵に可笑しな場所ですよ!」

「じゃあ、あとで。」


 それを見たら誰か見当もつくかもだしね。



 * * * *



「さぁ!!こちらです!!」


 なんだここ。しかもノアの洋服がいつの間にか帽子屋風に変わってるし。


「なにここ?」

「お茶の間ですよ!」

「なんだそりゃ。」

「お茶会をするための部屋です!」

「なんだそりゃ。」


 お茶を飲むためだけにこの部屋をつくったと?


「三時に二人でお茶会、なんてどうですか?」

「ああ、優雅でいいね!・・・・なんていうとでも思ったか!!休日以外はその時間は授業中だわ!!」

「そんなのサボればいいじゃないですか!」

「あ、お茶会なんで!で、抜けれるはずないし、お前みたいに成績良くないからそんなこと怖くてできるはずないだろ!!」

「可笑しいですねぇ、あの方々は普通に集まっていましたよ・・・!」

「そいつらが普通じゃないんだよ!」


 誰だよあの方々!!


「まぁ、落ち着いて・・・!紅茶でものみましょう!」

「いや、いい。今お腹たぷんたぷん。」

「たぷんたぷん?ぽよんぽよんの間違いでは?それにぽよんぽよんなのはいつもでしょう・・・・!」

「殴るぞ。」


 いくら真実でもいうなよ。


「おっと!これは失礼!どうやらここにはあまり興味がわかなかったようですね!」


 お茶、そんな好きじゃないし。ノアが紅茶好きなのは知ってるけど。


「というか、お茶の間なのにどうしてそこら中に鏡があるの?」

「さて?なぜでしょうか?」

「なんでだよ。」

「なんででしょうねぇ?」


 はぁ・・・・。


「飾り?」

「それもありますね!」


 ふーん。


「それでは!お次の部屋にご案内いたしましょうか!」


 部屋の中にある大きな鏡にノアが触れると、その鏡が水面のようにゆらめいた。そして、鏡の中に体を半分いれ、私の方に手を伸ばしてきた、ので、その手を掴んだら、鏡の中に引きずりこまれた。


「ぎゃあ!!」


 一瞬ひやっとした、と思ったら、また暗闇のなかにいた。


「お次は、衣装の間にg

「いやだ!!」


 散々見てるし!!


「では、仮面のm

「やだ!!」


 何回も見てるし、あの部屋怖いんだよ!!


「それでは、眠りねずみの巣穴にでもご案内いたしましょうか☆」

「よし。それがいい。」


 さてはて、眠りねずみとは一体誰のことやら。




眠りねずみと三月うさぎ、誰なのか見当がついている方もいらっしゃるのでは?

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